「インターネットのアルゴリズム」という言葉を聞いたことがあると思う。

めっちゃわかりやすく言うと、その人の興味や関心に合わせて、ネットに表示される情報が変わる……ということである。

その人の現在地、過去の検索履歴、SNSでの閲覧履歴に応じて、興味がありそうな話題を自動的に表示してくれる。

一見便利だけど、個人的にX(Twitter)のアルゴリズムで「めっちゃ怖いな」と思う体験をしたので紹介したい。

・美容クリニックの情報を検索したら…


我々、ネットニュースの記者とSNSは切っても切り離せない関係にある。ネットで情報を拾うことが多いからだ。

きっかけは「自腹レボリューション」の記事を書くために「美容クリニック」や「美容医療」の情報を検索したことであった。

美容クリニックはネットで検索しても宣伝ばかりで情報がないので、生の声が知りたくてX(Twitter)で施術について検索していたのだ。

すると、情報は集まりはしたものの、なんだかXを開いてタイムラインを見るたびに荒んだ気持ちになっていくことに気づいた。

以前は猫ちゃんの画像や美味しいものの情報がバンバン流れてくる平和なタイムラインだったのだが……少し前まで見ていたXと、今のXはまるで別物なのだ。

フォローもしていないのに美容整形を繰り返すアカウントのツイートばかりが流れてくるようになっていたのである……。


・見ているもので表示される情報が変わる


美容クリニックの情報を見続けると、似たような情報が流れてくるようになっている。

美容整形を繰り返す人は言い方は悪いのだがちょっと病んでいる人や、高額な手術代のために夜の仕事に就く人も多い。そして良くも悪くも、見た目へのジャッジが厳しい。

芸能人の見た目の批判、夜の仕事であった嫌なこと、ものすごく細いK-POPアイドルへの称賛、整形をやり直したいといった嘆きの声……などが怒涛のようにタイムラインに流れてくるようになった。

そういう情報ばかり見ていると、だんだん整形するのが当たり前みたいになってくるし、デブでブスは生きる価値なし……みたいな価値観に染まりそうになる。

とにかく見た目とお金に執着したような内容の話題ばかりが流れてきて、洗脳状態になってくるのだ。


・「末期がん」の情報を調べていたら…


また、母が末期のガンだったので、食べられる物の情報を探して「がん 末期 食事」などで検索することがあった。

また、母がXに投稿したホスピスで過ごしている感想や、抗がん剤治療中の投稿に「いいね」などをしていた。

すると……私のタイムラインは末期がんで闘病している人たちの投稿ばかりになってしまった。

患者さんの中には、残念ながら、闘病の甲斐なく亡くなってしまう人もいる……というか、末期がんの性質上、その確率はかなり高い。

家族の方が書いた「〇〇は家族に見守られながら旅立ちました」といった投稿に反応すれば、同じように亡くなった人たちの投稿が優先的に表示されてずらずらと並ぶ。

タイムラインを見るとガンに関する暗い情報ばかりが流れてくるようになり、末期がんの患者を支える家族としては、かなりしんどいものがあった。希望がない……。


・優先表示で狭まる世界


興味・関心のある話題を優先して、クリック数を増やす……というのは非常に重要だと思うが、一方でインターネットのいいところは、いろんな意見が見られること、自分の世界が広がっていくことだと思う。

だけど、関心のあることだけ流れてくるならば、多様性を認めるどころか、その逆にしかならないんじゃないか……。

もし差別的な考えとか、陰謀論にハマってしまえば、その世界から抜け出せなくなるからくりがあるように思う。

ちなみに、こうやって自分と似たような考えの人ばかり表示されて、思想が強化されてしまうことをエコーチェンバー現象という。

とはいえ、前まではこんなに優先表示は強くなかったと思うのだが……。

さらに最近のXはインプレゾンビが閲覧数を稼ぐために無意味なツイートをするので、情報収集のツールとしても使いづらくなった。

見ていると気が滅入ることが増えてしまって、私が大好きだったTwitterはもうないんだな……とひしひしと感じている。

最近は流れてくる言葉に疲れてしまって、書店に行って本を買って読むことが増えた。

かつて寺山修司は「書を捨てよ町へ出よう」と言ったが、今は「Xを閉じよ、本を読もう」の気持ちである。


参考リンク:総務省
執筆:御花畑マリコ
Photo:いらすとや