以前、こちらでも紹介した台北・西門町のオタクデパート「萬年商業大樓」をパトロール中。気になるものを発見した。

洋品店の店頭にぶら下がる宣伝プレート。そこには、暑苦しいニット帽+ヒゲ野郎の写真が数パターン──と思いきや、ヒゲと思っていたものはヒゲじゃなく、何を隠そう「2010冬天必備款(冬モデル)フワフワ・ヒゲ型防寒マスク」だった!

素朴なアイディアの需要とファッション性については後世の歴史家に分析を委ねるとして、私が気になったのは控えめに記された「國内外最新流行KUSO商品」というくだり。

「KUSO商品」の「KUSO」って、ひょっとして「クソ」のこと? 調べてみればまさにビンゴ! ついでに「KUSO文化」なる謎の単語が中国語圏に深く浸透?──そんな新事実まで判明した!

そもそも、ダメなゲームを指す「クソゲー」という日本語表現をネットで目にしたコアな台湾人が「KUSO」を使い始めたのが発祥とされ、ゲームマニアの間で急速に普及した。

その後、徐々に拡大解釈が進み、ゲーム以外の分野にも進出。今じゃ「くだらない、ひどい、とんでもない」という意味で広く用いられ、台湾から香港、そして中国大陸まで、中国語圏でまんべんなく通じる単語となってしまったらしい。

我が国では「KUSO=糞=排泄物」だけに、使う場所を間違えれば大事になりかねない危険な言葉だが、台湾では「おかしな」「ショボい」的な意味合いで受け取られ、ニュースなどでも目にする機会が多い。

なので、上品な女性が突然「KUSO」と口にしても、あまり驚いてはいけない。いつか試験に出るかもしれないので、しっかり頭に叩き込んでおこう。
(取材・文・写真=クーロン黒沢

▼鼻を押すと穴からシャンプーがドロリ。これがKUSO文化だ!

▼野原を駆けまわる腰タオルの二人組。これもまたKUSO文化

▼KUSOピザにKUSOヘアスタイル歌手。台湾人は懐が深い。