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海外旅行中によく使う英語といえば「Excuse me(エクスキューズ・ミー)」だ。意味は「すみませ〜ん!」てな感じだが、中国においても「すみませ〜ん!」にあたる中国語の使用頻度は極めて多い。わりと長く中国を旅行していた私(羽鳥)も、当然のごとく使い倒した。せっかくだから覚えておこう。「請問(チンウェン)」だ。

レストランで店員さんを呼ぶ時も「請問(チンウェン)!」で、そのへんの人に道を尋ねる時も「チンウェン……」と語りかけた。時には「チンウェン!」と叫んだりもした。誰もが「!?」と振り向いた。百発百中、効果てきめん。ふふふのふ、なかなか俺の中国語も捨てたもんじゃない……と思っていたら、実はそうではなかったらしい。

・ひと味違った俺のチンウェン

つい先日、中国語の達者な沢井メグ記者と話していた時のことだ。話題は私が中国に旅行していた頃の思い出話となり、私は得意気に「俺、けっこう中国ではガンガン声かけるぜ。チンウェン! チンウェン!! ってな」と、メグ記者に武勇伝を語った。するとメグ記者は、なんとも言えぬ表情となり、言いにくそうにこう言った。

メグ「は、羽鳥さん……そ、それ、『キスして』という意味です……」

──と!!!!

なんということか! おお、神よ、なんということだろうか!! なぜ今になって、そんな驚愕の事実を知るハメになるのか神様よ! もうかれこれ13年くらい前のことだが、数カ月にわたる長期中国旅行中に使いまくっちまったアルよ! 今さら遅いアル!!

・三種類のチューしてを完全マスターしていた

ちなみに、私のことを哀れに思ったのか、その後メグは正しい発音の「チンウェン」と、キス版の「チンウェン」の違いを、音声付きで発音が確かめられるGoogle翻訳のページを送ってくれた。なるほど、たしかに発音が全然ちがう。しかもだ。

キス版の「チンウェン」は「チンウェン」でも、ニュアンスの違う3種類の「チンウェン」があることまで教えてくれた。ひとつ目は「親吻(キス)」、ふたつ目は「請吻(キスしてください)」、そして最後は「軽吻(チューして)」的な意味なのだが、それらすべての「チンウェン」の発音を、私は完璧に発音していたのだった!!

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しかし、言われてみれば、たしかに思い当たるフシはある。たとえば私がオッサンに対して「チンウェン!」と声をかけると、ほぼ必ず「!?」と鳩が豆鉄砲を食ったような超マジ顔で私を凝視、そして、その後の私の言葉を真剣に聞いてくれるのだ。

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3泊4日くらいの超ロング鉄道移動の時も、車内でタバコを吸ってた兄貴に「チンウェン!」とニコヤカに声をかけたら、ものすごく微妙な表情をしながら、高級なタバコを1本私に「まあ……これ吸うといいよ……」と差し出してくれたこともあった。

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なるほど、そういうことだったのか。時には「キスして!」と単刀直入にお願いしたり、時に甘えて「ちゅーして」と言ったり、私は無意識的に使い分けていたのか! 私は中国全土で「キスして!」と叫んでいたのかッ!! 13年以上経ってから、初めて知った。でもまあいいや。なお、キスしてくれた人は、ひとりもいなかった。チンウェン!!

参照元:Google翻訳「請問」「親吻」「請吻」「軽吻
執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

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