「醤油」といえば日本の伝統的な調味料。和食の基本「さしすせそ」の「せ」をつかさどる重鎮であり、成田空港に降り立つと「醤油の匂いがする」なんて話もあるほど。

そんな日本人とは切っても切れない関係の醤油なのだが……実は海外、フィリピンにも独自の醤油文化があるということ、皆さんご存じだろうか?

本記事では、フィリピンナンバーワンブランド『シルバースワン ソイソース』を食べてみたレポートをお送りしよう!

・フィリピンの醤油『シルバースワン』

筆者がその醤油の存在を知ったのは、ドン・キホーテの調味料コーナーでのこと。

「フィリピンで醤油といえばコレ!」という宣伝と共に並んでいたのは、白鳥のイラストが描かれたボトル。

名前は『シルバースワン ソイソース』で、価格は税込み322円。輸入品にしては安く、庶民的な調味料であることがうかがえた。


原材料は大豆、小麦粉、食塩、着色料、保存料と、日本の醤油と大きな違いはない。

産地や加工方法に違いがあるとはいえ、似た方向性の味には仕上がっているのかもしれないな。


ただし シルバースワンの方はハラル認証なので、アルコール不使用。おそらく発酵の工程も経ていないのではないだろうか。

これらが味にどうかかわるのか、実際に食べ比べて確かめてみることにしよう。



・似てるけど違う調味料

シルバースワンを白い皿に出すと、その色の濃さがよくわかる。

うっすらと茶色がかってはいるものの黒に近く、日本で言うとたまり醤油に近いのかもしれない。匂いと味は香ばしさを帯びているようで、繊細というよりも太くてストレートな印象。


家にあったヤマサの生醤油と比べると違いは歴然だ。

なめてみるとシルバースワンの方がドシンと強い味(悪く言えば単調)で、ルーツとしては似ていそうなんだけど明らかに違う調味料に仕上がっている。


例えるならば、フィリピンで出会った自分のソックリさん日本で生まれ育った自分ぐらいに違う。顔は多少似ていたとしても、おそらくフィリピンの自分の方が明るくてフレンドリー、表情も豊かでザックリとした性格をしているハズ。

──何を言っているかわからないかもしれないが、シルバースワンの醤油と日本の醤油の間にはそんな違いがあるような気がした。



・調味料は文化

独特な香りの影響だろうか。シルバースワンは刺身との相性がそれほどよくなくて、魚の甘みと旨みが塩味でかき消されてしまう

これじゃあ日常使いできそうにない。いくら材料が似ている同ジャンルの調味料とはいえ、やっぱり日本人の口には日本の醤油が合うんだろうなぁ。


──ところが、そう結論付けた翌日のこと。

昼食に焼き飯を作っていた時、ふと「シルバースワンが合いそうだな」と直感。ニンニク・ショウガと炒めて焦がし、使ってみた。

これが大正解で、ガツンと気の強そうな味が焼き飯にピッタリ。「シルバースワン最高じゃん!」と思えたのだ。


……ハッ! つまるところ 先日醤油が口に合わないと感じたのは、単純に筆者の使い方が悪かっただけなんじゃないだろうか。



そう感じたなら、現地の料理を作ってみるしかない。

参考にしたのは、フィリピン政府観光省のwebサイトに載っている「パンシット・ギサド」というフィリピン風焼きそば。

詳しい作り方は公式ページを見てもらいたいのだが、中華麺ではなく春雨を使い、肉・海鮮・野菜とともに醤油で炒めて 最後にレモンを絞る。


……と!

これがめちゃくちゃ旨かったのだ!!!!


あぁ、刺身につけて「口に合わない」と思っただなんて、どれだけナンセンスなのだろう。

醤油のガツン、肉・エビの旨み、春雨のちゅるっと食感、レモンの爽やかさ。すべてのピースがキレイにはまった。

調味料は文化。自分の価値観の中で使ってみるのではなく、その国の料理を丸ごと試さなければ 本当の実力はわからないんだな。

参考リンク:フィリピン風焼きそば「パンシット・ギサド」
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

▼ふたつの醤油の栄養成分表示はこちら

▼材質のせいか、ボトルにも黒い色が染みついていた