
今や私たちの食文化に欠かせないコーヒー。筆者も大好きで、常にデスクには大きなマグカップがある。黒いし苦いし酸っぱいし、最初に口にした人は勇気があるなと思うが、その奥深い風味には形容しがたい魅力がある。
日本にコーヒーが伝わったのは江戸時代だという。舶来の高級品であったし、たぶん味も好まれなかったのだろうが、初期の頃はごく限られた人の飲み物だった。しかも今のような嗜好品ではなく、一種の医薬品だった。そんな時代のコーヒーが、青森県弘前市で飲めるという。
・古文書を再現した「藩士の珈琲」
桜の名所として知られる青森県弘前市。歴史的に外国人教師が多く招かれたことから、いたるところに洋館が残るレトロ建築の街でもある。カフェとして広く開放されている建物もあって、古民家や古建築好きにはたまらない。
そんな洋館のひとつ、旧東奥義塾外人教師館の一階「サロン・ド・カフェ・アンジュ」で、筆者はあるメニューを見つけた。通常のコーヒーメニューもあるのだけれど、それとは別に「藩士の珈琲」(税抜600円)というのが目にとまる。
江戸時代のこと。幕府の命により多くの弘前藩士が蝦夷地(北海道)に渡った。そのとき、浮腫病(かっけ)の予防薬として配給されたのがコーヒー。
コーヒー豆自体は鎖国時代から日本に渡来していたけれど、一般的な飲み物ではなかった。外交官などではない庶民として、日本で初めてコーヒーを飲む習慣が生まれたのが弘前藩士だと言われているそう。
現在、弘前市内では古文書にあるとおりに当時の製法を再現した「藩士の珈琲」を10店舗で提供。「珈琲の街」として文化を伝えている。
こちらがその「藩士の珈琲」! 湯飲みがついて、見た目はどことなく日本茶セットである。コーヒーカップなんてハイカラな食器は、当時は一般的でなかっただろう。
コーヒー豆はティーバッグのような袋に入っている。ミニチュアの麻袋が可愛らしく、トトロのドングリ袋みたいだ。
今はあまり見ないけれど、銭湯の「薬湯」をほんのり連想させる。昔うちの近くのスーパー銭湯には、ちょうどこんな巾着袋に薬草をつめた湯船があって、浴室中が強烈な匂いに包まれていた。もみしだくと中から薬効成分が出てくるのだ。
ポットにはすでにお湯が入っているので、1分ほどかけて抽出する。ヒモで振り出しながら、好みの濃さになるまで待つ。
いいと思ったら湯飲みに注ぐ。結構長く浸していたけれど、色は薄めでアメ色に近かった。
薬として飲まれていたという記録があるくらいだから、かなり苦いのかと想像する。クラフトコーラのような薬草感があるのではないだろうか。砂糖を入れてもよいとのことだが、リコリスみたいになるんじゃ……と警戒してブラックのままいく。
コクッとひとくち飲んでみると……
これは……
まったく苦くない! むしろ優しく穏やかで澄んでおり……黒豆茶によく似ている!
ちょっと薄い感じがするし、抽出に時間をかけているので湯温もぬるい。クセがあったら最後まで飲めないかもと心配していたのだけれど、それは杞憂だった。むしろパンチがまったくないので、食後の1杯としては物足りないほど。
お茶感覚でスルスル喉を通る。湯飲み茶碗の日常感と、ドールハウスみたいな洋館の非日常感とのミスマッチがおもしろい。この和洋折衷こそ日本文化の真髄!
植物特有の青くささのような、豆っぽさがごくわずかに感じられるけれど、クセはほとんどない。これなら藩士たちもさほど抵抗なく、ぐいぐい飲めたのではないだろうか。
その後の文明開化を経て、白エプロンの女給さんがおもてなしをする「カフェー」が大流行。喫茶文化が大衆に広がり、文化人の集う華やかな社交場になっていったのはご存じのとおり。
歴史の証人である古い洋館で、再現コーヒーをたしなむひととき。館内のレトロな雰囲気も相まって、とても芳醇な時間だった。
・コーヒー文化の街、弘前
現在でも弘前には歴史ある喫茶店が多く残り、洋館めぐりとともに楽しめる。洋食や洋菓子の文化も息づいている。もちろん名物のアップルパイも文句なく美味しい。
「カ、カフェインが足りない……!」と直後に現代コーヒーを飲み直して余韻をぶち壊した筆者だが、往時に思いを馳せながら過ごす時間は素晴らしかった。弘前に旅したならぜひ!
参考リンク:青森県観光情報サイト
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
冨樫さや










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