今や日本の国民食の枠組みを飛び越え、すっかり “世界食” へと進化を遂げたラーメン。海外に行くとよくわかるが、ラーメン屋は非常に多い……というか、普通にある。体感で言うと、日本のデリバリーピザくらいはあるよね。

で、つい先日訪れたメキシコシティの空港にも当然のようにラーメン屋があった。本来ならメキシコグルメを満喫したいところだが、これも記者の宿命(さだめ)──。思い切って「Tan tan Men(担々麺)」を食べてみたのでご報告しよう。

・戸惑い

中南米のハブ空港として知られるメキシコシティ国際空港。私が上陸したターミナル1はかなり広く、飲食店だけでもかなりの数が。メキシコ料理・ハンバーガー・ピザ……などなど、ズラリと並ぶ飲食店の一角に気になる店を発見した。

「SUSHI」「RAMEN」と表記されていたので、和食の店だということは分かったが、肝心の店の名前はわからない。なぜなら……


漢字が読めねぇええええ!!!!


「奈」だけはかろうじて読めたが、漢字だけでは店名がわからず(その後、英語でNAGAOKAと判明)。それでも「メキシコの空港にすら和食の店がある」という事実が嬉しいではないか。これも導き……というわけで、友人と2人でラーメンを食べてみることにした。



・いいお値段

お店には「寿司」「うどん」「そば」「餃子」などのメニューがあったが、いずれもいいお値段。特に約688円(80メキシコペソ)もする味噌汁には「高ッッ!」と感じざるを得なかった。

で、しょう油・味噌・担々麵の3種類があるラーメンの価格はいずれも約2472円(290メキシコペソ)。マックのセットが約1663円(195メキシコペソ)だったことを考えると、ちょい高の価格設定と言えそうだ。

今回はメニューの1番上にあった「Tan tan Men(担々麺)」をオーダー。お店自体は比較的空いていたにもかかわらず、なぜか提供まで20分くらいかかったことに多少の不安を覚えたが、到着した担々麺がこちら。


ふむ。


見た目は確かに担々麺である。「よくぞメキシコでなるとを仕入れて来たな……!」と密かに感動したことはさておき、ビジュアルはいわゆる “なんちゃってラーメン” ではない。さっそく1口食べてみたところ……


うむ、担々麺ではない。



・食べてみた

理由はズバリ「ゴマが入っていなかったこと」に尽きる。担々麺のベースは辛味でもひき肉でもなく “練りごま” だ。「Tan tan Men」には担々麵の背骨ともいえる “練りごま” が使用されていなかった。

一方で、味が悪いかと言われるとそういうワケでもない。例えるなら韓国の辛いスープ「ユッケジャン」のような味わいで、これはこれで悪くなかった。担々麵だと思って食べると拍子抜けするが、最初から「辛いラーメン」だと思えば普通にウマい。

また友人が頼んでいたしょう油ラーメンも、しっかりとしょう油ラーメンしていた。もちろん感動するほど美味しくはなかったものの「世界的にラーメンのレベルが上がっているのでは?」と思えるほど、普通のしょう油ラーメンである。

もしかしたら我々が想像する以上に世界はラーメンが好きなのかもしれない──。メキシコシティ国際空港にあった店名がよくわからない和食屋のラーメンですら、そこそこ美味しいのだから。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.