寿司といえば、まず最初に頭に浮かぶのは「スシロー」や「くら寿司」「かっぱ寿司」など、回転寿司ではないだろうか。次いで、「すしざんまい」や「すしざむらい」のような、いわゆる回らない寿司だ。

これらの他に、もう1つある。私はそのもう1つを個人的に「第3の寿司」と呼んでいるのだが、それは持ち帰り寿司だ。最近ふらりと東京・新宿の伊勢丹を訪ねた時のこと。地下の食品催事場に出店していたお店で、第3の寿司を買って帰ろうとしたところ、何を血迷ったのか、1万800円もする代物を買ってしまった……。そうだ、これは血迷いグルメなのだ。

・頑張る私

この日の伊勢丹の催事は、「私的 “IPPIN” ~頑張る私の晩餐特集」である。なるほど、これは『自らにご褒美を与えよ』というコンセプトだな。


わかる! わかるぞ! その気持ち。手前みそで恐縮だが、私も「自分、頑張ってるな」っていつも思っている。なぜ、誰も労ってくれないのか、不思議でたまらない。「佐藤さん、がんばってますね」は “声に出して読みたい日本語” としてみんなが知っておくべき言葉だと、常々思っている。


きっと誰もが照れくさいんだろう。気軽に言ってくれればいいのに。まあ、待っていても仕方がないので、私は頑張る自分にご褒美を買い与えてやることにした。ヨシ! 今日はお寿司食っちゃうぞ~ッ!! ということで、思い切ってここで1番高い寿司を食っちゃうことにした。それがコレ!!



\\\「鳳凰」税込1万800円 ///


ご褒美とはいっても、さすがに1万円はやりすぎでしょ。板さんが目の前で握ってくれる、回らない寿司ならまだしも、持ち帰り寿司に1万は出せないよ。


しかし身体は心を裏切るもの。気がつけば、編集部の机の上にナゾの包みが……。そう、買っていた


自分が持ち帰ったのは本当に寿司なのか? いまだかつて、これほどまでに厳重な寿司を私は見たことがない。包みを取ると、立派な “折” に購入店の名前「寿司割烹 すし将」と書かれた紙が貼られている。このお店は、神奈川県川崎市の有名なお店なのだとか。


蓋を取ると、そこには20貫のにぎりと、お好みで選んだのり巻き(ねぎとろ)がキレイに収まっていた。これが1万の持ち帰り寿司か。




・幸せな時間

これだけ高価な寿司を食うのに、ふさわしい器がない。キレイな平皿1つ、この編集部にないのだ。仕方がないので、デミタスカップのソーサーにしょう油を注いで食うことにした。ま、いっか! それっぽいし。


豪勢な寿司を自分ひとりで食べることに多少の罪悪感を覚えるが、遠慮している場合ではない。なぜなら、これは私が用意した私へのご褒美だ。誰に憚(はばか)る必要があるというのか? 食うぞ!

まずはマグロの大トロ。お店の板さんによると、「国産は今入らない」とのことで、豪州産のマグロなのだとか。


次は銚子産の金目鯛。


どこ産かわからない、ウニ。


タピオカに見えるけどイクラ! 本物のイクラだ!!


20貫もあると、食べても食べても減らない気がする。


食っても食っても、また食っても。


あ~、英典しあわせ~!


食い終わった後、私は少し罪の意識を感じた。なぜなら、1人で高級寿司を堪能してしまったのは、やっぱり間違いのような気がしたからだ。編集部で分け合っても、1人2貫は食えたかもしれないというのに、私ときたら……。

もしも1人で高級寿司を食おうと考えている人がいたら、購入する前に友達や家族のことを思い出して欲しい。分け合えば、幸せは倍になるかもしれないのだから……

参考リンク:伊勢丹 新宿店「私的“IPPIN”~頑張る私の晩餐特集~」
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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