1月の終わりに突如発表された、「あわしまマリンパーク」閉園のニュース。
40年という長い歴史を持ち、アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の聖地でもある水族館が、まさかこんな急に閉園となってしまうとは……。
最終開園日は2月25日。県内外、多くの人々に愛された水族館の最終日はどのような様子だったのだろう。水族館ファンとして、そして静岡住みライターとして、その幕引きを見届けに行ってきた。
・沼津市内浦「あわしまマリンパーク」
現地に着いたのは開園1時間半前の8時30分過ぎ。
朝から雨が降っていたにも関わらず、チケット販売所の前にはすでに多くの人が……! その後も段々と人が増えていき、1時間前には100人以上が列を成していた。
もともと伊豆や沼津の観光地として親しまれていたマリンパークだが、2016年に『ラブライブ!サンシャイン!!』の舞台になってからは、アニメの「聖地」として一気に有名になったんだよね。
地元の人や水族館ファンもいるだろうが、おそらく早朝から並んでいる人の多くが全国から駆けつけたラブライバー(ファンの総称)なのだろう。駐車場には「なんば」や「品川」など県外ナンバーがズラリ。
1番乗りをキメていたお兄さんなんて、東京から来て夜中の2時から並んだって言ってたな。都会の室内で待てるような水族館ならまだしも、ここは雨風を凌げるところさえほぼ無い海辺の平屋。その情熱たるや、恐れ入る……!
・渡り船で島内の水族館へ
待つこと1時間ほど。無事チケットを購入できたので、水族館へと向かっていこう。
あわしまマリンパーク(厳密には淡島水族館)は全国的にも珍しい無人島にある水族館なので、来園者は船に乗って海を渡る必要がある。
我々を運んでくれる渡し船はガッツリラブライブ仕様で、船内にはAqours(グループ名)メンバーのサインも!
また、船を降りてすぐの売店前ではキャラクターの等身大パネルがお出迎えしてくれたぞ。
その他にも、チケット売場や併設カフェなど、いたるところにアニメ要素が散りばめられていて、水族館自体が「聖地」であり続けようとしてきた姿がうかがえたな。放送当時は毎週見ていた記憶があるが、もうそれから7年以上経つのか……。
一方で、館内はアニメ推しとはまた全然違った雰囲気。お世辞にも大きいとは言えないし、水槽の数や飼育数も少ないが、至るところからスタッフさんの「愛」を感じるのだ。
その最たる例が手作りの掲示物だろう。飼育している魚1種1種の良さをとにかく知って欲しい! という気持ちが、POP越しにバンバン伝わってくる……!
水族館に行くとサラッと流し見で終わってしまう時もあるのだが、淡島水族館の展示はそれを許さない。フレンドリーかつ分かりやすい内容なので、ついつい見入ってしまうのだ。
他にも、「バックヤードツアー」と「ふれあい水槽」のイベントに参加したのだが、スタッフさん達がみんな魚愛に溢れていて、話がめちゃくちゃ面白かったんだよね。
水族館の飼育員を志す人はおおむね魚好きだとは思うが、ここのスタッフさん達はなんというか魚愛の密度が濃い。
展示している魚の6〜7割が自ら苦労して採集してきた生体らしいので、きっとその分だけ知識や愛着があるのだろう。なんかそういう背景を知ってしまうと余計に閉園という事実が重いな……。
・2024年2月25日、40年の歴史に幕
水族館を回ったあとは、日本最大級の展示を誇るカエル館と、海でおこなわれているイルカの公開トレーニングを見納めて島を後にした。
朝から並びゆっくり園内を見て回ったことで、あわしまマリンパークが全国各地の人と、そしてなによりスタッフさん達に愛されてきた施設だっていうことを改めて実感することができたな。
だからこそ、もうすでに閉園してしまったことが本当に惜しい……。施設は再建再開を目指しているとのことだが、老朽化による閉園なのですぐには難しそう。こればかりは、マリンパークからの続報を待つほかないのだろう。
最後となったが、混雑が無く写真をたくさん撮ることができたので、記録として以下に残しておくことにした。「あわしまマリンパーク」がどれだけ素晴らしいところだったか、写真から少しでも伝われば幸いだ。
そして願わくば、またあの船に乗って再び淡島を訪れることができますように……!
・今回訪れた施設の詳細データ
店名 あわしまマリンパーク
住所 静岡県沼津市内浦重寺186
参考リンク:あわしまマリンパーク
執筆:まろ
Photo:RocketNews24.
▼船を降りて水族館・カエル館へと向かう桟橋。反対側に進むと、『ラブライブ!サンシャイン!!』とのコラボメニューを楽しめるレストラン「離宮」があります
▼水族館の入り口。今回が5年ぶり2回目の上陸です
▼まさかすぎる入口がコチラ。こんな水族館他にある!?
▼入口すぐの展示。手の届きそうな距離にエイやネコザメ、スズキなどが泳いでました
▼淡島水族館のメイン水槽。淡島の海に生息している生体が飼育されています
▼コブダイはいるけど、後は小型の魚が多めかな。近海にはブリやタイなど大きな魚も生息していて昔はこの水槽に入っていたみたいだが、水がすぐ汚くなっちゃうので今の形に落ち着いたのだそう
▼大型水槽の横には、飼育員さんがそれぞれの愛を語るコーナーが……!
▼特に愛が爆発していたのは「ウニコンサルタント」を名乗るスタッフさんの展示。ウニの見せ方がめちゃくちゃ綺麗……! そして食用ウニには興味がないらしい
▼もちろん生きているウニの展示もあります
▼ウニってなんでもカジカジ食べるから、水槽の表面も削ってしまうらしい。よく見ると傷だらけだ……!
▼ウニやヒトデにさわれる「ふれあい水族館」。知られざるおもしろい生態について、マイクロスコープで画面に映しながらいろいろ教えてもらえました!
▼追加料金を払って参加する「バックヤードツアー」では、普段あげている餌や設備の仕組みなどを楽しく説明していただきました。「ショーでイルカにあげる魚に実はビタミン剤を詰めている」とか「イルカプールの網に付いている牡蠣をコブダイにあげていた」など、なかなか聞けない水族館の裏話が聞けておもしろかったな
▼ツアーのラストはウミガメと記念撮影! 思っていたよりもズッシリ重くてびっくり
▼展示種数が日本最大級のカエル館。あわしまマリンパークの中でも人気の高いスポット!
▼日本のカエルから世界のカエルまで70種類以上のカエルが展示されています
▼水槽は時間になると自動的に雨が降る仕組み。こういう派手な種類はすぐ見つかるけど、複数匹入っていても全然見つけられない水槽が結構多かった。みんな上手に隠れているみたい
▼世界で一番強力な生物毒を持つカエル「モウドクフキヤガエル」。名前からしてヤバい
▼水槽1つ1つに何匹入っているか書いてくれてあるため、「ウォーリーを探せ」とか「ミッケ!」みたいな気持ちで楽しめます
▼屋外にはアシカやアザラシの展示も。閉園後も元気に暮らしている様子を、公式Xから見ることができます
▼実はまだ「あわしまマリンパーク」に行けるチャンスは残っていて、3月頭にファイナルパーティーが予定されています。クラウドファンディングのリターンなので、最終日に間に合わなかった人は要チェック!