ほんの3年ほど前にウェストミンスター大学の研究者たちが、公衆トイレによくある温風ハンドドライヤーは清潔ではないとの研究結果を発表した。衛生的だと考えられていたハンドドライヤーだったが、実は紙で手を拭いたときよりも多くの細菌が手に残ってしまうとのことだった。

そして今、またひとつ一般的に清潔だと思われていたものが、実はそうではなかったとの報告がなされた。アメリカのジョンズ・ホプキンス病院の研究によると、センサー付きのハンズフリー蛇口から出てくる水には、より多くのレジオネラ菌が含まれているという。レジオネラ菌は肺炎などを引き起こす細菌で、健康な人にはほとんど害を及ぼすことはないが、免疫機構が低下している人には感染症にかかる原因となる。

ハンズフリーの蛇口は、センサーが手を感知して自動的に水が出てくるため、どこにも触らなくてよいという理由から、手動の蛇口よりも衛生的だとされてきた。実際、アメリカの多くの病院や公共施設では10年以上も前から、手で触れなくてよい蛇口が採用されている。

ジョンズ・ホプキンス病院でもそう信じられてきたのだが、彼らがハンズフリー蛇口から出る水の清潔さを調査してみると驚くべき結果が出た。手動と自動それぞれの蛇口20カ所を調べたうち、前者は採取された水の15パーセントにレジオネラ菌が確認されたのに対し、後者では50パーセントにまで及んだという。また、その他の種類の細菌に関しても自動のものと比べると、従来の蛇口から採取された量は半分であった。

この原因は明らかになっていないのだが、研究者らの推測によると、ハンズフリーの蛇口は構造が複雑で様々な部品を使用しているため、水が触れる表面が多く、細菌が潜む可能性が高いつくりになっているとのこと。それに対し従来の蛇口は、シンプルなつくりで使われている部品も少ないため、細菌の繁殖も少ないと考えられるようだ。

現在ジョンズ・ホプキンス病院では、院内全体のハンズフリー蛇口を手動のものに取り替え始めているという。さらに今後は、より簡単に清潔な水を利用できるようにするため、メーカー側との新たな蛇口の製造を検討しているそうだ。

今度、公共の蛇口を利用する際には少々悩んでしまいそうだ。もしハンズフリーと手動を選べたら、あなたはどちらの蛇口を利用するだろうか。

参照元:gizmag(英文)