自分にとっては当たり前! でも他人から見たらメチャクチャ新鮮! 個人でも、都道府県どうしでも1つや2つあるだろう。それが国レベルになると、驚きも壮大になるものである。

これは私(沢井)が中国に住んでいた頃の話。日本人の自分としては当たり前すぎたことに、中国人がビックリ仰天! 逆に私も「そっか、中国人から見たら信じられないことなんだ」と目からウロコだったことがある。

・日本人なら当たり前なことに、中国人ビックリ

上海に留学していた頃、私はよく中国人学生と遊んでいたのだが、ある日「中国人はこの漢詩をみんな暗記するんだよー」とドヤられたことがあった。開いていたのは李白の詩。そこで私がこう言ったのだ「あー! これ知ってる!! 中学のときに習ったよ!」


中国人「!!!!!!」


そのとき一緒にいた、中国人女子3名はビックリ仰天、言葉を失っていたが、目はこう言っていた。「マジかよ!?」。そして、乾いた口でようやくこう言ったのだ。


中国人「日本の中学生は、中国語が……それも古語が読めるの!?」

沢井「え?」


・中学国語の漢文

んなこたァない。中学生で中国語をそのまま読めるのは、ルーツが中華系の家庭や、中華学校出身の人くらいだろう。もちろん、私が言ったのは国語の授業でやった漢文のことである。中学高校を日本の学校で過ごした方なら習っているはずだ。

中国語ではない。漢文なのだ。国際的に変な誤解をされては大変! そこで慌ててこう答えた。


沢井「いや、中国語はわからないんだけど、こうやって記号をふって、漢文を日本の古語にして、そこから現代語にして理解するんだよー」

中国人「!!!!!!!!!!!!!」



ぶっちゃけ、「習ったことがある」発言より、漢文の説明の方が驚かれた。


中国人「そっちの方がすごいわ!!!! 二度手間ヤバイ! なんでそこまでして漢詩を読むの? なんで日本語訳を読むだけじゃダメなの? 日本の中学生すごすぎ! 要求高すぎ!」


……そんなに驚かれるとは思わなかったよ!

・驚かれて、こっちも目からウロコ

学校でやれと言われたのでやっていて、それが当然のことだと思っていたが、よくよく考えると中国語を母語とする人から見ると不思議なことに違いない。

私たちだって、もし外国人が源氏物語の原文を、記号をふってむりくり古典的な母語に直して、そこから現代語に直して理解していたら……ちょっと正気の沙汰とは思えないかも。

それからというもの、中国人と古典の話になると、中学高校の漢文ネタを話すのだが、たいていの人は清々しいほど驚いてくれるので面白い。ああ、立場が変わると、当然の日常もオモロイことだらけなんだなぁ!


……と、ニヤニヤしているが、私自身、どうして漢文を勉強しないといけなかったのかハッキリした答えにはいきついていない。中国人に聞かれても「教養かなぁ」と逃げ腰に答える程度だ。

奈良時代以前の大昔の日本語と中国語は、文化同様切っても切り離せないものだし、日本語を理解するうえなんちゃら~という説明もできるかもしれないけど、そういうのは専門の方にお任せしたい。

しかし、専門的な話を抜いても、まったく無駄な話ではないと思う。

たとえば、以前、中国版コミケで “李白×杜甫の薄い本” を見かけて、ちょっぴり豊かな気持ちになった。漢文を勉強していなかったら、あの出会いは完全に見過ごされていただろう。日常をすこーしだけ彩ってくれる。知識ってそんなものなのかもしれない。

執筆:沢井メグ
イラスト:マミヤ狂四郎
Photo:Rocketnews24.

▼留学してた大学。毛沢東が目印だよ!!


▼衝撃の李白×杜甫本。元ネタわかる……! 漢文やっててよかった!