クーロン黒沢 (Kowloon Kurosawa)

ライター

東京都出身。1997年頃からプノンペン在住。「怪しいアキバ漂流記(KKベストセラーズ)」「デジタル・スーパースター列伝(ILM)」「エネマグラ教典 (太田出版)」など、数十冊の著書を上梓。アジアのデビル・ジャパニーズをただひたすら追跡したノンフィクションDVD「やさぐれ旅行人DJ北林」シリーズほか、海外移住・リタイア・スモールビジネス・犯罪をテーマにした電子書籍「シックスサマナ」をほぼ隔月ペースで発行中であります。

「クーロン黒沢」担当の記事 (6ページ目)

【闇の大人たち】第47回:上海オタクビルは激シブな「御宅之家」だった!

そろそろ死語になりつつある「オタク」という単語も、海外で「その筋の集合体」を探すときは便利な検索ワードである。

てなわけで、「上海+オタク」という検索で偶然知った、上海の「中野ブロードウェイ」と言われる「百米香樹(バイミーシャンシュー)」に行ってみた!

百米香樹は上海きっての繁華街「南京東路」から徒歩三分。東京に例えたら神宮前みたいな好立地に佇む、煤けきった雑居ビルである。

「変形金剛玩具」「御宅之家」など、気になるショップ名が並ぶ案内板を横目で眺め、内部に突入……。照明まで中野ブロードウェイを参考にしたのか、昼なお薄暗いビル内には、意外にも、密かに期待していたアニメ・美少女系ショップがほとんど見当たらない! あれ、間違えちゃったかな──?

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【闇の大人たち】第46回:カンボジアに南田洋子の伝記が?

カンボジア──プノンペンの書店で、近頃とっても気になったこと。書棚に並ぶ最新刊の数々、中でも人気の「伝記シリーズコーナー」に、アドルフ・ヒトラーや毛沢東、ヘレン・ケラーらに混ざって、何とあの「南田洋子」が表紙にでかでか印刷されているのを発見!

南田洋子──。先日亡くなったばかりの長門裕之と「芸能界のおしどり夫婦」として多くのテレビドラマに出演。晩年、認知症に倒れたが、日本有数の有名女優であることには変わりなく、でも、スターリンと同列に扱うのはなどうなのか……。

もしや、長門裕之が85年に出版した暴露本「洋子へ」のクメール語翻訳か? と色めき立つが、そんな訳もなく、手に取ってみれば南田洋子ではなくビル・ゲイツ伝だったわけだが──。中味をめくってもっとびっくり!

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【闇の大人たち】第45回:上海電脳マル秘ルポ 洗濯屋陳さん

中国の電脳中心といったら、ピラミッドばりのばかでかい、大雑把なビルが林立し、同じような店が果てしなく、果てしなく続く……というパターンが非常に多い。熱気はムンムン伝わってくるが、いかんせん大味である。

そんなとき、古都(?)上海に、昔ながらの侘び寂び感漂う由緒正しき電脳街があると噂に聞き、早速行って参りました。

地下鉄「宝山路」駅を中心に広がるこじんまりした電脳街。煤けた低層の建物でごちゃごちゃした電子グッズが売買されるこのエリア。あら不思議。20年前のアキバと同じ、妙な場末感が漂っているではありませんか。

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【闇の大人たち】第44回:血まみれ上海リニア

上海の玄関口・浦東国際空港に降り立った。

過去、ロケットニュースでも何度か取り上げたようだが、浦東空港にはドイツの技術を採用し、最高時速430キロで空港と市内を結ぶリニアモーターカーの駅があり、上海名物のひとつとなっている。

初のリニア乗車に緊張で胸いっぱいの私。片道50元のチケットを買って荷物チェックをこなし、15分ほど待たされてからプラットフォームへ走った。

さて、リニアのシートに座ったはいいが、妙な違和感を感じる……。最新技術の粋を集めた乗り物にしては、妙に煤けているのだ。

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【闇の大人たち】第43回:喫煙者に捧ぐ 世界一殺風景な喫煙室

ニコチン中毒の喫煙者たちが最も苦手とするもの、それは飛行機である。

航空機はもちろん全面禁煙。「俺はトイレの中で水を流しながら便器に向かって煙を吐く」と自慢していた中年バックパッカーもいたが、見つかれば説教では済まされない犯罪行為だ。

長時間のフライトほど吸えないストレスがたまる。そのため、喫煙者は搭乗前に目の色を変えて喫煙室を探し、ここぞとばかりにバカバカ煙を吸い込む。この日の私もそんな一人だった。

四年続いた禁煙にしくじった二週間後、モダンに生まれ変わったプノンペン国際空港にたどり着いた私は、パスポートチェックを終えるや真っ先に喫煙室を探した。それはおしゃれなアイスクリーム店の奥にあったのだが──

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【闇の大人たち】第42回:世界一汚いキーボード 新王者は日本人!

ベトナム南部の片田舎に、世界一汚いキーボードを使いこなす謎のウェブ・デザイナーがいるという──。しかもその男、我が同胞の日本人だそうな。

そんな話を聞いては居ても立ってもいられず、向かったのはベトナム南部の大都市・ホーチミン市。ここで情報をくれた在住者と合流、件の男が住むという寂れた村までレンタル・バイクで数時間の小旅行……。

幹線道路をひた走り、土埃の舞うデコボコのあぜ道を、右に左に曲がりくねったどん詰まりに、謎の男・井上さん(仮名)の暮らす家があった。

物珍しそうに私たちをとりまく近隣の農民たちに引きつった笑顔を振りまき、トタンの門を叩く。と、グラサン姿の井上さんが登場。彼はアジア各国を放浪しながらここに流れ着き、村で唯一の光ケーブルを引いて、日夜、ウェブデザインで収入を得る今流行りのノマドワーカー(?)なのであった。

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【闇の大人たち】第41回:謎の三国志ブーム、プノンペンに到来!

すべての男を熱くする魔法のキーワード、何を隠そう、それは「三国志」──。

私もまた、少年時代は関羽や趙雲に憧れ、時には「劉禅」という渾名をつけられ落ち込んだりもした三国志ファンのはしくれ。中国製品を一切買わず、中国人をゴキブリの如く嫌い、中共政府が早くぶっ潰れればいいと日々願う熱烈な反中活動家も、ラーメンと三国志だけは大好物だ。

日本人がこれだけ三国志を愛しているのだがら、世界のみんなも絶対好きなはず。ところが……アフリカやインドやロシアで三国志が大流行した……みたいな話は残念ながら一度も聞いたことがない。

三国志ブームって、中国、日本、台湾、韓国あたりだけの限定的なものなのかな──と勝手に思っていた矢先、プノンペン市内の大型書店で驚くべきものを目撃した!

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【闇の大人たち】第40回:ベトナム爆走!ハットリ号

カンボジアの首都・プノンペンとベトナム・ホーチミン市を結ぶ国際バス。ここ数年で有象無象のバス会社がバンバン参入。熾烈な価格競争、サービス合戦の中、いまも第一線の先頭グループを漂っているのが今回ご紹介する「メコン・エクスプレスバス」である。

関東在住の人なら思わず唸ってしまう「東京空港交通リムジンバス」そのまんまのオレンジカラー。妙齢のバスガイドに弁当(菓子パン)付きでママも納得。迷彩キャップのちょっと怖いおっさんが、六時間ぶっ通しの運転で僕らを目的地へ連れて行ってくれる!

出発三時間後、カジノだらけの煤けた国境地帯に突入。噂によると、この町には日系企業が経営するカジノがあり、そこで「平成の借金王」こと安田忠夫氏がギャンブル案内の傍ら、中卒以上の付き人を募集しているらしい……。バスはここでレストランに横付け。ちょっと早めの昼食となる。

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この地球上で、在留日本人が最もホームシックと無縁でいられる国。といったら、台湾をおいて他にない! ホントここだけの話、韓流なんてくそくらえ! 庶民の生活に最も近い「屋台」の世界も、日本料理の影響が色濃く感じられる。

高雄の屋台街で発見した「屋台寿司屋」では、外科医のようなマスクをした二人組が、創作ネタ含む数十種類の寿司を、推定150Wの電球の真下で展示・パン屋さん方式で販売。日本だったら客より先に保健所が飛んできそうな店構えだが、そこらへんは自己責任で!

そんでまあ、寿司屋なんてのは基本中の基本でして……。

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【闇の大人たち】第38回:台湾屋台王への道!情念オールド屋台市

不況まっさかさま。明日をも知れぬ現代において、日銭を稼げるフードビジネスは地獄から這い上がる一筋の希望であろう。

前回「第37回:台湾屋台王への道! 屋台ビジネス虎の巻」でもご紹介したように、台湾では書店の料理本コーナーに屋台開業マニュアルが山積みにされるなど、日本と比較にならない簡単さで、ラクチンに、屋台ビジネス参入が可能である!

伝説の屋台オーナーが秘伝のレシピを披露する「直伝スクール」なんてのもあるそうだが、こうして苦労の末、晴れて秘伝レシピをマスターしたら、いよいよ待望の「屋台購入」である!

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【闇の大人たち】第37回:台湾屋台王への道! 屋台ビジネス虎の巻

どん底景気の不況真っ盛りの昨今、皆さんお元気ですか? 大手の電気・機械メーカーが続々と海外移転を発表──なんて記事を読むにつけ、オレの会社も明日はどうなるかわからない。こんなとき、手に職でもあったら……と、夜空を眺め、自分の人生を振り返るお父さんも珍しくはないでしょう。

そんなお父さんたちにひとこと。今からでも遅くない! 手に職をつけ、不況に強いフードビジネスで日銭を稼ぎ、落武者狩りを逃れるのじゃ!

そうは言っても、新規開業にはバカにならない元手がかかる。リスクを減らすには初期投資を少なく、維持費も少なく、日銭が稼げる方法が一番。こんなとき参考になるのが、台北市内の書店で発見した「屋台開業マニュアル」の数々……

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【闇の大人たち】第36回:異色のライトノベル、プノンペンで大人気

ポルポト政権時代、国中の知識人が皆殺しにされ、文化と名のつくもの全てが焼き尽くされた、カンボジアの首都、プノンペン。

内戦が終わり平和が戻った今、町の書店は、あらゆる文化を吸収しようと貪欲に目を輝かせた若者たちで熱気ムンムン……とまではいかないが、まあ、そこそこ賑わっている。

そんな、プノンペンの目抜き通りにそびえる立派な本屋さんで今一番売れているのは、何を隠そう「表紙にアニメ調のイラストを多用した若年層向け小説」──そ、それってもしかして、カンボジア版ライトノベル?

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【闇の大人たち】第35回:ベトナム紀行 ホーチミンは超ヤバい危険都市だった

何から何までドラ◯もん(自主規制)まみれ! そんな日本食レストランがベトナム・ホーチミン市の真ん中で絶賛営業中である。

突っ込む気にもならないレベルで「あの」人気キャラが惜しげもなく散りばめられたお店は、その名も「どら◯もんかか」。遵法精神ゼロのベトナム人がテキトーにつけた名前と思いきや、創業1992年、日本人オーナー常駐で安心の店とのこと。

故・藤子F先生がお墨付きでも発行したのか? 判定は後世の歴史家に委ねるとして、何が凄いってこの店が無料で配っている市内マップ【どらえもんかか特製 おもしろ独歩地図】がすごすぎる!

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【闇の大人たち】第33回:台北の昭和町・骨董おやじの憩いの場

台北観光の定番ルート・永康街。この国で一番有名な小龍包を出す「鼎泰豊(ディンタイフォン)」をはじめ、いつ行っても行列の絶品マンゴーかき氷屋など、有名店の密度が高い外食激戦区である。スカしたカフェも沢山あり、おしゃれな店内でくつろいでいると、いっぱしの文化人になったような錯覚をおぼえるから不思議だ。

そんな永康街を歩いて歩いて歩きまくった、どん詰まりの静かな場末に、「昭和町文物市場」という、うす汚れた看板を掲げたよれよれのビルがある。

看板に刻まれた名前、別段、日本文化にかぶれているわけではない。百年前の日本統治時代、ここ永康街一帯は「昭和町」と呼ばれていたそうじゃて。そんな古臭い名を掲げるこちらの建物は、通の間でちょっと有名な古道具・骨董市場なのでした。

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【闇の大人たち】第32回:家政婦は見た! 迷惑ばあさん機内で大暴れ

その日の早朝、台湾の桃園国際空港でプノンペン行きの中華航空機に搭乗した。この便はアメリカに移住したカンボジア人が里帰りに使うことで有名。参考までに皆さん、アメリカで溜め込んだストレスで爆発寸前だ。

席に座ると、真横でなにやら言い争う声がする。あき竹城を彷彿とさせるガッチリ型のCA(キャビンアテンダント)と、全盛期のダンプ松本風グラサンに迷彩テンガロンハット、迷彩シャツという、もはや悪役女子レスラーにしか見えない完全武装のババアが、荷物を座席の下に置く、置かないで激しく罵り合っていた。

一歩も退かないダンプにブチ切れたあき竹城が業を煮やし、他のクルーを呼びに走ったその時であった。何を思ったのか、CAの背中に向かって、ダンプがこう叫んだのだ。「マザー○ァッカー!」と……

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【闇の大人たち】第31回:台北発 絶滅寸前! これがピンボーラーの聖地だ!

ほんのちょっと前まで、日本全国津々浦々のゲーセンには、ピンボールというものがあったそうじゃ……。どんなしょっぱいゲーセンにも、二、三台のピンボールが必ず設置されており、熱い男たちが両手で台を抱え、プレイしたそうじゃ……と、何となく昔話調で始めてみたが、事態はそれほど深刻である。

かつてはセガ、データイーストなど、日本のメーカーもピンボールを作っていた。それがどうだ? いま、ピンボールの筐体を置くゲーセンが何箇所あるだろう。絶滅の危機と言っても過言ではない。

寂しくて虚しくて、どうにかなりそうなピンボールファンの皆さんに朗報。台北の横丁に熱血ピンボーラーのオアシスがあった!

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【闇の大人たち】第30回:台湾発 猫で儲けるニュービジネス

近頃、都心でよく見かける「猫カフェ」。石碑こそないものの1998年に台湾で開店した「猫花園」というお店が発祥だそうで、本場・台湾では増えすぎちゃって淘汰の兆しすらあるほど。

野良猫がうじゃうじゃいるというだけで、大勢の観光客が押しかけるようになってしまった郊外の田舎町「猴硐」しかり、猫好きの間で台湾は「特別な国」である。そんな台湾で、またも新たな猫ビジネスを発見!

台北から電車とバスで約二時間のところにある山あいの町「九份(きゅうふん)」。日本統治時代の街並みが残るひなびた集落として知られ、「千と千尋の神隠し」のモデルになった場所としても有名なバリバリの観光地だ。

バスの停留所からメインのアーケードをひたすら歩き、歩いて歩いて歩き疲れた頃に交差する、階段状の「豎崎路(スゥーチールー)」をほんのちょっと登ったところに、奴らはいた!

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【闇の大人たち】第29回:台北発 うまそうだと思ったら犬の飯だった

日本と違って、台湾はペット禁止の賃貸マンションや賃貸アパートがあまりない。乗り物も商店も、比較的ペットに寛容である。だからというわけでもないが、犬、猫を連れた人とよくすれ違う。

人間さながらの服を着せ、アクセサリーを付けたりといった擬人プレイが盛んなのも日本と似たり寄ったり。今回紹介するのは、そんな「ペット擬人化」が行き着くところまでいったお店。

その夜、私は台北市内の少しマイナーなナイトマーケット、「通化街夜市」を訪れた。タクシーで基隆路を走り、夜市のある臨江街の交差点で車を降りる。この一帯はペットショップが多く、夜になると煌々と照らされた子犬や子猫を見に、大勢の動物好きが集まる。

端の店から順番になめるように眺めていると、ペットショップだらけの一角に、妙な惣菜店を発見した。

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【闇の大人たち】第28回:マレーシアの裏日本租界?

マレーシアの首都・クアラルンプールきっての繁華街、ブキッ・ビンタン。西洋の高級ブランド店が林立するこのエリアに、日本のマンガやオタグッズ店を散りばめた、孤高のショッピングモールがあると伝え聞いた。

その名は「スンガイワン・プラザ」──涼みに行ってガラス越しに商品を眺めるだけだった高級モールと比べ、価格の安い庶民的な店が集まるスンガイワン・プラザは地元民から熱い支持を集めている。

モノレール駅に隣接するだだっ広い建物は、様々なテナントに細切れ賃貸され、ジャンル分けすらされていない。狭い通路はダンジョンさながらに入り組み、まさにカオス。それでもめげず広大なフロアをさまよううち、ようやく「それらしい」店の発見に成功した!

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【闇の大人たち】第27回:究極のドリアン「D24」を味わう

アジアに暮らし、年平均30キロのドリアンを喰らう私にとって、5月は鼻息の荒くなる特別な月だ。そう、ドリアンシーズンの到来である!

「ドリアン」という名前はマレー語の「トゲトゲフルーツ」という単語が語源なのだそうな。すなわちドリアンの本場はマレーシア。春も終わり頃になると、マレーシアでは町のあちこちでドリアン屋台が異臭を放ち、大勢のファンが臭いゲップをしながら上物を奪い合う。

マレーシアのドリアン屋台で注目すべきは、カンポンドリアンと呼ばれるベーシックなドリアンよりも一段、二段高い場所に置かれた、ワンランクお値段の高い高級ドリアンの数々。これらは品種改良を重ねた特級ドリアンで、それぞれに怪しげなブランドネームが与えられていた!

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