「使い捨てカイロ」が頼もしい季節になってきた。カイロ目線だと「頼ってるクセに “使い捨て” にすな」と思っているかどうかはわからないが、我々に温もりを与えるためだけに その短い命の灯(ともしび)を捧げてくれているのだ。“彼ら” にはもっと感謝すべきかもしれない。

と、「使い捨てカイロ」に寄り添ったハートフルなことを言っておきながら、今回は “彼ら” にバトルロイヤルをさせる。各社から発売されている「使い捨てカイロ」の中で一番 優秀なのはどれか……それぞれの「速暖性」「持続時間」「最高温度」を徹底的に比較したぞ!

・使い捨てカイロ6社、出てこいやぁ~!

仁義なき戦いをしてもらうのは、以下の6社の使い捨てカイロたち。出てこいやぁ~!

1. ホカロン(ロッテ) 230円(10個入り・税抜き / 以下同じ)
2. マグマ(桐灰) 298円
3. ダンダン(マイコール) 170円
4. カイロ(アイリス) ※価格不明
5. オンパックス(エステー)230円 230円
6. カイロ(情熱価格) 168円

全て「貼らない」タイプ、かつ「ミニサイズ」で統一した。また、それぞれの価格は地域や時期、販売店によって多少変わると思われるので、その点はご了承いただきたい。ちなみにアイリス製のカイロはたまたま自宅にあったものを使用したので、市場価格は不明。

・測定方法は「赤外線放射温度計」

さて、この6社の使い捨てカイロを「速暖性(スピード)」「持続時間(スタミナ)」「最高温度(パワー)」の3分野で競わせるのだが、どうやって温度を測定するのかというと……

どの家庭にも1台はある「赤外線放射温度計」を使用する。物体に向けて引き金を引けば、大体の温度を示してくれる便利グッズだ。

・トーナメント会場は「ウルトラライトダウン」

カイロたちにはベスト・パフォーマンスをしてもらうため ユニクロの「ウルトラライトダウンジャケット」の懐(ふところ)に配置することにした。

この日本が誇るコストパフォーマンス最強の防寒具の上でカイロたちがぬくぬくと温まる中、私が「赤外線放射温度計」でカイロたちの温度を30分おきに測定して検証してゆく。ちなみに開封してすぐのカイロの温度は 20度 前後といったところ。

さあ、役者はそろったし舞台も整った! 

さっそく検証スタート! 

……と、その前に!

・Pick Up! この3社に注目

測定は公正・公平に行うが、個人的に注目する “選手” を3つほど挙げたい。

まずは『マグマ(桐灰)』。どうやら西日本では圧倒的なシェアを誇るらしいのだが、近年は東京都心でも良く目にするようになった商品だ。言い換えれば「なんか最近 目立つ新人」のような存在。というか、コレの性能が知りたくて今回の検証を実行しようと思った次第だ。果たしてその実力は……。

一方、神奈川県で育った私にとって もっともなじみ深いのは『ホカロン(ロッテ)』である。ひいき・忖度(そんたく)はしないが、コイツはできる子。武運を祈る。

そして、そして! ドンキホーテで販売されている『カイロ(情熱価格)』も目が離せない存在だ。使用したことは全くなく、その性能は未知数。お前の “情熱” は当然、アツアツなんだろうな……? しかと見せてくれよ~!


 

ヨタ話はこのくらいにして、いよいよ検証結果をバンバン発表していくぞ!


 

・「速暖性」は “思わぬ伏兵” アイリスが優勝!

まずは、人肌より温かい「40度」に最速で達したカイロを測定する「速暖性(スピード)」部門だが……

完全にノーマークだった アイリス社の『カイロ』が完全勝利!

なにがすごいって、開始6分足らずで 43.4度 をマーク!

そして、その2分後(開始8分後)にはすでに 50度オーバーを記録し、他社を圧倒した。スピードでは完全にぶっちぎり!! 使い捨てカイロですぐに暖をとりたい、という方はアイリス社のカイロを使用するといいかもしれない。

ちなみに40度に達するのが もっとも遅かったのはエステー社の『オンパックス』で、38分も要した。遅い! 喝(かつ)! それにしても、会社によってこんなに違うものか、と驚かされた。


 

・「持続時間」はエステーが優勝!

続いて、温かさ(40度~)をどれだけキープできたかを測定する「持続時間(スタミナ)」部門だが……

な、なんと! 「速暖性」でビリッけつだった『オンパックス』が優勝!!

 

『オンパックス』は立ち上がりこそ鈍かったものの、検証開始から1時間を超えたあたりからグングンと温度を伸ばし、53度オーバーの好記録をマーク。本命の『マグマ(桐灰)』をしのぐほどの勢いを見せた。

『ホカロン(ロッテ)』や『ダンダン(マイコール)』も健闘したが、後半戦では事実上『オンパックス』と『マグマ』の一騎打ちとなった。しかし、その『マグマ』も検証開始から9時間30分で、ついに「30度台」へと陥落し首位争いから離脱。

結局、オンパックスは11時間以上も 40度 をキープする絶倫ぶりを発揮し、「持続時間」部門で堂々の優勝を飾った。すごいよ、オンパックス! エステーさん、さっきの「喝」、取り下げ!! すいませんでした。

一方、「速暖性」部門で華々しい勝利を収めたアイリス製カイロの落ちぶれっぷりには驚きを通り越して笑った。スタートダッシュは決めたものの、そのピークは検証開始から1時間。そして3時間が経ったころには早くも 30度強 という冷めっぷりを見せた。熱しやすく冷めやすい……。

その後もどんどん冷たくなりやがるから、叩いたり振ったりして蘇生措置を試みたものの、てんでダメ。(※公平性を保つため、ほかのカイロにも同じ措置はした)

学生時代、マラソン大会で1人はいたでしょう? スタートだけ全力疾走して、あとは最後尾をずっと走る目立ちたがり屋のバカ。まさか使い捨てカイロ界にもこういう奴がいたとは……。

と思ったら、4時間あたりで謎のV字回復を遂げた。

なんなんだよ。

と思ったら、再び落ちぶれた。アイリスは2度死ぬのか……。

その後は「お先に失礼しまーす」と言わんばかりに完全離脱。マイペースな お調子者タイプだな。嫌いではない。


 

・「最高温度」は、オンパックスがマグマを制す

そして、ラストは「最高温度」。『マグマ(桐灰)』が開始3時間で 56.4 という好記録を出すも、その後『オンパックス(エステー)』が 57.4度 を叩きだし、僅差での勝利となった。

ただし、どのカイロも50度はゆうに超える記録を出していたことは強調しておく。

・検証を終えての まとめ

ということで「速暖性」部門ではアイリス社の『カイロ』が、「持続時間」「最高温度」の2部門ではエステー社の『オンパックス』が連覇する結果となった。『オンパックス』は今大会の最優秀選手(MVP)といってもいいだろう。あっぱれ! 

ちなみに開封して1時間~6時間はほとんどのカイロが “温かい” と感じる 40度 をキープしていたので、6時間以上の使用を求めないのなら、どれを使ってもおおむね満足できそう……というのが検証を終えた正直な感想。最高温度も前述の通り、各社さほど差はなかった。ただし「いまだけ、すぐ温まりてぇー! いまだけ!」 という場合は、アイリスを使うかも?

・あくまでも “参考記録” です

なお、今回の測定で はじき出された記録は全て “参考記録” だ。検証する地域や室内環境、ひいてはカイロの個体で若干異なるデータが出てくることも十分に考えられる。……が、本記事が読者の今後の「使い捨てカイロ」選びで何かの役に立てば幸いだ。それでは皆さま、温かい冬をお過ごしください!

Report:ショーン
Photo:RocketNews24.