クーロン黒沢 (Kowloon Kurosawa)

ライター

東京都出身。1997年頃からプノンペン在住。「怪しいアキバ漂流記(KKベストセラーズ)」「デジタル・スーパースター列伝(ILM)」「エネマグラ教典 (太田出版)」など、数十冊の著書を上梓。アジアのデビル・ジャパニーズをただひたすら追跡したノンフィクションDVD「やさぐれ旅行人DJ北林」シリーズほか、海外移住・リタイア・スモールビジネス・犯罪をテーマにした電子書籍「シックスサマナ」をほぼ隔月ペースで発行中であります。

「クーロン黒沢」担当の記事 (7ページ目)

【闇の大人たち】第26回:漆黒の中国製ゲーム機「GAMEBOX」を検証する!

何カ月か前。見かけのインパクトとその場の気分でふと購入ボタンを押してしまったのが、こちらのMAMEコンソールマシン「GAMEBOX」。ちなみにMAMEとはアーケードゲームエミュレータのひとつである。

(自称)32ビットのデュアルコアCPUと2ギガメモリを搭載。MAMEのほか、メガドライブ、スーパーファミコン、ゲームボーイアドバンス等々、団塊ゲーマーが泣いて喜ぶ名機の数々をエミュレーション。リビングの大画面テレビに往年の名作を映し出し、ファミリーでプレイできてしまうという、激シブかつ後ろ暗い仕様のゲームコンソールである。そら、買うしかないでしょ。

ところがである。粛々とカード決済を済ませ、一週間、二週間……。届く気配はまるでなし。その数カ月後。注文した事すらきれいさっぱり忘れた頃、中国南部の某町から大きい割に死ぬ程軽いダンボール箱が届けられた。

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【闇の大人たち】第25回:台湾ルポ 迷える老人を探せ!

日本に次いで高齢化のスピードが早い国。それが台湾だ!

認知症で前後不覚のまま町をさまよい、姿を消してしまう沢山のお年寄りたち。台湾では人通りの多い繁華街や駅の近くに大抵、失踪老人を探すポスターが貼ってある。ポスターには最新失踪者の無修正顔写真と、名前・身長・特徴・口癖・持病などのデータが細かく記されている。

……で、もっと興味のある人は、ポスター下部のURLから公式サイト『失蹤老人協尋中心』に接続。膨大な記録にアクセスすることも可能である。で、このサイトが半端無く衝撃的なんですよ!

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【闇の大人たち】第24回:台湾ルポ 屋台のカリスマたち

日本で屋台を冷やかすたび、強烈な「見たことがある感(既視感)」を胸いっぱいに感じる今日この頃。

例えるなら、国道沿いに連なるファミレスのような、まるで日本全国のたこ焼き屋さんが、同じ人の経営する同じ店だった──みたいな錯覚をおぼえ、つい、活気に満ち溢れた台湾の屋台街に思いを馳せてしまうのだった。

その台湾も、同ジャンルの屋台が複雑に組み合わさって屋台街ができているわけだが、日本と異なり常設屋台の割合が高く、オーナーの個性を感じさせる独自のカスタマイズが施されているのがポイントである。

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東南アジアの国々には、檳榔(ビンロウ)という植物の種を噛む古い風習がある。石灰と一緒に噛むことで成分が反応。軽い興奮・酩酊感が得られるという仕組みで、つまりはタバコみたいなものだ。

吸血鬼みたいに歯が赤くなり、依存性があり、長期で嗜むと口腔がんになる可能性も指摘され、愛好家(ほとんど男)は年々激減しまくりだそうだが、それでもなお、檳榔愛好家がダントツに多い国といえば、お隣りの国・台湾である。販売店の数もおびただしく、販売合戦も熾烈だ。

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アジアの中でも著作権意識がひときわ高い台湾。明るく、さわやかなDVDショップを覗けば、ここは日本か?と錯覚する勢いで、ジャパニーズな人気DVDタイトルが新旧問わず、ところ狭しと陳列されている。

ま、近頃じゃプノンペンくんだりの場末感漂うDVD屋でも、日本の連続ドラマがDVD-BOXでたんと積んであるわけだが……あちらはぜんぶ中国製の海賊版。ヒビの入ったケースに傷だらけのディスクが収まった、粗悪でイリーガルなブラック商品だ。

台湾の何が素晴らしいって、商品のほとんどがキチンと版権を取得した正規版のDVDであり、正規版のくせに何だかとっても安いことである!

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【闇の大人たち】第21回:台湾ルポ KUSO文化の謎

以前、こちらでも紹介した台北・西門町のオタクデパート「萬年商業大樓」をパトロール中。気になるものを発見した。

洋品店の店頭にぶら下がる宣伝プレート。そこには、暑苦しいニット帽+ヒゲ野郎の写真が数パターン──と思いきや、ヒゲと思っていたものはヒゲじゃなく、何を隠そう「2010冬天必備款(冬モデル)フワフワ・ヒゲ型防寒マスク」だった!

素朴なアイディアの需要とファッション性については後世の歴史家に分析を委ねるとして、私が気になったのは控えめに記された「國内外最新流行KUSO商品」というくだり。

「KUSO商品」の「KUSO」って、ひょっとして「クソ」のこと? 調べてみればまさにビンゴ! ついでに「KUSO文化」なる謎の単語が中国語圏に深く浸透?──そんな新事実まで判明した!

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【闇の大人たち】第20回:台湾電脳街ルポ 高雄の町も萌えていた!

高雄──。台湾南部に位置する第二の都市である。日本ならさしずめ大阪といったところだが、人も車も少ない、静かでひなびた田舎町といった雰囲気だ。

到着早々、そんな高雄にアキバのようなエリアがあると聞いて向かったのが、高雄駅前の大通りを15分ほど東に歩いたところにある「チャンミンショッピングエリア(長明商圏)」。通りの両側には、想像していたショボさとはまるで無縁の立派な電脳ショップがズラリと並んでいた。

早速、大きめのパソコン店やカメラ店を観察。残念ながら日曜にも関わらず客はまばら。ところが、そんなご時世でもオタグッズを売る店だけはなぜか大繁盛。複雑な心境でカメラを構える私でした。

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【闇の大人たち】第19回:台湾グルメ紀行 吉野家の納豆カレー丼にむせる!

日本ではすき家に押され気味の吉野家。しかし海外では中国、香港、シンガポール、インドネシア、フィリピン……などで幅広く展開。アジア各国では未だ「牛丼=吉牛」という神話が生きている。

先日、台湾最大の屋台街として知られる台北・士林夜市を散策中、ふと通りがかった吉野家の店頭に、見慣れないパネルが飾られているのを見て足が引きつった!

そこにあったのは「納豆咖喱丼(納豆カレー丼)」そして「納豆牛丼」! なんだ! 台湾って納豆ブームなの? でも他の店じゃそんなもん見かけないが……。

さておき、脊髄反射で店に引きこまれ、思い余ってオーダーしてしまう私。屋台グルメの総本山を前に吉牛……、興味津々なれど、辛い選択でもありました。

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急勾配の険しい山肌に、古ぼけた家々がしがみつくように密集するレトロな集落「九イ分(きゅうふん)」。

あの「千と千尋の神隠し」の舞台とも言われ、日本人の間でも台湾旅行の定番スポット。台北から列車とバスを乗り継いで約2時間。迷路のような石畳の路地にそって、ひなびた商店が軒を連ねている。

今回ご紹介する「泥人呉」という名の奇妙な家は、この「九イ分」の奥の奥。どん詰まりの急坂に面した一角にひっそりと建つ私設の博物館。革の面をつけた殺人鬼が隠れていそうな、薄気味悪い廃屋風オンボロ家の入り口で、よれよれのおっさんがふたり、しかめっ面で客をひいている。

普通の人ならまず間違いなく素通りするところだが──。実はここ、九イ分で一番……。いや、台湾でもダントツのおもしろスポットなのだ!

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【闇の大人たち】第17回:台湾オタクビルレポート 萬年商業大樓

台北きっての繁華街・西門町。若者が集まるスカしたお店の多いエリアだが、台湾の面白さはそうしたスカシ系と、どんより煤けた親父臭漂うお店が、ごく自然に融合しているところだろう。

今回紹介するオタクデパート「萬年商業大樓」も、表から見た限り、せいぜいお茶やら強精剤くらいしか売ってなさそうな、古ぼけたねずみ色の冴えない建物。ところが中に入ると──!

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【闇の大人たち】第16回:台湾アキバビルと謎の少女たち

首都・台北の中心部に堂々そびえる巨大ターミナル・台北駅。台北の電脳街といえば、ちょっと離れた場所でリニューアルした巨大電脳ビル・光華商場が「アキバ」の代名詞だが、台北駅の周辺にも小ぶりながら数々の電脳ビルが点在し、マニア向けのショップも少なくない。

台北駅前のランドマーク、新光三越のすぐ脇に建つ「NOVA」という極彩色の漢字看板にまみれた毒々しいビルも、そんな電脳中心のひとつだ。

入ろうとすると、防寒具に身を包み、大きなキャリーバッグを抱えた少女たちが、正面玄関横の地べたに放心状態で座り込んでいた……。真冬の、しかも風の強い夜だというのに、体育座りで何をしているのだろうか!?

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【闇の大人たち】第15回:マレーシアグルメ紀行 謎料理「便所」の謎

マレーシアの首都・クアラルンプールの下町を、空きっ腹で散策中、屋台に毛の生えた、小さな小さなハンバーガーショップを発見した。

マレーシアまで来て、ハンバーガーはちょっとなぁ……。

うんざり顔で通りすぎようとしたその時。壁のメニューに記された「ある単語」が目に入り、私は金縛りに遭った。

「BENJO(便所)」

見間違えではなさそうだ──。メニューには確かに便所と書いてある。値段は1.80マレーシアドル(約50円)。ハンバーガーの半額だ。トイレを借りるにしては妙に高いような……。その場で約五分間。考えに考えた末、私は小太りのマスターに叫んだ。

「べっ……、便所!」

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【闇の大人たち】第14回:マレーシア・電脳街で祈りを捧げる男たち

国民の大部分をイスラム教徒のマレー系が占める、イスラム国家・マレーシア。
マレー系だけではなく、幾つもの民族が共存する多民族社会であり、信仰の自由も保障されている。

首都・クアラルンプール(KL)をはじめ、中華系・インド系の占める率が高い町では宗教の香りをあまり感じないが、州によってはガチガチのイスラム法に支配され、露出度の高い女性のセクシーな服装や化粧はおろか「ボクシング選手のはいているパンツが短すぎる。けしからん」などという話題が真面目に議論されることも珍しくない──という。

ホントかよ? と、にわかに信じられなかった私だが、先々週も紹介したKLで最も古く、さびれっぱなしの電脳中心「インビ・プラザ」をさまよっていたところ、遂にその片鱗らしきものを見ることができた!

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【闇の大人たち】第13回:マレーシアのアキバ ローヤットプラザでジャッキーに遭遇!

先週紹介した、マレーシアの首都・クアラルンプールにたたずむ元祖アキバビル「インビ・プラザ。歴史はあれど、崩壊寸前のうらぶれようで残念無念。

そのインビ・プラザの裏手にそびえる最先端の電脳ビルが、今回ご紹介する「ローヤット・プラザ」だ!

KLモノレール「インビ」駅から徒歩5分。ピカピカに磨きこまれた床、明るい通路、垢抜けたお店……。中近東のスラムみたいなインビ・プラザとは比較にならない美しさ、巨大さ。フロアごとにPC、携帯電話、ゲームとわかりやすく区分けされ、若者たちが行き交っている。これだよこれ……と、人波をかきわけていたそのとき、目の前にアジアのスーパースター・ジャッキー・チェンが!

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【闇の大人たち】第12回:マレーシアのアキバ 瀕死のインビプラザ

クアラルンプール(KL)中心部を貫くKLモノレール・インビ駅周辺は、「マレーシアの秋葉原」と呼ばれる最重要な一帯である。そのインビ駅前にそびえる、くすんだクリーム色の古びたビルこそ、この国の元祖・電脳ビル。その名も「インビプラザ」なのであった!

90年代半ば。「海賊版ゲームがすごい」という噂だけをたよりに、土地勘のないKLをさまよい歩き、散々苦労してこのビルを探し当てた若き日の懐かしい思い出。あれから17年後の今、再開発で周りの風景が一変するなか、インビプラザは当時と変わらない姿で生き残っていた……が、内部は病巣に犯され、想像以上に深刻な状態だった――

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マレーシア・クアラルンプール滞在2日目。安ホテルのルーターが故障して、ネットができなくなってしまった!

「明日には直るよ!」と言われたが、なんの裏付けもない空約束を信じ、座して待つよりは……と、近場のネットカフェを探すことにした。

ホテルのあるチョーキット地区は、クアラルンプールの中でもとりわけ庶民的な下町。ぶっちゃけ、薄汚い煤けた街並みのひろがるエリアは、カンボジアに住んでいた私が引くくらい、路上生活者やねじの外れた怪しい人々が大勢うろついている。

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羽田空港から片道5000円でマレーシアへ! 激安価格で名を上げた格安航空「エアアジア」。実際は保険料だの空港税だの機内食だの荷物料金だの、オプションをつけるうち、いつの間にか片道1万円をオーバーしてしまうカラクリなのだが、それでも激安であることには変りない。

もちろん、安いぶん歯を食いしばらなきゃならないことも沢山ある。

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カンボジアを旅すると、そのへんの貧乏そうな兄ちゃん、姉ちゃんが、iPhone4だのXperiaだの、現行バリバリの端末をこれ見よがしに持ち歩く光景に思わず見とれてしまう。うわー。おれよりいいケータイ使ってる……。ニセモノかと思いきや、結構な確率でホンモノだ。
 
東南アジアでは携帯端末の見てくれ=その人の経済状況・社会的地位なので、借金しても年収を上回るハイグレードケータイを買う見栄っ張りが後を絶たない。で、彼らの端末をじっくり観察すると、まず間違いなく透明フィルムでラミネート加工されている。

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プノンペン中心部に、ちょっと変わったバイク屋があるーーと聞いて早速行ってみた。朝早かったせいかお店はシャッターをおろしていたけど、そこにでかでかと描かれたロゴを目の当たりにして呆然とする私。んおおおあ!

HONDAと思いきや、HONKI!  しかもアメリカの焼肉屋みたいな書体だ!冗談かと思いきや、本気……のようである。ジャングルの奥から買い出しに来た田舎もんが100人いたとしたら、3人くらいは騙され、そして不幸になってしまいそうな予感。

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タイ、バンコク。中華街の果てに、アキバの柔らかい部分だけ抽出したサパーンレックという場所があるが、そのサパーンレックからわずか二百メートルほど歩いたところに、まるで昭和のアキバを煮詰めたような、コチコチに硬派な一帯が広がっていることはあまり知られていない。人はこの界隈を「バンモー」と呼ぶ……。

畳二枚ほどの小さな半導体ショップがぎっしり詰まった電子の殿堂「バンモープラザ」を中心に広がる、半径百メートルほどのトワイライト・ゾーンは、アキバのパーツ街に匹敵する規模を誇り、周辺国からも多くのバイヤーが訪れる。

スピーカー店、数百種類のリモコンをストックするリモコン店、工具店など、至る所、底なしに地味な専門店ばかりで、女・子供をはじめ、チャラチャラした若者を見ることはあまりない。

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