まず第一に、「人と分けなくていい」ってのは大きい。シェアしなくてもいい快感。そこが完全に満たされるのは、無視できない事実である。一般的に「みんなで食べるご飯は美味しい」的なことがよく言われるけれど、キレイごと無しに言えば、他にも美味しい食べ方はいくらでもある。「全部オレのもん」と思いながら食べ進めるのも、また最高なのだ。

加えて、世間の “常識” から自分が自由であることを再確認できるってのもあるだろう。“常識” とは、「ホワイトデー向けの商品は彼女にあげるもの」とか、「パートナーと一緒に楽しむものでしょ」といった暗黙の了解事項(?)と言えばいいだろうか。

少なからぬ人が、この謎な “常識” に囚(とら)われて自縛状態にあるのは悲しい事実である。「相手がいないよ〜」とか言っている人は、典型的な自縛パターンだろう。しかし自分はまったく囚われていない……ってことを認識することから生まれる満足感は、甘美なこと この上ない。

それがあまりにも甘いため、もしも店員さんから「え? オッサン1人でホワイトデー向けのメニュー食べるの?」みたいな空気を感じ取ってしまったとしても、何ら不快ではない。むしろそのような視線は、甘さに深みを与えるスパイスとなる


もちろん、料理が美味しいってことが前提。美味しいからこそ楽しめるのであり、見た目にも美しいから特別感があるのだ。このあたりは、カップルでホワイトデー向けのメニューを楽しむ人も同じだろうが、オッサン1人でも例外ではない。

たとえば、私が「焼肉一心たん助」で見つけた『肉アソート』もその1つ。まるで高級チョコのように箱詰めされたお肉たちは実に美しく、これでもかと特別感が漂っている。ホワイトデーに合わせて提供される期間限定商品ゆえの “おめかし” が、特別感を演出しているのだろう。


そのお肉たちは、まさかオッサンの口に入る運命だとは思っていないはずだ。「ほぼ間違いなく女性に食べてもらえる」と。「仮に男性だとしても、彼女と一緒にいる彼氏だろう」と。そんな風に目論んでいるに違いない。しかし……! その予想を裏切りぃの〜〜〜〜〜ぉぉぉおおおおお!


パクっ!



うんまあああああああ!



余談だが、私は中学生くらいの頃からバレンタイン・ホワイトデーのチョコ(お菓子)を1人で食べるのが好きで、一斉に割引になる15日前後には近所のコンビニを回っていた。

現在は結婚しているのだが、ふと昔を思い出して『肉アソート』を1人で味わったところ、精神的な満足感はあの頃のまま。何も変わらない。むしろ当時より自由に使えるお金が増えた分、快感の度合いは巨大化していた。

「孤独の楽しみ方」とは、要はそういうことなのだろう。……違うのかな?

参考リンク:焼肉一心たん助 秋葉原店PR TIMES
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼肉アソートの箱はiPhone8と同じくらい。サイズ感もかわいい。なお、お肉はタン元や国産和牛サーロイン、三角バラなど。

▼そんな肉アソートは「極上牛タン尽くしコース(税抜5980円)」を注文するとサービスでついてくる。3月31日までの期間限定だ