目撃してしまった、ハーゲンダッツジャパンがふざけているところを。

何の話かと言えば、2023年10月17日に全国のファミリーマートで発売された、ハーゲンダッツの新商品についてだ。その名も「ブリュレブリュレブリュレ」という。ファミリーマート限定ゆえにそこまで人目につかないと思っているのか、だいぶ気の緩んだネーミングである。

とはいえ、これが普段から「バニラバニラバニラ」や「イチゴイチゴイチゴ」などと乱心している企業なら別だが、真面目なハーゲンダッツジャパンの見せる気の緩んだ一面というのは、存外に心に響くものだ。さっそく筆者は同商品を手に取ってみることにした。

改めて説明すると、「ブリュレブリュレブリュレ」は名の通り、「焦がしたクリーム」という意味のフランス語を冠したスイーツ、クレームブリュレを取り入れた商品である。期間限定の販売となっており、希望小売価格は351円だ。

こう言ってはなんだが、食べる前から美味しいのはわかりきっている。何故ならハーゲンダッツであるし、筆者はハーゲンダッツのファンだからだ。

気になるのは、本当にそこまで「ブリュレ」を連呼するほどにブリュレ感の強いアイスなのかという点である。確かめるべく実物の蓋を開けると、ブリュレより先に、散りばめられた大量のクッキーが目に飛び込んできた。

公式サイトによれば、これはグラハムクッキーというものらしい。要は全粒粉を使ったクッキーのようだ。それと一緒に粉糖もたっぷりまぶされており、さらにその下にはカラメルコーティングが敷かれている。

厳重な甘味体制を前に、これは相当に甘そうだなと身構えるも、実際に食べてみると色々な意味で想像が裏切られた。

まずブリュレ部分だが、思ったより落ち着いた味わいをしている。風味豊かでコク深いカスタードアイスは、口内でカラメルや粉糖と組み合わさってもなお、「べったりとしつこい」レベルまでは逸脱しない。綺麗に「上品かつ濃厚」な範疇に収まっている

ブリュレが落ち着いてるからか、より印象的なのはむしろクッキーの方である。味はプレーンながら、とにかく小気味良くザクザクとしていて、その食感がたまらない。ブリュレに埋没することなく存在を主張し、クリームのとろみとのコントラストによって魅力は際立つ。

いっそブリュレがクッキーを引き立てている感さえある。普段のハーゲンダッツジャパンなら「クッキー&ブリュレ」なんて名付けていたかもしれない。こうなってくると、このたびのネーミングはやはり純然たるガス抜きだったのではないかと邪推してしまう。

真意を究明したいところではあるが、もしハーゲンダッツジャパンに問い合わせた結果「いや、そこは……察してくださいよ……」と返されてしまっては無粋極まりないので、あえてここはグレーなまま置いておこうと思う。

ともあれ本商品は、過剰なまでのブリュレ感を期待すると肩透かしを食らうかもしれないが、「美味しいハーゲンダッツの新バリエーション」を期待するなら十全に応えてくれる仕上がりであった。気になった方はぜひお早めにチェックしてもらいたい。

何だかんだ、この程度のことでハーゲンダッツへの信頼は崩れないどころか、「ブリュレブリュレブリュレ」を経て個人的に好感度は上がっている。次に気の緩んだ商品が見られるのはいつの日か。一ファンとして、その時が来るのを楽しみに、楽しみに、楽しみに待ちたい。

参考リンク:ハーゲンダッツ 公式サイト
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.
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