下町情緒あふれる東京・南千住エリア。かつて山谷(さんや)と呼ばれていたこの辺りは、簡素な宿泊施設が建ち並ぶ労働者の街だったそうだ。現在はバックパッカー向けの安宿街としても有名である。

カプセルタイプよりも個室タイプの格安ホテルが多いらしく、プライベートな空間で安く寝泊まりできると評判のようだ。今回は1泊3900円の格安ホテルに泊まってみたので、館内の様子をたっぷりとレポートしてみようと思う。


・チェックイン

筆者が訪れた宿は「エコノミーホテル ほていや」。JR南千住駅から徒歩約10分のところにある簡素な宿泊施設だ。縦長の賃貸マンションっぽい外観で生活感がある。隣にはスーパーがあって買い出しに便利。

どうやら外国人旅行者に人気がある様子。エントランス付近で談笑する彼らの姿が多く見られた。


この日は22時頃にチェックイン。1階のフロントで受付を済ませたあとは、自室へ行く前にこのフロアをちょっと探索。


まず視界に入ったのはフロント近くにあるラウンジ


小さな部屋にはソファやテーブル、本棚などが置かれている。音楽(ジャズ)も流れていて穏やかな雰囲気。なんだか喫茶店のような空間で居心地がよさそうだった。


ラウンジを出て今度はエレベーターのほうへ行ってみると、廊下に大量の貼り紙がビッチリと掲示されているではないか。


近づいて確認したところ、周辺マップや地域イベントの案内紙だった。ここでしか手に入らないようなローカル情報が載っていて興味を惹かれる。



・雰囲気抜群のフロア

さて、それでは自分の部屋をチェックしに行こう。エレベーターで最上階(5階)へ向かうと、そこには……


真っ暗な廊下が広がっていた。……ちょっと待ってくれ。言っちゃ悪いが、ここは怖すぎるだろ。ホラー映画に出てきそうな雰囲気がプンプン漂っていてエキサイティング。

節電のためにライトをオフにしているのか、もしくは消灯時間? 試しに階下の宿泊フロアもチェックしてみたところ……


明るい!

しかもポップな絵画まで飾ってあってオシャレ。さっき見た廊下とは様子が結構違うぞ。まあ、各階でムードは多少違っていたほうが面白いかも。これも格安ホテルの醍醐味というやつなのだろうか。



・味わい深いマイルーム

ようやく自室まで辿り着き、さっそく入室してみると……


3畳ほどのスペースに簡素なベッド、テレビ&でかい冷蔵庫が設置されていた。想像していた以上に狭いが、ただ寝るだけなので問題なし。

靴のままズカズカと入れるのも気楽でいい。ただ、室内にトイレ・バスは備わっていないため、廊下にあるものを他の宿泊者と共同で使うことになる。


歩き疲れたのでベッドに腰かけてみたら……なかなか硬くてビックリ。マットレスはかなり使い古されていて、弾力性がほぼ皆無といっていいレベル。

枕もビーズがぎっしりと詰まった感じでガッチガチに硬い。柔らかめ、硬めは好みが分かれると思うが、筆者にはあまり合わなかったようだ。


窓を開けてみても景色は広がらず、隣の建物の外壁が目前に見えるだけ。手を伸ばせば届きそうなくらい距離が近くてインパクト大。


さらに部屋の中を物色してみたところ、ずいぶん年代物のエアコンを発見。木目調のミニテーブルかと思っていたが、よーく見てみると旧式のエアコンだった。

ぱっと見ただけでは使い方が全然わからないほどレトロ。結局電源は入れずに鑑賞インテリアとして楽しんだ。



・浴室とシャワールームへ

そろそろひとっ風呂浴びに行こう。1階の貼り紙コーナーをさらに奥へ進むと浴室がある。しかし……筆者のチェックインした時刻が遅かったため、浴室の利用時間をオーバーしてしまっていた。つまるところ、もう入れない。


……やっちまった。案内によると利用時間は「16時30分から21時まで」とのこと。ってことは、翌朝も入ることができない。レポートできず誠に残念だが、今回は24時間利用可能なシャワールームであたたまろう。 


シャワールームは浴室のすぐ近く。中にはシャンプー・ボディーソープ・ドライヤーがある。2部屋だけだが、いつでも使えるのはマジでありがたい。


ちなみにタオルや館内着などのアメニティは有料。館内に貼ってあるレンタル料金表によれば、タオルは大きさに応じて50〜100円、館内着は100円とのこと。


ただし、タオル(小)は1回だけ無料でレンタル可能だ。実際にレンタルしてみたところ、サイズはフェイスタオルくらい。体を拭くには問題ない大きさだと思う。

どうやら歯ブラシについては貸し出していない様子。必要な場合は近くのスーパーへ買い出しに行くのもいいだろう。



・無料ドリンクサーバー

シャワーを浴び終えて自室へ戻る途中、洗面所で無料ドリンクサーバーを発見。薄暗い空間でボウッと光るマシンがどこか幻想的だった。ちょうど喉が渇いていたし、寝る前に飲んでいこうか。


ラインナップは煎茶・玄米茶・水の3種類。それぞれアイスかホットかで選べるぞ。共用グラスが牛乳瓶っぽくてユニーク。ゴクっと喉を潤して今夜は就寝。


いざベッドに入って寝ようとしたら……隣の部屋の生活音やイビキが結構聞こえてうまく寝つけなかった。どうも部屋の壁は薄い様子。個室といえど耳栓は念のため持参したほうがいいかもしれない。


朝のチェックアウトは、鍵をエレベーター前の箱に入れるだけで完了。

まるで異世界のような側面も持ち合わせる「エコノミーホテル ほていや」。なかなか見どころがあって面白かった。読者のみなさんも興味があれば、ぜひ1度宿泊してみてはいかがだろうか。


・今回ご紹介した施設の詳細データ

名称 エコノミーホテル ほていや
住所 東京都台東区日本堤1-23-9

執筆:古沢崇道
Photo:RocketNews24.