奈良の秋を彩る一大イベントと言えば、奈良国立博物館で開催される「正倉院展」だ。その正倉院宝物にも見られる “ロウケツ染め” はご存じだろうか。これは天平時代から伝わるとされる、歴史ある染色法。簡単に説明すると、模様となる部分に蝋(ろう)を垂らし防染していく技法だ。

今回はそんなロウケツ染めを体験できる工房があると耳にし、記者が実際に挑戦してみた様子をお届けしたい。気軽に取り組める内容だったので、大人はもちろん子どもにもオススメだぞ。

・はじめてでも心配無用

体験することができるのは、近鉄奈良駅近くのならまちにある「rooftop ならまち染工房」だ。とても見晴らしの良い開放感あふれる工房で、講師は大学・大学院とロウケツ染めに打ち込んだという中井由希子さん。ていねいに手順を示しながら教えてくれるので、全くの初心者でも心配なしだ。

さて、はじめに染めるモノを選んでいこう。小さな壁掛けパネルのようなものか、ハンカチ(大・小)の好きな方を選択。そしてどのような柄にするか、大体のイメージを紙に書いたら実践だ。なお、絵柄の見本なども用意されており、参考にすることもできるので安心してほしい。

・できあがりをイメージして取り組もう

まずは温められた蝋を筆につけ、絵を描いていく。つけた場所が、出来上がりで白くなるという。一度筆を落とすと、後戻りができないのでドキドキ。常に完成形を頭にイメージしながら描いていくことがポイントかと思われる。

一通り、蠟を使った作業を終えると、次は染色だ。筆を使って、用意されている染料を生地の上にのせていく。この際、先の蠟がしっかり染み込んでいないと、にじんでしまう場合もあるので注意が必要だ。あとは、色むらにならないよう、しっかりと手早く染料をのばしていこう。

・体験は要予約

夢中になっていると、時間が経つのはあっという間。1時間半くらいで体験は終了した。後日、出来上がったものを郵送か受け取りに行くことになる。記者の場合は1カ月ほどで、出来上がってきたぞ。

作業自体は全体を通してそれほど大変なものではなく、リラックスしながら楽しんで体験できた。これが1000年以上前から伝わる染色法だと思うと感慨深いものがあるな。ちなみに値段は3500円。体験するには、事前予約が必要なので注意してほしい。秋の奈良観光のプランの一つに加えてみてはいかがだろうか。

・今回ご紹介した店舗の詳細データ

店名 rooftop ならまち染工房
住所 奈良県奈良市東城戸町35 柴田ビル3階
時間 10:00〜18:00(体験は要予約)
定休日 水・木曜日、お盆、年末年始、臨時休業あり

Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.

▼まずは必要事項を確認して

▼下書きをする

▼蠟を使って、生地に描いていく

▼最後に染色をして

▼作業は終了

▼後日、出来上がりを郵送または、受け取りにいこう。ちなみに一反木綿をイメージしました

▼講師の中井由希子さん

▼見晴らしの良い工房で体験できるよ

日本、〒630-8344 奈良県奈良市東城戸町35 柴田ビル