かつてアントニオ猪木は「出る前に負けること考えるバカいるかよ」という名言を残したが、批判覚悟で私も一言申しておきたい。記事のタイトル通り、「プリズンブレイクを字幕で見るバカいるかよ」である。理解しがたい。本当に。

ことの発端は、最近、同僚のYoshioと私との間で『プリズンブレイク シーズン5』が密かなブームになっているのだが、その話にP.K.サンジュンも参加してきた。そしてアレコレと楽しい話をしている最中、今回議題に挙げた大問題が浮上したのだ。

私がティーバッグは無論のこと、スクレやサラ、ベリックにシーノートのモノマネをしても……イマイチ反応が鈍かった。ウケてないのかな……と落ち込んだりもしたが、実は彼ら、日本語で話す吹替版ではなく、英語で話す字幕版を観ていたのである。

はっきり言って、「は?」だ。ありえない。信じがたい。100歩譲って英語の達人、ないし英語の勉強中なのであれば許そう。しかし、これは私の勝手な推測だが、彼らは「俳優の生声を聞いてこその映画(海外ドラマ)」と思い込んでいるフシがある。

私の勝手な推測で話をすすめるのはアンフェアなので、いちおう意見も聞いてみたが、


サンジュン「プリズンブレイクに限らず、英語圏のドラマは “英語 + 日本語字幕” で観るのが基本。なんか吹替はどうしても違和感があるというか気持ち悪い気がしてドラマに集中できない」


ほらね。たしかに映画等では、私も字幕で見ることが多い。生感(なまかん)というか。産地直送感というか。だがしかし! プリズンブレイクに限っては違うと思うのだ。吹替版で観てこそのプリズンブレイクだと思うのである。


プリズンブレイク以外だと、『24 -TWENTY FOUR -』がそれにあたる。両作品とも、日本の声優陣とマッチしすぎているというか、小山力也さんの声で話すのがジャックバウアーだし、ティーバッグなんて若本規夫さんの声以外に考えられない!

ちなみに、同じプリズンブレイクを観ているのに、あえて字幕版を観ているYoshioの意見は……


Yoshio「やっぱり、原作のまま、つまり生の声で作品を楽しみたい! っていう気持ちがあるから字幕かな! あとは嫁と一緒に見ているんだけど、彼女は英語が好きだからっていうのも」


──とかなんだとかオノロケしやがってフザケンナという感じであるが、「若本ティーバッグ」のヤバさと素晴らしさを知らないだなんて、逆に心配になってくる。人生半分損しているといっても過言ではないだろう。

ちなみに、冒頭でも説明した『プリズン・ブレイク シーズン5』には、私の部下の中澤星児も声優として参加している。しかも、わりとセリフの長いタクシー運転手役! この時の体験取材、率先してカメラマン役を買って出たのは、当然、PB好きの私だった。

その現場には、マイケル(の声)もいた。さらに、スクレ役の西凜太朗さんと対面し、あの声でハキハキと「お疲れ様です!」と言われたときには本当に心の底から感動した。

そんな感動も、吹替えの声を知らない彼らは味わえない……というか「わからない」のだな思うと……可哀想すぎて言葉も出ない。きっと多数の反論があるとは思うが、私の考えは揺るがない。プリズンブレイクを字幕で見るバカいるかよ。24もだ!

執筆:GO羽鳥
イラスト:マミヤ狂四郎