【実録】神と崇めるGoogle様の広告に「29800円のロレックス」が出てきたのでポチってみたら闇を見た(3ページ目)


まず向かったのは、「満足度が高い」と謳(うた)う買取専門店。もちろんロレックスをはじめとした高級ブランド時計にも対応しているショップである。


ドアを開けると、狭い店内。すぐに店長らしきメガネの男が「どうぞ」とカウンターに通してくれた。

そして「あのぅ、ネット通販で買ったロレックスなんですけども……」と箱から時計を取り出し見せてみると、メガネ店長は眉毛を八の字に傾けながら、開口一番、


「うちの基準だと買えないですね……」


と即答した。はて? 「うちの基準だと買えない」とは? なんなんだ、その遠回しな言い方は……。もっとハッキリ言ってくれ!

ということで、私はズバっと、「それはつまり、この時計はニセモノだということですかね?」と聞いてみたのだが、メガネ店長は、相も変わらず、


「ニセモノかどうかはロレックスに行ってもらえればわかると思うんですけど、うちの基準だと買えないですね……」


と、ニセモノかどうかの明言を回避! なぜだろう? 神を否定することになるからか?

とにかく、何を聞いてもアントニオ猪木のように「ロレックスに行けばわかる」と言うので、その足で近所のロレックスへ ダダーッと行ってみることにした。


そのロレックスは、デパートの中に入っていた。高級感あふれる店構えに若干とまどいつつも、勇気を出してズズイと入店。そして、

「あのぅ……インターネットの通販で買ったロレックスの腕時計なんですけども。これ本物なのでしょうか?

と聞いてみた。すると、対応してくれた女性店員は──


「本物かどうかの鑑定はしておりません。お預かりして “修理ができるかどうか?” という判断しかできないものでして……」


との返事。しかしながら、東京・丸の内にあるロレックス(日本ロレックス 東京サービスセンター)であれば、その場で修理を受け付けているとの有益情報を教えてくれた。

さらに、修理の受付はできないが、少しだったら見てくれるとのことで、私が持参したロレックスを差し出すと、


・まず箱がおかしい
・ストップウォッチ機能の動きも通常ではない
・ベルトの部分も通常のタイプではない


と様々なことを教えてくれたうえに、「つくりが違うのは確かでございます」との明言までいただいた。そんな答えにテンポよく「では、正規品ではない?」と誘いのジャブを打ってみたのだが、返ってきたのは、


「──ご理解をいただければ(微笑)」。


最終ステージは、丸の内にある「日本ロレックス 東京サービスセンター」。重厚な扉を開き、ジャストサイズのスーツをビシっと着こなした店員さんに事情を話すと、すぐに腕時計を診てくれることに。そして、マッハの勢いで……


「こちらは社外品になりますね」


気持ち良いくらいのジャッジメントーッ!! さらに「一応、ウチの技術者にも見せてみます」との展開になったが、そこでも瞬時に「社外品」との判断が下された。

あまりの判定スピードに驚いた私は、「どう見ても社外品なのですか?」と質問してみた。すると、


「どう見ても社外品……そうですね。パッと見てわかるくらいの、ハイ。わたくしども、毎日同じモノを見ていますので、それに比べると作りがやっぱり違いますね」


と実にプロフェッショナルな回答。判定スピードも、そして接客もピカイチだ。もしかしたら、この人だったら……という淡い期待を胸に秘め、私は最後にこう聞いた。


ではこれ、ニセモノということですかね?


それに対する返答は……


「……お客様の言葉を借りるならニセモノということになります」。


──最後の最後まで、自らの言葉として「ニセモノ」と言わなかった今回の3人。一体なぜ言えないのか? 一体何を恐れているのか? うっかり「ニセモノ」と言ったら消されるくらいの闇を感じる。これが神の力なのか……!?


いずれにしても、私は神と崇めるGoogleの広告を信じ、結果として、ニセモノのロレックスを買ってしまった。つまるところ、Googleはニセモノのロレックスの広告を出していた

いや、「出していた」というのは間違いだ。なぜなら、その後も……


webページを見ていても……


YouTubeを見ていても……


なんなら自分の個人ブログにも……


私が購入した「rolleoxs」とは違う店名ならびにドメインだが、価格も、仕組みも、やってることがほぼ同じなサイトの広告を……


Googleはゴリゴリと私に推してくる。


それはまるでアジアの怪しい物売りのごとく、あの手この手で、しつこくしつこく何度も何度も推してくる。


もしも私の勘違いだったら大ごとになるので、そのつどスクショをとりつつ、広告枠を調べているのだが……


やはりいつも──


Ads by Googleなのだ。


もちろん、いちばんの悪(あく)はニセモノを売る業者である。知らず知らずのうちに怪しい広告が紛れ込んでいるGoogleもまた被害者なのかもしれない。


だが私は、あえて言いたい。


「Googleさん、しっかりしてくださいよ!」と。

「あなたが騙されてどうするの!?」と。

「このままだと、そのうち こう言われてしまいますよ」と。


「よく『Googleは神』と言いますが、それは少し違います。Googleは詐欺です」──ってね。



執筆:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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