「伝説のすた丼屋」が2021年3月1日より期間限定の新メニューを発売している。約4年ぶりに仕入れたという “牛たん” を使った、『とろ玉牛たん合戦焼肉丼』というヤバそうな名前の商品だ。これは食べるしかあるまい。
そこでさっそく『とろ玉牛たん合戦焼肉丼』を注文しようとしたところ、同時に『唐揚げ合盛りとろ玉牛たん合戦焼肉丼』という商品も発売されていることに気付いた。コイツまだ積んでくるのかよ。こうなったら、その『唐揚げ合盛りとろ玉牛たん合戦焼肉丼』とやらを食べるしかあるまい。
・すた丼屋の新商品
“中とろ牛たん” と “豚トロ” という異色のダブル肉を合い盛りにしたという『とろ玉牛たん合戦焼肉丼(税込980円)』。念のため繰り返すが、『合戦焼肉丼』である。合戦してるのか、丼の中で。そこは仲良くしろよと言いたいところだが……
私が注文した『唐揚げ合盛りとろ玉牛たん合戦焼肉丼(税込1180円)』に至っては、さらに唐揚げが介入することで、現場がもはや収拾不能な事態となっているため覚悟が必要だ。まあ言葉で聞くより実際に見てもらった方が話は早いだろう。
そう、ただの殴り合いである……!
・ほぼ戦場
敵味方入り乱れる三軍。爆炎の如く舞う青ネギ。そして、その隅で息をひそめる漬け物。まさに三つ巴! 肉の三国志ッ!! 一体どの国が覇権を握るのか見当もつかないので、とりあえず一つずつ食べていくことにする。
まずは牛たん。実はけっこうしょぼい肉を想像していたのだけど、これが思った以上に厚くて柔らかい。まあ高級店とまでは言わないが、焼肉屋で出てきてもギリギリおかしくないレベルの割としっかりした牛たんである。ウマし。
一方、豚トロはというと……うわデカッ! こちらも焼肉屋と同じくらいか、なんなら一回りくらい大きいような気がするぞ。よって食べ応えは十分。味に関しても嫌な脂っぽさはなく、安定してウマい安定の豚トロだ。が、しかし……。
そこへ割って入る唐揚げの気性の荒さよ。すた丼屋の唐揚げはデカイ上にニンニクがひたすら効きまくっており、ただそこにいるだけで場の均衡を乱してしまうバランスブレイカーである。これは終わった。完全に終わり申した。と、すべてを諦めかけた……その時だった。
空より飛来する……
別添えの月見とろろ……!
いや……どうすんだよこれ。突如として丼の中心に出現したとろろの海を、ただ呆然と眺める牛タンと豚トロと唐揚げと漬け物。何たるカオス。もはや合戦どころではない。私(あひるねこ)も、そろそろ意味が分からなくなってきたぞ。なのでこうなったらもう……
黙々とかき込むしかあるまい。
・言葉はいらない
カニとネバネバした食べ物は、時として人を黙らせる。お前ら、店の中であまり騒ぐな。感染すんだろ。黙って食ってろ──。もしかするとこれは、「伝説のすた丼屋」からのメッセージなのかもしれない。そう、“密” でいいのは丼の中だけなのである。
『とろ玉牛たん合戦焼肉丼』は原料が希少なため、約1カ月の限定販売を予定しているそうだ。在庫がなくなり次第販売終了となるため、肉の三国志を目撃したい人は急いだ方がいいだろう。ただしその際、余計なおしゃべりは一切無用。とろろをかけた上で、ぜひ黙々とかき込んでいただきたい。