銀座ルノアールは、古きよき日本の喫茶店文化を今に伝える老舗ブランドで、東京を中心に全ブランドで110店舗以上(2024年4月現在)を展開している。そんなルノアールが、新業態のお店をオープンした

そのお店は「Aline cafe et sucreries(アリーヌ カフェ エ シュクルリ)」という。名前が覚えにくいのだが、このお店のコンセプトを見てみたところ……めっちゃロマンチックだった! おじさんの私(佐藤)はなんだかちょっと照れくさい感じなんだけど、とにかくお店に行ってみた!

・新業態のコンセプト

お店は京王線府中駅直結の商業施設「ぷらりと京王府中」にある。4月22日にプレオープンし、25日より正式に営業を開始している。


ルノアールの新業態の新店舗だから混雑してるかも? 心配をしながら正式オープン日に訪ねたところ、全然混み合ってはいなかった。とはいえ、昼時に行ったら入店まで20分くらい待つことにはなったのだが。


ところでルノアールの他のブランドの名前には、「Cafeルノアール」「瑠之亜(るのあ)珈琲」「ミヤマ珈琲」など、ルノアールかコーヒー(珈琲)が名前に入っている。

しかしこのお店にそれらの言葉はないうえに、名前が覚えにくい。アリーヌなんだっけな、アリーヌカフェシュクメルリ? いや、違う、アリーヌカフェエシュクルリだ。

なんでこんな覚えにくい名前にしたのか? 何か理由があるだろうと、ニュースリリースで店舗コンセプトをたしかめると、次のようにあった


「今回展開するブランド名のモチーフにしたアリーヌ(Aline)は、フランスの印象派の画家であるルノワールの絵画制作を献身的に支えた最愛の妻であり、料理好きで純朴、家庭的な人であったと言われています。

当社は、ビジネス街を中心に出店するメインブランドの「喫茶室ルノアール」に寄り添えるようなカフェを創りたいという想いから、アリーヌ(Aline)をブランド名に選定いたしました」


ルノアールに寄り添うブランドとして作ったって、めっちゃロマンチックじゃないの!! そんなコンセプトで新業態を出店する飲食チェーンは、ほかにないよ! さすがルノアール、経営に美学を感じる



・看板メニューのクラフティ

入店待ちをしている間に、その事実を知った私は、店前のベンチで1人で赤面してしまった。ロマンチックな店に入ると思うと緊張してしまう……。そして順番が来たので、頬を赤らめつつ入店。

さっそくメニューを見ると、見慣れない品々が並んでいる。少なくとも本家ルノアールとは、品揃えが全然違う


お店の看板商品は、仏リムーザン地方の伝統菓子「クラフティ」。牛乳とたまごをベースにした生地にフルーツを入れてオーブンで焼き上げる素朴なスイーツなのだとか。ちなみにクラフティは、温かいものと冷たいもののいずれかを選べる。


食事メニューにはグラタンが4種用意されており、パングラタンかライスグラタンをチョイスできる。


モーニングもオシャレ、南仏がテーマなのでパンはトースト(食パン)ではなくクロワッサン。


注文はスタッフに口頭で伝えることもできるけど、近頃どこのお店でも導入しているスマホオーダーを採用している。利用客に割と年配の方が多いので、口頭で注文するお客さんも多そうだな。



・思っていたのと少し違った…

私は「きのことベーコンのクリームグラタン(温たまのせ)」をパングラタンで頼んだ。単品ではなく食後にクラフティ(温かいチョコクラフティ)のつくセット(税込1880円)だ。ドリンクセットも3種類あり、注文できるドリンクによって値段が異なっている。それにミニサラダ(税込200円)も追加で注文している。


オーダーしてから提供までに結構時間がかかっている。グラタンという料理の性質上、提供に時間がかかるのは仕方がないかも。だいたい20分は待ったかな。そのグラタンには、パン・ベーコン・きのこ・かぼちゃが入っている。


今日は夏日で最高気温は25度。グラタンを食べるには適した気温とは言えないのだが、それでもチーズとホワイトソースをしっかり絡めたパンを頬張ると、心がほっこりと和む。家庭的だったといわれる、ルノワールの伴侶、アリーヌの人柄を想像できるような素朴な優しい味だ。


セットのクラフティを待っていたら、追加で頼んだ「ホワイトチーズテリーヌ」(税込800円)が先に来てしまった。クラフティも温めに時間がかかるんだろうなあ。


酸味が強くチーズのコクもしっかりと味わえる。とろけるような口当たりとこっくりとした甘さで、コーヒーの苦味との相性も良い。


スイーツはすべて手作り。このお店のためにオリジナルレシピを開発し、生地作りから焼き上げまで店舗で一貫して行っているそうだ。



テリーヌを食べ終わった頃にクラフティが出てきた。温かい「赤い果実のクラフティ」のチョコレート。トッピングにアイスを選んでいる。


「温かいチョコ」のクラフティだったので、私はてっきりフォンダンショコラやチョコレートブラウニーのような味を想像してしまっていた。だが、クラフティはそういう類のものではなく、あえていえばプリンに近い食感。生地は柔らかくトロリとしている


思い描いたものとは違ってちょっと戸惑ってしまった。ようするにこれは温めたプリンと思って頂きたい。それにクランベリーとぶどうが入っている。温かいクラフティに冷たいアイスを乗っけると、溶けたアイスとの相乗効果で、さらに甘さが増して感じられる。


プリン好きの私としては、これは冷たいものを食べるべきだった。きっとその方が好みだったし、冷たい方がクラフティには合っている気がする。いかんせん初めて食べるものだから、味のイメージを見誤ってしまった……。


さてこのお店は、アリーヌの「1号店」と位置づけられている。ということは、今後お店が増える可能性もある。どちらかといえばルノアールは男性の利用客が多い印象なので、女性でも入りやすいブランドとしてアリーヌを作ったのかも。スイーツすべて手作りの挑戦的な店舗は、今後増えて行くのか? 展開が気になるところだ。


・今回訪問した店舗の情報

店名 アリーヌ カフェ エ シュクルリ ぷらりと京王府中店
住所 東京都府中市府中町1-2-1 ぷらりと京王府中西1F
時間 7:00~22:00 日祝7:00~20:00

参考リンク:PRTIMES銀座ルノアール
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24