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電車に、艦隊に、国家と、あらゆるものが擬人化されている。止まらない擬人化ムーブメントだが、最近、中国ネットユーザーによる「書体の擬人化」のクオリティがハンパないとインターネット上で話題になっている。

なにがどうすごいのかと言うと……その水墨画風の美しいイラスト!! さらに各書体の特徴もバッチリ押さえられており、書体同士の人間関係から妙に歴史に詳しくなれちゃうというのだ! 

「書体」と言われると、真っ先に思い出すのはパソコンでよく使われる「明朝体」や「ゴシック体」だろう。だが、漢字の誕生・すなわち紀元前1300年頃の殷(いん)の時代の甲骨文字に始まると言われる中国書道では、さまざまな書体が存在する。

中国のネットユーザーらが、以前、その書体を擬人化! それが、最近まとめられてネット上で話題になっているのだ。各書体のイラストや設定を見てみると、その歴史や特徴がジンワリとにじみでていて「ほぉぉぉ……」となってしまう。

その一部を歴史の順に紹介すると……

甲骨文字

書体の先祖のひとつ。3000年以上も前に誕生したと言われている。顔に深いシワ刻まれた魔術師。自然系の法術をあやつり、予知能力がある。

篆書(てんしょ):日本のパスポートの表紙の文字

紀元前221年の秦の始皇帝による中国統一時に誕生した。またの名を小篆や秦篆という。戦略家ではあるが、父親である大篆(籀文:ちゆうぶん)の影響を強く受けている。統一前の6カ国に6人の兄弟がいたが、全て小篆が殺してしまった。

隷書(れいしょ):日本のお札にも使われる文字

秦代に、下級役人が獄中で発明したと言われている。直線的で四角く、一画一画を続けて書くことはない、ちなみに、「隷」は奴隷をさすのではなく、庶民の身分で役人の仕事をする実務担当者をいう。

行書:隷書をやや崩した書体

楷書より年上で、その年齢はすでに1700才を超える。正義感が強く弱い者を放っておけない。お酒が好き。

楷書:日本の書道でもよく見られる

後漢(25年~220年)に誕生。隷書の弟。あまり笑わず、頭が固い。軽度の潔癖症で、身なりをきちんとしている。口癖は「私こそ正当だ」。行書体に説教するのが好き。草書体のことはもう諦めている。

などである。

確かに、甲骨文字は占いに使われていたので魔術師、というのにも納得。篆書は秦の始皇帝が文字を統一する際に誕生し、公式文書で使用された文字なので、皇帝のような服装と気品にはうなずける。また、楷書の「軽度の潔癖」にもクスっとは来ないだろうか? 

・お約束のカップリングも

美麗イラストで擬人化と、くれば、忘れてはいけないのが「カップリング」だ。それは、中国でも同様であるらしい。さまざまな可能性を模索することができるが、インターネット上で紹介されているのは、「行書×楷書」である。

奔放で風情を愛する行書と、なんでもキチっとしないと気がすまなく、行書にいつもお説教をしている楷書……あっ、なるほど。

「あほらしい」と言ってしまえば、とてもあほらしい。しかし、このキャラクター設計は、それぞれの書体の歴史や特徴が押さえられている。多少の誇張はあるだろうが、文字の歴史の導入としては十分かもしれない!

参照元:太平洋電脳網貼ba人人網(中国語)
執筆:沢井メグ

▼魔術師の甲骨文字
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▼篆書、6人の兄弟を殺し、父親の跡を継いだらしい
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▼こちらは隷書
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▼隷書の走り書きから生まれたという行書、崩れた字体が特徴である
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▼さらに崩れた草書のうち、最も豪快な性格の「狂草体」
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▼こちらはお馴染みの楷書、一角一角を崩さずに書かれる几帳面な性格らしい
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▼楷書が優美に変化した痩金体。高貴な身分らしく他の書体と並ぶのを良しとしない。傲慢
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▼こちらはチビっ子の書く文字「小学生体」とのこと
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▼行書さんと楷書さん。あっ(察し)
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