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2016年4月21日、アメリカ中西部ミネソタ州の自宅で亡くなったプリンスさん。彼の名前を聞いて、真っ先に思い浮かぶのはその中性的で独創的なルックスではないだろうか。しかし、その個性的な容姿もさることながら、ポップでキャッチーな楽曲を多数生み出しているヒットメーカーであることも忘れてはならない。

そこで、今回は偉大なるミュージシャン「プリンス」を知るために聴いて欲しい曲10選をお届けしたいと思う。彼が残した音楽史に残る名曲、そして名演の数々にあなたもきっと心打たれるハズだ。

【プリンスを知るために聴いてほしい曲10選】
・Soft and WET(1978年)

まず最初にオススメしたいのはプリンスのデビューアルバム「For You」からの1曲である。この曲はシングルカットされ、全米総合チャートでは92位と目立たなかったが、R&Bチャートでは12位という輝かしい功績を残した。

ここで驚くべきは、当時19歳のプリンスがほぼ全ての楽器を演奏していることだ。アルバムの中で最もノリの良いこの曲では、彼の中に根付いているファンキーなリズムをダイレクトに感じることが出来る。プリンス入門者にもピッタリの1曲といえよう。

・1999(1982年)

ダンサブルなビートに合わせてシンセの印象的なコードフレーズが繰り返されるこの曲。シングルとして最高で全米総合チャート12位、ダンスチャートで1位となったプリンス初期の代表曲のひとつだ。

同曲が収録されている2枚組アルバム「1999」は、ファンクやR&B好きのプリンスファンの間で未だ最高傑作と評されるほどの名盤。1980年代のダンスミュージックの象徴とも言えるサウンドの数々が収められている。

・How Come U Don’t Call Me Anymore(1982年)

前述の「1999」のB面としてリリースされ、人気女性シンガー「アリシア・キーズ」がカバーしたことでも有名なこの曲。プリンスがアコースティックピアノをリズミカルに弾きながらソフトに歌うところが印象的である。ぜひヘッドフォンなどでじっくり聴いていただきたい1曲だ。ちなみに、ベストアルバム「The Hits / The B-Sides」に収録されている。

・Purple Rain(1984年)

4曲目は、言わずと知れたプリンスのこの名曲。全世界で2000万枚を売り上げ、24週間も全米チャート1位に留まり続けたアルバム「Purple Rain」のタイトルトラックである。これを聴かずしてプリンスは語れない。

・New Power Generation(1990年)

プリンスの1990年以降のパワフルで華やかなサウンドを代表する「New Power Generation」である。以前の作品と聴き比べると、圧倒的にシャープで重厚なサウンドに変化しているのがわかる。タイトル通り、新世代の到来を感じさせる1曲だ。

・Chains O’ Gold(1992年)

6曲目は、アルバム「Love Symbol」からの1曲。伝説のロックバンド「クイーン」から影響を受けて作られたといわれるこの曲は、ピアノとロックギター、そしてシンセにオーケストラ、さらにはコーラスが入った、壮大なサウンドを聴くことが出来る。ハードロックファンにもオススメしたい1曲だ

・Musicology(2004年)

7曲目は、プリンスの音楽のルーツであるファンクミュージックの要素を濃厚に取り入れた1曲である。ファンクへの熱い想いはサウンドのみならず、歌詞にも反映されており、ファンクの帝王「ジェームス・ブラウン」やディスコの象徴「アース・ウィンド・アンド・ファイヤー」などのことを歌っている。

・Get On The Boat(2006年)

続いては、大ヒットアルバム「3121」の中からの1曲だ。前述のMusicologyと同様、これぞファンクミュージックといったアレンジで、パワフルでノリのいいリズムと大迫力のホーンセクションが特徴となっている。

ちなみにこのホーンセクションのサックスは、ジェームス・ブラウンのバックバンドの元メンバーである重鎮メイシオ・パーカー。プリンスがジェームス・ブラウンの真似をして、サックスソロの手前で「メイシオ!」と呼ぶところがたまらない。

・Fallinlove2nite(2015年)

9曲目は今っぽくて聴きやすいこの曲である。4つ打ちのビートにシンセサウンドがゴキゲンな1曲。言われなければプリンスだとわからないほど、エレクトロでポップなサウンドに仕上がっている。

・Baltimore(2015年)

タイトルの通り、米国バルティモア(Baltimore)で黒人青年が警察官に拘束され、怪我を負って亡くなった事件を受けて作曲された曲だ。「もう拳銃は捨てよう。これ以上戦いはやめよう。愛する時がきた。耳を傾ける時がきた」とポジティブに歌うプリンス。その前向きな姿勢が全体のサウンドにも表れており、優しくて明るい1曲となっている。

以上が、プリンスを知るために聴いて欲しい曲10選だ。彼がいかに多才で柔軟で、そしてセンス溢れるミュージシャンだったかを感じ取っていただけたら幸いである。

執筆:K.ナガハシ
イラスト:マミヤ狂四郎

▼「Soft and WET」

▼「1999」

▼「Purple Rain」

▼「Musicology」

▼「Baltimore」