皆さんは、鎌倉時代から江戸時代に暗躍した「忍者」がいまでも存在することをご存知だろうか? 伊賀の忍者の血筋を代々受け継ぎ、麻績(おみ)服部流忍術の正当継承者が、最近まったく新しいエクササイズをスタートさせ話題になっている。その名も『シノビックス』、忍者の鍛錬法を基本にしたエクササイズで、体だけでなく心にも良い効果があるようだ。

なんでもその講師は史上最強のニューハーフというのだが……。とにかく体験してみたぞッ!

講師を務める妃羽理(ひばり)先生は、TBSのスポーツエンターテイメント番組『SASKE』や『筋肉番付』、アクロバティックなステージを繰り広げた『マッスルミュージカル』に出演した経験を持つニューハーフだ。

彼女は伊賀の麻績服部流の家系に生まれ、幼少の頃から忍術を修行していた。この流派は「殺格身(ころしあてみ)」を代々引継いでいる。したがってエクササイズは対合戦用体術が組み込まれているのだ。また彼女は、本流の「かみ(鬼の字から上の点を取ったもの)服部流」でも長らく修行を重ねており、プログラム全般を通して、忍者の総合的な動きを学ぶこととなる。

■九字護身法 ~ ストレッチ ~
エクササイズは最初に、「九字護身法」と呼ばれる印を結びながら九つの文字の唱和が行われる。「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前」という唱和が知られているのだが、麻績服部流では「神字(かんな)」という縄文時代から伝わる古来の言葉を用い、「ア・キ・サ・タ・カ・ハ・ワ・ヤ・エ」という言葉を唱える。これにより忍者は邪気を払い、修行や合戦に赴いたそうだ。

■三つの構え ~ 一文字の構え・十文字の構え・飛鳥の構え ~
九つの言葉を唱えながらストレッチをした後に、三つの構えを教わる。ひざを曲げた状態で両腕を斜に構える「一文字の構え」、腕を交差して体を屈める「十文字の構え」、そして一文字の状態で前脚を浮かせる「飛鳥の構え」の三種。これが基本中の基本。すべてのスタートラインである。

■三つの攻撃 ~ 切み・直え・曲 ~
構えを習うと、今度は攻撃。攻撃にも三種あり、前手(構えに対して前方の腕)から繰り出す「切み(いさみ:正式名称は亥の切み)」、腰をひねりながら後ろ手(構えに対して後方の腕)で出す「直え(あたえ)」、最後に振り上げた腕で相手の横っ面をとらえる「曲(よこしま)」。上記の構えでこれらの攻撃を組み合わせてエクササイズを行う。

プログラムは全部で9セットある。1回のレッスン(70分間)では、このうち3セットと筋トレ・ストレッチを行うのだ。動きは基本的に柔らかいものなのだが、なかなかハード。常時中腰に近い形で構えを保たなくてはいけないので、普段から体を鍛えている人でも、3セット終了する頃には体の節々に響いてくるだろう。さらに、後半に用意されている筋トレは、ついて行くのも難しいかもしれない。

しかし、言葉の唱和を交えた有酸素運動は体を引き締めてくれるうえに、心もリフレッシュしてくれる。また、体を動かしながら日本の伝統的な文化を学ぶことができるので、70分間があっという間に過ぎてしまうのだ。

「体を動かしたい」や「ダイエットしたい」という女性はもちろんのこと、歴史や忍者好きの男性も存分に楽しめるはず。夏に向けて体を引き締めたい方はぜひともチェックして頂きたい。ちなみに妃羽理先生によれば、「日本の歴史を知りたかったら、貧者の歴史を知ること」とのこと。シノビックスもさることながら、奥深い忍者の話にも圧倒されますぞッ!

■ シノビックス入門
会場: アナハタヨガスタジオ
住所: 東京都世田谷区代田5-28-3 SIビル3階
日時: 毎週日曜日、14:00~15:10

取材協力:Entertainment Training Team
モデル:アリスプロジェクト 佐倉梨杏,川村虹花

▼ 基本の構え「一文字の構え」、「十文字の構え」、「飛鳥の構え」

▼ 九字護身法から始まるエクササイズ

▼ 一文字の構え

▼ 十文字の構え

▼ 飛鳥の構え

▼ 九字護身法の手の動きを学ぶ

▼ 少しは板についてきたか!?

▼ 後半の筋トレはなかなかヘビー

▼ 最後はストレッチで体をほぐす

▼ ちなみにこちらは「神字」と呼ばれる古来の文字