松屋は2023年8月末頃から、ひそかに店舗限定商品の販売を開始していた。その商品とは「ごろごろチキンのコルマカレー」(並:税込730円)である。コルマカレーとは北インドの伝統的なカレーとのことだ。

コルマよりも私が気になるのは「ごろごろチキン」の方である。ごろチキといえば、「ごろごろチキンの煮込みカレー」のことを指すはず。このメニューは松屋の裏番長的な定番商品であり、一部に熱狂的なファン。いや、「狂信者」というべき熱烈な愛好家たちがいるほどだ。

それを事前告知なく、違うテイストのカレーとして売り出してしまっていいのだろうか? きっとアイツが黙っていないはずだ……

・自称、敬虔なごろチキ信者のヤバい言動

この商品は、全国76店舗で販売を行っている。販売店舗については、松屋の店舗検索で確認して頂きたい。私(佐藤)が訪ねたのは、新宿靖国通り店だ。

券売機のカレーの項目に問題の商品を発見、食券を購入して注文を完了した。あとは番号を呼ばれるのを待つだけだ。


思えば、当編集部の熱烈なごろチキファンのアイツは、自らを「敬虔(けいけん)なごろチキ信者」と称していた。

ごろチキ関連の記事を振り返ってみたところ、彼の名義で約35件もの記事を公開していると判明。単一メニューでそんなに記事を書けるもんなの? 何回同じ話題をこすってんねん!


ある記事の冒頭の一節を引用すると、この有様だ。

「松屋の「ごろごろ煮込みチキンカレー」復活ッッ! 松屋の「ごろごろ煮込みチキンカレー」復活ッッ!! 松屋の「ごろごろ煮込みチキンカレー」復活ッッ!!! 松屋の「ごろごろ煮込みチキンカレー」が復活ゥゥゥゥウウウ!」


大丈夫か? いや、大丈夫じゃない。控えめに言って「狂人」の所業に他ならない。また別の記事にはこうある。


「松屋の「ごろチキ」が復活ッ! 松屋の「ごろチキ」が復活ッ!! 松屋の「ごろチキ」が復活ッ! 松屋の「ごろチキ」が復活ッ!! 松屋の「ごろチキ」が復活ッ! 松屋の「ごろチキ」が復活ッ!! 松屋の「ごろチキ」が復活ッ! 松屋の「ごろチキ」が復活ッ!!」


一緒じゃねえか。


……とまあ、こんな調子でごろチキに心酔し、沖縄旅行に行ってまでごろチキを食うイカレ野郎なのである。「信者」なんて生やさしいものではない。ジャンキーだ、骨の髄までごろチキに浸りきっている


・ごろチキコルマカレー

おっと、そうしている間に番号を呼ばれたので商品を取りに行ってみると……。これがコルマカレーのごろチキか


なるほど、チキンがごろごろ入っている。素人の私から言わせれば、これでも十分ごろチキだ。きっとヤツなら認めないかもしれないけどな。


そもそもコルマカレーとはヨーグルトや生クリーム、ナッツなどを使い、クリーミーな味が特徴のカレーなのだとか。このメニューも、ココナッツミルク・ヨーグルトを使い、濃厚でクリーミーな味に仕上がっているという。


味わってみると、口当たりはとてもなめらか。ココナッツミルクのほんのりとした甘さがあり、あとからスパイスの辛味が余韻として残る。「ごろチキ」と名乗っているために、どうしても元祖ごろチキの味をイメージしてしまうのは致し方ないことだろう。


だが、食べると完全に別もの。頭の中のごろチキ像を完全に払拭しないと、この新しい味に違和感を覚えずにはいられない。食べ始めてからしばらくして、ようやく舌が新ごろチキに順応してきた。


濃厚な味が秋の空気にふさわしい。あいにく今年は残暑が厳しく、肌身に秋を感じるにはもう少し時間がかかるかもしれないな。このメニューは繰り返し食べてこそ、その美味しさに気づく類のものだ。1度目はお試し、2度目は確認。3度目にしてようやく真価のわかるメニューと言えるだろう。


・ごろチキごときで……

さて、このごろチキを自称敬虔な信者のあひるねこ氏は、どう受け止めるだろうか?


彼は何度目かのごろチキ復活の際に、タキシードを着て松屋に食べに行ったヤバいヤツだ。よく言えば愛情が深い。悪く言えば妄信的。そんな彼がこれをカンタンに認める気がしないのだが……。


頼むから無茶はしないでくれ。ごろチキごときで丸一日断食したり、有給を取得するお前のことが私は心配だ。頼むから正気に戻ってくれ。ごろチキだけがカレーじゃないんだぞ……


・今回訪問した店舗の情報

店名 松屋 靖国通り店
住所 東京都新宿区歌舞伎町1丁目6-3 石塚ビル1F
時間 24時間

参考リンク:松屋松屋公式X
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24