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もしも日本で一番穏やかな乗り物があるとしたら、皆さんは何を挙げるだろうか? 記者(私)は水牛車だと言いたい。乗り物としては決して速くない。いや、全然速くない、はっきり言って遅い。そして止まる。場合によっては、お客さんを乗せていても用をたしてしまう。でも、それがいい。そののんびりとした感じが心癒されるのである。

・石垣島から船で15分の竹富島
沖縄県石垣島からフェリーでわずか15分の距離にある竹富島は、水牛車観光が盛んな島だ。フェリーを降りると、水牛観光を営んでいる人たちが待ち構えている。そのいずれかに観光を申し込んで、まずはマイクロバスで移動する。

・小さな街
記者が選んだ竹富観光センターの水牛観光案内所は、車で5分のところにあった。おおむね島の中央に位置した案内所の周りには、小学校や民家を改造した飲食店が立ち並んでいる。しかし街の規模としては大きくなく、その気になればすぐに一周できてしまうほど、かわいらしいスケールだ。そこの水牛に乗って、ゆらりゆらりと巡るのである。

・最高齢の現役水牛、皆治くん
竹富観光センターには、13頭の現役水牛がいる。そのなかで最高齢の皆治(かいじ)くんが、記者の乗る車を引いてくれた。皆治くんは素人目に見てもおじいちゃんだ。角は歳のためか垂れ下がって、左側は折れてしまっている。他の牛とケンカをして折れてしまったのだとか。おじいちゃん牛は10人以上の人が乗る車を、しっかりとひいてくれるのだろうか?

・ゆっくり、しかし確実な足取り
予想通り、皆治くんの足取りはゆっくりゆっくりとしたものだった。車の重量は推定で500~600キロ、そこに14〜5人が乗っているから総重量は1トンに迫る勢い。おじちゃん牛には過酷な労働であるに違いないはずだ。しかしゆっくりではあるものの、しっかりと着実に歩を進めている。その歩みはどこか優しささえ感じるものだった。ガイドの男性は島の文化や風土を説明し、そのうち三線を取り出して歌を聞かせてくれた。

・どこか懐かしさを感じる
竹富島発祥の「安里屋(アサドゥヤ)ユンタ」は古謡として、現在も歌い継がれている。その起源は19世紀初頭と言われており、労働歌として広く親しまれたそうだ。皆治くんのひく牛車にゆられながら、三線の音色を聞いていると、初めての経験なのにどこか懐かしさを覚えるから不思議である。ちなみに水牛車観光は約30分前後で、大人一人1200円。短時間ではあるが異国を旅している情緒を楽しむことができるだろう。

Report:ほぼ津田さん(佐藤)
参照元:竹富観光センター


▼牛車の重量は推定で500~600キロといったところか
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▼そこに14〜5人が乗車する
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▼土産物屋をかねた待合所から牛車に乗る
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▼一台が出ると、そのあとにすぐ次の車が待機。ちなみに耳飾りを付けているのがメス牛
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▼記者が乗車したのは皆治くんの車
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▼道が狭いので、レンタサイクルが来ると停車しなくてはならない
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▼白い道と石垣、そして青い空。どこまでものどかな風景
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▼途中で便意を催すと停車。日陰に入っても停車する。急ぐ移動じゃない
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▼竹富観光センターには13頭が現役。皆治くんはそのなかで最高齢
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▼こちらが皆治くん。おじいちゃん牛です
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▼左角はケンカして折れたのだとか
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▼休憩中はみんな木陰で水浴びをしながら涼んでいる。和むねえ~
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