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聞くところによると、なんでも今日は「キスの日」らしい。ファーストキスの思い出は、みなさんの脳裏にもキョーレツに焼き付いているだろう。初キスではなくとも、若かった頃に交わした甘酸っぱいキスのことを思い出してみるのもオツである。

あれはまだ私が18歳だかの頃。都内某所のスーパーでレジ打ちをしていたメガネちゃんに一目惚れした私は、愛の告白とPHS番号を手紙にしたため、ソバ屋の出前中に豆腐を購入したついでに、それを渡した。そしてなんとなく、付き合うことになった。

何度か会って仲良くなった。そして1カ月くらいした後、夜の公園に行き、ベンチに座った。そっと肩を抱き寄せると、メガネちゃんはウットリとした瞳になり、その下には「いつ重ねてもOKよ」的な唇が、だらしなく半開きになっていた。

来た……と思った。来た。ついに。ついに来たか。ついに……ついに! ついに!! ついに来た! 目の前に唇! 唇との距離は約10センチ! 射程距離! ついにこの時が来た! ついに来た! つ──と3秒くらいの間に、1000回くらいは思った。

──そして、ドキドキしながら、唇を重ねた──。

な……なんという柔らかい唇であろうか! なんという……!! ま、まる、まるでゼリーだ。「これが……AVでしか見たことのない女子高生の唇か!!」と、男子高校に通っていた私は、ひどく感動した。あまりにも感動し、何度も何度もキスをした。そして……

「おいしい。おいしい。なんておいしいんだ。●●ちゃんの唇、柔らかくて、おいしくて、キスが止まらないヨォ……」

──と、甘い声でささやいた。しかも耳元で、ささやいた。正直な気持ちだった。100%ウソのない、実にピュアでフレッシュな、心直送(こころちょくそう)の言葉だった。本当に、本当に、おいしかったのだ。本当に。キスはAだが、おいCかった。

だがその後、●●ちゃんからの連絡は途絶え、なんだかよくわからないまま恋愛期間は終わった。今にして思う。「もしかしたら、気持ち悪かったのかもしれない」と。正直すぎるのも禁物だし、自制することも大切なのだ。どうかみんなも注意してほしい。

執筆:GO羽鳥
イラスト:マミヤ狂四郎