衝撃的──かつ、続きが気になりすぎる終わり方をしたNetflix『ノット・オーケー』。シーズン2の製作はまだ正式に発表されていないが、視聴した人なら誰もが「このまま終わるワケがない」と思っているだろう(未視聴の方は前回の「ネタバレなし」レビュー記事をどうぞ)。

とはいえ、Netflixシリーズは1~2年おきに続編が配信されることが多いので、シーズン2が見られるのは早くても2021年2月ごろだと思われる。そんなに待てないよ~! ということで、このたび原作本を入手してみた! Netflixで描かれていた部分と原作とではナニが同じで、ナニが違うのだろうか?

・原作『I Am Not Okay With This』は……暗い!

『ノット・オーケー』の原作は、アメリカの作家チャールズ・フォースマンによるコミック『I Am Not Okay With This』。AmazonでKindle版を715円で購入した。全編英語だが、「ハリー・ポッター」を英語で読めるぐらいの人だったら問題なく読めるレベルだと思います。


で、実際に読んでみると まるで絵本のような可愛らしい絵柄なのだが「Fワード」がかなり乱発される。一方のストーリーは断片的というか、いくつかのエピソードが積み重ねられていて全体的に “漠然” としているのだが、作品の雰囲気そのものはNetflix版とかなり違っていた。


具体的に何がどう違うのかはのちに詳しく挙げるとして、まずはざっくりとした感想を述べると……暗い。友情や恋愛の要素もかなり薄いし、笑える場面は皆無。極めつけに、救いがない。


・”良いところ” もある

なんだかディスりまくっているので少しだけホメると、多感で繊細、そして不安定な思春期を生きる少年少女の日々を巧みに切り取っている──とも言えるだろう。「何もかも思い通りにいかない」「誰からも理解されない」などという負の面ばかりが目立つので、全体的に暗い印象を与えていることも確かだが、そういうのが好きな人も一定数いるかと思う。


とにかく読んでいるとこっちまでが暗い気分になってくるのだが、幸いかなり短い本なのでアッという間に読み終えた。(1時間もかからなかった)


先述したように、全体的に “漠然” としているため、悪い言い方をすると「断片的で薄い」、良い言い方をすると「想像力をかきたてられ “行間” を埋めたくなる」と感じる内容だ。言うまでもなく、Netflix版の企画者は後者の感想を抱いたと思われる。


 

さて、ここから先は「Netflix版と大きく違っていた部分」をいくつか具体的に取り上げる。


つまり、原作のネタバレが満載!


そのことを承知の上で読み進めていただきたい。


 


 

・原作はココが違う①シドニーの父を死なせたのは……シドニー?

Netflix版では、シドニーの父親が亡くなった理由は「自殺」とされている。1話目でシドニーは「He hung himself(父は首を吊った)」というセリフで死因まで明かしているが──原作ではシドニーが父親を死なせたことが示唆されている。


シドニーの父は、自身の超能力によって身体を蝕(むしば)まれ、全身の苦痛に悩まされていた。やがてその苦しみに耐えきれなくなり、自分と同じ “チカラ” を持つ娘のシドニーに「なんとかしてくれ」と訴える。シドニーは戸惑いつつも父を助けたい一心でおそるおそる両手を父の頭上にかざし……そして「父を苦しみから解放してあげた」ことを明かす。


・原作はココが違う②ブラッドの頭は爆発しない

Netflix版のラスト、シドニーはブラッドの頭を『スキャナーズ』よろしく頭を爆破させ、『キャリー』のように盛大な返り血を浴びた後、走り去って終わるという衝撃的な終わり方だったが──原作ではブラッドの頭はぶっ飛ばないし、2人の対決に至るまでの経緯がかなり違う。


ことの発端は、シドニーの大親友であるディナが、ブラッドの子を妊娠したことに始まる。そのことを知ったブラッドはなんとディナを「ビ〇チ」呼ばわりしたあと、乗っていた車から無理やり引きずりおろすという鬼畜っぷりを見せる。


その後、中絶手術を受けるディナだがブラッドが見舞いに訪れることもなく……。大親友への非情な仕打ちに怒り心頭したシドニーはブラッドの元を訪れ、超能力で頭に “念” を送る──のだが、爆発はせず、ブラッドはただ「血を流して倒れる」という描写にとどまっている。結果的にブラッドが死ぬ、という点においてはNetflix版と同じだ。


・原作はココが違う③スタンリーが “ちょい役”

Netflix版におけるスタンリーは、センスの良い服と独特なサブカル感性、そして本作のコミックリリーフ(お笑い担当)とも言える役割。しかもシドニーに恋心を寄せ、彼女の “超能力” を知る唯一の人物だ。最終話ではシドニーの日記を暴露するブラッドに立ち向かうという男らしい面も見せ、文字通り「超愛すべき存在」であり「超重要なキーマン」だ。


一方、原作のスタンリーは、シドニーに大麻を指南したり、男女の関係を持ったり、シドニーの良き話し相手を務めるという点では同じ。しかし、シドニーの超能力については知るどころか関与もしないし、登場する場面も少ない。シドニーにとって「心の拠りどころ」であることは確かなのだが、それ以上発展はしない “微妙な関係” である。


余談だが、Netflix版では この “微妙な関係” を「親友以上、恋人未満」という甘酸っぱい関係に昇華させていて、お見事としか言いようがない。


・アレもコレも違うし、シーズン2へのヒントも?

以上が、Netflix版と原作とで大きく違った点だ。他の細かい相違点をあげると……例えば、シドニーは17歳ではなく15歳だったり、ディナは同級生ではなく先輩だったり。あと、Ryan(ライアン)という、これまたシドニーに大麻を提供し肉体関係を結ぶ女性が登場するのだが、スタンリーと少しキャラがカブるのでNetflix版では排除されたのだろう。

──が! このライアンとシドニーとの間にシーズン2の大きなヒントになりそうな出来事があったのだ。さらに原作では、シドニーがブラッドの頭をブッ放した後の展開が描かれているだけでなく、Netflix版シーズン1のラストをはるかにしのぐ “超衝撃的” な結末が待っていた。

気になりすぎて頭が爆発しそうな人は、私と同様、原作本をゲットするのも大いにアリだと思うが、今後公開されるであろうNetflixシリーズの結末ではおそらく……いや絶対に違う結末を迎えることになるだろう。シーズン2以降はどういう展開になるのか、筆者による考察はまた別に機会にでも。

参考リンク:Instagram @charlesforsman@iamnotokaywiththis
NetflixAmazon『I Am Not Okay With This (English Edition)』
Report:ショーン