ponkikki

30代後半から40代の人が、幼少期に見た番組をひとつ挙げるとしたら、多くの人が『ひらけ! ポンキッキ』を思い浮かべるはずである。番組が終了した現在でも、登場キャラのガチャピン・ムックは幅広い年代に支持されている。

この番組、何が一番すごかったかといえば、使用されている楽曲である。ビートルズをはじめとする海外アーティストの有名曲が流れるだけでなく、『およげ! たいやきくん』をはじめとする名曲を世に送り出している。そのなかでも特に秀逸だった曲をお伝えしたいと思う。

・ホネホネロック

作詞高田ひろお氏、作曲佐瀬寿一氏。そして歌は子門真人氏である。ゆったりとした始まりから一転して、ファズをきかせまくったギターリフが炸裂! このフレーズを聞いてギターに目覚めた子どもがいるとかいないとか。少なくとも大人になってから、コピーしたという人も多いのではないだろうか。子門氏のシャウトが最高にファンキーだ!

・いっぽんでもにんじん

作詞前田利博氏、作曲佐瀬寿一氏。歌は なぎら健壱氏である。当時の子どもたちは、この曲を聞いて数の数え方を学んだ。ガチャピンの可愛らしい掛け声とは裏腹に、演奏はソウルフル。ホーンセクションのフレーズがかなりおいしい。

・パタパタママ

作詞高田ひろお氏、作曲佐瀬寿一氏。歌はのこいのこさん。これまたギターのカッコいい1曲、オブリガート(助奏)がかなり秀逸。これとホネホネロックがカップリングだったこと自体が、今となっては信じられない。お化粧したパタパタママはそれほどキレイではなかった……。

・おふろのかぞえうた

作詞高田ひろお氏、作曲茅蔵人。歌はビックリ・エレクトリック・カンパニー。当時の子どもたちが最初に触れたテクノミュージックかもしれない。ボーカルにかかったエフェクトが不思議な響きに聞こえたことだろう。イェイイェイ! ワワワワオ! イェイイェイ! ワワワワオ!

・ごあいさつのうた

作詞北田てつや氏、作曲岡井大二氏。歌はTHE ALFEE。1982年発売の曲、当時のTHE ALFEEの活躍からは想像もつかないようなアレンジの1曲である。歌詞全編が挨拶だけで構成されており、今聞いてもかなり新鮮な印象を受ける。私(佐藤)は小学生ながらこの曲を通して何となく「世界」というものを感じた。

・ガチョウの物語

作詞藤井郁弥氏、作曲:大土井裕二氏。歌はチェッカーズ。この曲、実はチェッカーズがアマチュア時代から演奏していた曲で、ファーストアルバム『絶対チェッカーズ!!』に収録されている。ボーカル高杢禎彦さんの「ガチョーですたい!」という博多弁に衝撃を受けた。

・そのほか思い出の曲

このほかにも紹介したい曲は尽きない。たとえば『はたらくくるま』で車の名前を覚えたり、ケント・ギルバート氏が歌唱した『ケンカのあとは』に恥ずかしい思いをしたという人もいるだろう。さらには『おっぱいがいっぱい』で母親に照れくささを感じたこともあるかもしれない。とにかく、ひらけ! ポンキッキほど秀逸な楽曲を提供していた子ども番組はほかにないだろう。

執筆:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24.

▼『ホネホネロック』。ギターの音がたまらない。ワウを多用しているところも痺れる!

▼『いっぽんでもにんじん』。ホーンにピアノ、ストリングスまで入ったぜい沢な演奏

▼『パタパタママ』。こちらもギターがかなりイイ! 後半に進むにつれてギターが乗ってくる

▼『おふろのかぞえうた』。テクノサウンドに衝撃を受けた

▼『ごあいさつのうた』。展開が練りこまれた秀逸な楽曲

▼『ガチョウの物語』。ちょいちょいコメントを挟む毛虫がいい味

▼おまけ1、『はたらくくるま』。思わず曲に合わせて、掛け声を上げてしまいそうになる

▼おまけ2、『ケンカのあとは』。ケント・ギルバード氏歌唱。子ども心にかなり恥ずかしい歌だった

▼おまけ3、『おっぱいがいっぱい』。いつか空を飛ぶ日を夢みてた……