「修悦体」と呼ばれる書体を知っているだろうか? 新宿駅・下北沢駅などに掲出されているガムテープ案内板の文字である。これは警備員の佐藤修悦さんが考案したもので、JR新宿駅改修工事の警備で勤務していたときに編み出したものだ。

その修悦体がラバーマスコットになって、カプセルトイで販売されているのを発見した! 実物は猛烈にカワイイ!! 手のひらサイズの修悦体、全部欲しい~!

・キレイになった新宿駅

現在(2021年4月)の新宿駅は東西自由通路が完成し、東西の行き来がしやすくなった。しかし通路完成前は行き来がしにくく、「ダンジョン」と言われるほど迷いやすかった。初めて降り立つと地上に出られないなんてことも珍しくなかったのだ。修悦さんが勤務し始めた当初は、案内板も少なくて頻繁に道を聞かれたそうだ。


そこで彼は大きくて見やすい案内板を作ることを思い立ち、文字を編み出した訳だ。個性的な書体の「中央東口」や「左側通行」などを見たことがある人も多いはずである。


2020年7月に東西自由通路が開通しホームの工事もおおむね落ち着くと、ガムテープの案内板は一部を除いて新しくキレイなものに付け替えられた。キレイになったのは良いけど、修悦体のぬくもりを目にできなくなったのは、ちょっと寂しいなあ……


・ガチャで売ってる!?

そんなある日、私(佐藤)は池袋の世界最大級のカプセルトイ専門店「ガシャポンのデパート池袋総本店」を訪ねた。特に目的があって訪ねた訳ではなく、面白いものを探しに行ったまでだ。


店内を見て回っていると、なぜか私の目に修悦体が飛び込んできた! ウソ? なんでここに修悦体!?


これは、雑貨や玩具の企画・製造・販売を手掛ける「株式会社クオリア」の商品だ。同社のTwitterによると、3月17日に修悦体をラバーマスコットにして販売開始していた。そんなの全然知らなかったぞ! もっと早く知りたかった。


・最高の文字

このお店のラバーマスコットを全部買い占めたい! と思ったけど、さすがに他のお客さんに申し訳ないので、4個(1個300円)だけ買って帰った。私の確認した範囲では、このお店には3台の筐体があったので、在庫はまだ十分にありそうだ。


カプセルを開けて付属の商品説明を見ると、ラバーマスコットは全10種あるそうだ。これはいずれコンプリートせねば……。


さて、何が入っているのか、さっそく見ていこう。1個目はコレ! 「現在地」です!!


アツい! 1個目から現在地が出るとは激アツだ!! この「在」の字の遊んでいる感じがとてもイイ。 “現在地” を持ち歩く日が来るとは思ってもみなかった。「俺がいる場所がいつでも現在地なんだ」、そんなポジティブなメッセージをこのマスコットから読み解くことができる、最高の逸品だ。


そして2個目はコレ! 「化粧室」です!!


青地に白文字かと思いきや、緑・赤・黄がアクセントとして散りばめられている。配色に何か意味があるのかな? と思って凝視しても、とくに何も見出せない。きっと修悦さんの気まぐれで、この色使いになったんだろう。ほくそ笑む彼の笑顔が脳裏に浮かぶ。


続いて3個目はコレ! 「階段」です!!


新宿駅のホームから構内へと降りる時、見ていたあの文字。毎日見ていたあの “階段” だよ! 「足元に気をつけろ。1歩1歩を踏みしめろ」と、励ましてくれているようだ。堅実に生きろって言いたいんだよね? 修悦さん!!


最後がコレ! 「立入禁止」です!!


一見、ネガティブなメッセージのようだけど、修悦体にかかればご覧の通りのポップさだ。拒絶を意味する言葉なのに、なぜか優しい。突き放されている感じがしない。物事には常に伝え方があることを、このマスコットは教えてくれているんだな、うん


それにしても、あの巨大な案内板が手のひらサイズになると、とても可愛らしい。ただの漢字なのに、デザインとして秀逸さが際立っている。


裏面には「(C)佐藤修悦」! やったぜ修悦さん、この調子で第2弾、第3弾と発売されることを願っているぞ~!!


参考リンク:株式会社クオリアTwitter
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

▼修悦さんの実演動画、「修悦体」ができるまで

▼株式会社クオリアの商品紹介