日本ではすき家に押され気味の吉野家。しかし海外では中国、香港、シンガポール、インドネシア、フィリピン……などで幅広く展開。アジア各国では未だ「牛丼=吉牛」という神話が生きている。

先日、台湾最大の屋台街として知られる台北・士林夜市を散策中、ふと通りがかった吉野家の店頭に、見慣れないパネルが飾られているのを見て足が引きつった!

そこにあったのは「納豆咖喱丼(納豆カレー丼)」そして「納豆牛丼」! なんだ! 台湾って納豆ブームなの? でも他の店じゃそんなもん見かけないが……。

さておき、脊髄反射で店に引きこまれ、思い余ってオーダーしてしまう私。屋台グルメの総本山を前に吉牛……、興味津々なれど、辛い選択でもありました。

注目の納豆咖喱丼。レジの後ろで調理担当店員が一生懸命、シャカシャカシャカ……と納豆をかき回す様が感動的ではあったが(この工程は自動化できないようだ)どんな味かと申しますと、まさに納豆とカレーを混ぜた味

ま、「納豆+カレー」というのも調べてみるとそれなりに市民権を得た食べ方らしく、カレー専門店のココイチでもかなり前から正式メニューに採用されているとのこと。ちなみに、「納豆牛丼」というのも、納豆カレーほどではないが「YAHOO!知恵袋」で話題になる程度、知名度はあるらしい。

日本の牛丼屋というと、機嫌の悪そうなサラリーマンや肉体労働者が寡黙に食って足早に去ってゆくという感じで、どこか薄暗い印象を拭えないが、香港や台湾の吉牛はファミレスというより、マックやKFCに似たシステム。日本でも最近少しずつテーブルサービス(ファミレス風)の店舗が増えているというが、納豆カレー丼を前に、さわやかカップルが談笑する光景を遠目に眺め、日本の牛丼屋はどうしてイマイチ垢抜けないのか、思いを馳せる私でした。
(取材・文・写真=クーロン黒沢

▼台湾の吉野家。シックな雰囲気です

▼システムはマクドナルド風

▼カレー納豆丼+青汁ではなく緑茶セット

▼こちらは納豆牛丼+カルピスセット