yoshida1b

先日お伝えした「似顔絵戦争」以後、しばし “迷惑メールが届かない” という冬の時代が到来していた。だが、怪しいサイトにメアドを登録しまくる “種まき” をやりまくった結果、今では以前よりも……いや、「逆襲」と言える量の迷惑メールが届いている。

非常に嬉しい事態であるが、百戦錬磨の「羽鳥フィルタ」を突破する最新鋭の迷惑メールも増え続けており、私のメールボックスは破裂寸前、必死に仕分けしている今日このごろだ。よって今回は、過去に届いた小ネタ的な “人情系迷惑メール” を紹介したい。題して「ラーメン屋の健二」である。

時は2014年の3月。やたらと長ったらしいメールアドレスから、以下のようなメールが突然届いた。ちなみに「ホニャララ@softbank.ne.jpp.jdyjd.org」という凄まじいドメインである。

件名:吉田さん! この前はラーメン食べに来てくれてありがとうございました!
内容:「吉田さんに教えてもらったアドレスに初めてメールしてみたけど分かりますか? 店でバイトしてた健二っす! お客さんにアドレス教えてもらったのは初めてだったから…どうメールしていいのか.分からないけど勇気を出してメールしてみま.した! またラーメン食べに来てくださいね!」

──なんという健気(けなげ)なメールであろうか。今どき、こんなにサワヤカかつフレッシュなメールを送るヤツは珍しい。健二の健は健気の健であることは間違いないだろう。

しかも、ところどころに、おなじみの「.」が入っているが、健二の「.」は量が少ないのでホクロのようにも見えてきて、なんだかとっても可愛らしい。可愛いよ健二……。それはどうでもいいとして、私は、

私「健二って……もしかしてあの健二か?」
私「健二、お前、あの店だろ? スープがマジで最高だった。また行くよ!」

と2連発で返信した。どこのラーメン屋なのかは不明であるが、もしかしたら、私がよく行くラーメン屋の大将が健二である可能性も捨てきれない。大将にメールアドレスを教えた覚えはないけれど、もしかしたら人づてに聞いたのかも知れない。

いずれにしても、現段階では、お互いに目隠し状態。健二は私を吉田だと思い、私は健二を大将だと思っている。お笑いコンビ「アンジャッシュ」のコントのような展開が期待できる、まずまずの第1ラウンド終了といった攻防だ。ところが健二は……

件名:ん!.吉田さんっすよね? このアドレスは合ってますか?
内容:「吉田さん! 店で声かけてもらっ た健二っす! 吉田さんに教えてもらったアドレスにメールしてるんですけど吉田さんの携帯で合ってますか? 返事ないから間違ってないか気.にな ったんですけど、このアドレスは吉田さんのアドレスですか?」

──ん! ……乗ってこない。最初こそ、私のことを吉田と信じている体(てい)であるが、最終的には「吉田さんっすよね?」と疑いの姿勢を崩さない。私が吉田であっても吉田ではなくても無礼ではない、両面的(りゃんめんてき)な文章構成だ。ヤルな健二……。しかし、私も攻め方を崩すわけにはいかない。

私「もしかして、あのラーメン屋の健二なのか? おれのこと分かる? 声かけたじゃん!」

──ラウンド2の攻防は上記のとおり。私が吉田なのかどうかはさておいて、健二のラーメン屋が “どこなのか” を聞き出す1手だ。だが、健二もバカではない。吉田とのエピソードを交えた、なんとも心がホッコリする「イイ話」を送ってきたのである。

件名:まさかっすけど …吉田さんじゃない? 教えてください!
内容:「返事ないから.心配になってきま.した。俺はラーメン屋でバイトしてる健二っていいます。この前ラーメンを食べに来てくれたお客さんがいて、店.のラーメンを気に入ってくれたんです。その時接客してた俺に『また食べに来るから』って言ってくれてアドレスを教えてくれました。だから先日のお礼メールを今日送ってたんすけど…もしかして吉田 さんじゃないですか?」

──そ、そんなイイ話だったのか……。ラーメンが美味かっただけでアドレスを教える吉田もスゴイが、「お礼のメール」を送る健二もスゴイ。この2人、もしかしたらデキているんじゃ……と嫉妬するレベルの、感動的な出会いエピソードだ。

嫉妬心と同時に、なんだか申し訳ない気にもなってきた。健二と吉田のラブ・ストーリーに、私が横ヤリを入れるのは野暮(やぼ)であると思えてきたのだ。

しばらく悩んだ末、私は健二に、素直な気持ちをメールした。いびつな三角関係に終止符を打とうと決めたのだ。どう返事したのかは、次ページ(その2)へGOである……!!

Report:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.