あれは2023年3月上旬のこと。私は10キロを超える重い機材を担ぎ、本土から遠く離れた南の島、与論島に上陸していた。奄美群島広域事務組合によるプレスツアーに参加していたのだ。
その日最後の仕事は、日没と月の出の間の闇が最も深くなる時間帯に行われた。肌寒い強い風が吹くなど天候はややシビアだったが、撮影はそれなりに進行。
このまま何事もなく終了すると誰もが思っていたその時、事態は急変した。誰かが悲鳴をあげたのを覚えている。あまりの事態に、私はただ茫然と立ち尽くすのみ。しかし偶然にも回しっぱなしだったカメラには、とんでもないものが写り込んでいた。