この世から絶滅させてしまいたい存在というのは、よっぽどの聖人でもないかぎりそれなりにあるだろう。例えば、カサカサと部屋の中を這い回るゴキブリや、夏の夜の部屋に入り込んだ蚊など。

しかし自然界において奴らにもそれなりの役割はあり、いざ絶滅されると結構困ったことになる。だが、この世には絶滅したところで全く困らない……いやむしろ絶滅すべき存在もいると思うのだ。例えば、転売屋である。なんと今回、東宝演劇が転売屋に対し、かなりナイスなアクションを起している。いいぞ東宝、もっとやってくれ!

・ミュージカル『レ・ミゼラブル』

2019年4月19日から5月28日にかけてミュージカル『レ・ミゼラブル』の公演を予定している東宝演劇。初日まで2週間と少しとなった4月3日に、ミュージカルの公式サイトにて「お客様へのご連絡」と題し、以下の内容を掲載した。


次に記載いたしました座席番号のご入場券が、転売サイトにて高額転売されているのを確認しております。

各公演回に、該当のご入場券をお持ちのお客様に弊社からご入場券をご購入いただいたご本人かどうかの確認を写真付身分証にて行なわせていただきます。もしご購入者ご本人でないと弊社が判断した場合は、ご入場をお断りする場合がございますので予めご了承くださいませ。


同ページには30席分ほどのチケットの、公演日時と座席番号もセットで晒されている。いかがだろう? これ以上無いくらい気分の良い、転売屋および、それを助長する購入者に対してのカウンター攻撃ではないだろうか。

え? 行けなくなったから転売してる? フン、転売屋はいつだってその手の言い訳をするものだが、一理ある。しかし東宝演劇にぬかりはないぞ。止むを得ない事情によって観劇できない場合には、定価以下でのリセールを行うサービスとして「チケトレ」と「おけぴネット」の利用を、しっかりと先述のページ内にて推奨している。

この素晴らしい対応は、きっとスタッフがオークション系サイトやフリマアプリなどを監視して、地道に転売されたチケットの情報をまとめたのだろう。労力が発生するし、それを思うと皆が東宝に続くべきとは気安く言えない……。言えないが、本当にグッジョブである

・未だに転売も

この報を受けて、現在の転売状況がどうなっているのか筆者もとりあえずメルカリをチェックしたところ、なんと2019年4月4日現在において転売は1つも確認できなかった。もしかして、メルカリ運営が対応したのだろうか?

しかしメルカリと似たフリマアプリ「ラクマ」を確認したところ、既に売り切れている分も含めそこそこの数がヒット。



イープラスにて確認したところ、本来のチケットの価格は、S席14000円、A席9500円、B席5500円だそうだ。中には定価と全く同じ値段で販売しているものもあったが、基本的に2倍くらいかそれ以上の値段で売りさばかれた印象。

番号をチェックしてみると、公式サイトでは晒されていない席もあるようだ。



また、残念ながら未だに販売中のものも数枚存在している。しかし、東宝演劇HPの今回の告知には


2019.4.3 現在


の文字が。もしかしたら、スタッフが今もまさに情報収集を続けており、高額転売されたチケットのリストが更新されていく可能性もある。個人的にはそうしてほしいし、心の底からスタッフの方々を応援したい。


・買うのもダメ

中には、見たいけど競争率高くてチケット買えなかった……という方もいるかもしれない。うっかり転売屋から買ってしまいそうになるかもしれない。気持ちはわかるが、そこにつけ込むのが転売屋の手口。買う人がいるから、ヤツらははびこるのだ。

誰もが欲求に勝てれば、悪質な転売屋は自動的に滅びるというもの。そしてそもそも、チケットの競争率を不当に上げているのも転売屋である。転売屋たちはどうせ東宝の対応を迷惑にしか感じないだろう。それでもせめて、今回の対応が、魔がさして買ってしまいそうになる人たちの意識改変に繋がることを祈るばかりだ。

参照元:レ・ミゼラブルイープラスラクマ
執筆:江川資具