「親孝行したいときに親はいない」というが、私(耕平)は10年前に父親を亡くしている。その父親に何も親孝行と呼べることができなかったのは、今でも悔いに残っている。ただ、幸いなことに母親は70代半ばを迎えてまだ元気である。

母親には親孝行らしいことを……と思うも、アラフィフになっても思い出す限り何もしてあげられていない。その想いをいつか形にしなければとならないと思っていたが、先日ついに実現することができた。

それは私が愛してやまない沖縄の石垣島に、母親を含めた家族を連れて旅行に行くことだった……。

・ひたすらおもてなし

今回、母親に旅行をプレゼントすると考えたものの、さすがにこの年齢で母親と2人で旅行というのも何だか恥ずかしく気が引けてしまう。なので今回は、私の妹と2年前に離婚した前妻との間にできた2人の娘も連れて行くことにした。

母親も私の娘たち、すなわち孫と旅行したこともないので、その方が嬉しがってくれるだろう。ということで、費用がかさむのを覚悟して計5人分の飛行機を手配。私以外の家族は石垣島はおろか、沖縄に行くのも初めてだ。

そして当日、成田空港で待ち合わせ。いよいよ初めての家族旅行に向けて、飛行機に搭乗する。


出発して約3時間後。石垣空港に到着。旅行客定番の空港前での撮影も、私1人だと決してすることはないが、それすら新鮮に思えてくる。


初日の便は18:00着だったため、ホテルのチェックインと夜食だけで済ます。ホテルは今回は母親を中心とした家族へのもてなしがメインのため、普段のような「値段も部屋もリーズナブルなビジネスホテル」を取るわけにはいかない。

そんなわけで私と私以外の家族は、別々のホテルを予約した。母親たちが泊まったホテルは「アートホテル石垣島」だ。


部屋は12階の「オーシャンビューデラックスフォース」。一人旅では絶対に予約を取らないであろう、そこそこ豪華な部屋だ。


一方私は、繁華街の美崎町の近くにある、いつも一人旅で使用しているビジネスホテルに1人で宿泊。


そして初日の夜食は、以前訪問した「泡盛ゼリー本舗」を経営しているYouTuber「ゼリ男さん」に紹介してもらった、『ISHIGAKI BEEF GRILL BAR go slow (ゴースロウ)』を予約した。


ちなみに今まで石垣島に1人で行ってお店を予約したことは、1回も無い。唯一、半年前に石垣島No.1のマグロ居酒屋と呼ばれている「居酒屋ひとし」で予約を試みたが、結局できなかった過去があるくらいだ。

このお店では、極上の石垣牛が味わえるという。まずはお酒とジュースで乾杯!


そして、石垣牛の盛り合わせが運ばれてきた。


もちろん味は最高に美味いが、バツイチ独身生活も3年近くなるなか、母親を中心とした家族と外食できているのが、何より嬉しい。


・レンタカーで石垣島観光へ

2日目は、レンタカーを借りて家族に石垣島の名所を案内する。手続きを済ませ、「アートホテル石垣島」に家族を迎えにいく。


石垣島でレンタカーを借りるのは、1番最初に来た時以来。いつもの一人旅なら、島を周る手段は原付バイクだけで十分だからだ。そしてまず向かったのは、『石垣やいま村』


ここは石垣島の文化を体験できる、独特な古き良き家並みなどを再現したテーマパークだ。カンムリワシや水牛、リスザルなどの動物にも触れられる。


次に向かったのは、超有名観光スポットの『川平(かびら)湾』


ここでも、川平湾観光の定番と呼ばれる「グラスボート」に家族全員で乗って楽しむ。


グラスボートから覗く透明度の高い海中を見て、家族のテンションは爆上がり! 石垣島の海を堪能したあと、もう一つ個人的に石垣島で1番好きなビーチを紹介したいと思い、『米原ビーチ』に車で向かう。


その近くにある、巨大なシーサーが立ち並ぶ『米子焼 シーサー農園』にも立ち寄った。


そんな感じで2日目の観光は終了。夜は石垣島で有名な海鮮のお店『海人居酒屋 源 美崎町店』を予約。


というわけで、初日に続いて「かんぱ〜い!!」


ここでも、数々の絶品料理を堪能。いつもなら石垣島の夜は1人で飲み歩くのが定番だが、非日常の空間である南の島で家族とワイワイ食事できることが、この上ない幸せだ。


・最終日は竹富島

夜が明けて最終日。石垣島は十分堪能したので、朝からフェリーに乗り『竹富島』に向かう。


まずはバス観光で、島の映えスポット『星砂の浜』に到着。


そして竹富島に来たら、やはり『水牛車観光』は欠かせない。今は人手不足で前日までに予約しないと乗車できないらしいが、家族を連れていくこともあり、事前にツアーで予約していた。ちなみに一人旅でツアーを予約したことは一度もない。

この日は運良く、乗った便に他のお客さんの姿が無く、完全貸切状態! 沖縄の原風景が残る家並みを、ガイドさんの説明と三線の演奏を聞きながら、ゆったりと楽しむことができた。


『西桟橋(にしさんばし)』に行って、綺麗な海に囲まれた絶景も堪能。


その後、石垣島に戻った後は母と妹、娘2人、私と3組に分かれて自由行動。新石垣空港で18:00に待ち合わせして、初めて一人旅じゃない家族を連れた2泊3日の旅が終了。成田空港に着き、電車で帰路に着いた。


・お金はかかったが……

──そんなわけで、40代後半にして初めて家族孝行らしいことができ、家族も大変喜んでくれた。そして、今回の2泊3日石垣島旅行の費用は以下のとおり。


・飛行機代:約15万円
・ホテル代:約8万円
・食事代:約5万円
・その他:約4万円


で、合計約32万円だった。ちなみにこの費用は「全国旅行支援キャンペーン」を利用した値引き後の金額なので、期間対象外だった場合、宿泊料やオプション観光ツアーはプラス20%ほどかかる。

ちなみに普段私が石垣島に一人旅で行く場合は、倍の期間の4泊5日で行って好きに飲み食いしても10万円を超えたことがない。それに比べたら、どうしても割高に思えてしまう。

そして個人的には八重山諸島に何回も足を運んでいるため、普段はさらに離島の黒島与那国島などの離島観光がメインになっている。なので、今回案内した有名な観光スポットを一人旅で訪れることは、普段では選択肢に無い。

しかし、今回の旅行の目的は家族孝行だ。母親には大人になっても迷惑をかけたことがあったし、妹にも兄らしいことをしてあげた記憶がない。娘たちには離婚後離れて暮らしてからも仲は良かったが、きっと辛い思いをさせてしまったはずだ。

そんな家族たちに、行ったことがない沖縄に連れて行ってあげられただけでも、一生ものの思い出が約30万円ちょっとで手に入れられたと思えば、全く後悔は無い。それどころか、また連れて行ってあげられるように、頑張って働こうと心から思えるきっかけを与えてもらった気がする。

こんなことは、家庭によっては当たり前かもしれない。ただ実は私の周りでも、自分の親を含めた3世代で旅行に行ったケースをあまり聞いたことがない(たまたまかもしれないが)。もしかしたらきっとこの時代、そういった機会が減っているのではないだろうか? と個人的に思った次第だ。

もしこの記事をここまで読んでいただいている方の中に、思い当たる人がいるならば、後悔しないうちに一生ものの思い出作りを計画することを、心からオススメするぞ!

執筆:耕平 
Photo:RocketNews24.