かつて中国住みだった沢井メグが中国料理を粛々と作るコーナー『沢井メグのリアル中華 / 現地日本人にも超絶愛されているのに、なぜかイマイチ日本でメジャーでない中国料理』。

第10回は「羊肉串(ヤンロウチュアン)」だ。読んで字のごとく、羊の串焼きのことだ。ガイドブックなどで「シシカバブ」と表記されることもあるが……そうなんだけど……トルコなど中央アジア料理のアレとは微妙に違う! 中国・新疆ウイグル料理の「羊肉串」が食べたいのである。

・羊肉串を作りたい

私は、中国の羊肉串にはザックリと2種類あると考えている。ひとつは路上系。串刺しというより、串に薄ーく巻き付いているようなビジュアルで、肉をケチっているというより、むしろその刺し方に高度な技術すら感じるアレだ。

鮮度の良し悪しを白紙に戻すほどのスパイスがかけられており、だいたい1本2元くらい(約35円)。警察が来ると光の速さで店じまいする。

もう1つは、実店舗系。1本3~6元(約52円~104円)と路上系のものの倍ほどの価格だが、肉厚なのでそれも納得。色もそこまでスパイスカラーではない。特に経営者がウイグル族の店のものは美味であり、独自のルートでも持っているのか、肉自体も上質な気がする。ああ、だから香辛料モリモリじゃないのかも……。

今回目指すのは後者の実店舗系の方だ。それではいってみよう!

【材料】串12本分

羊肉:350グラム ※脂が乗っているものが望ましい
サラダ油:小さじ1
孜然粉(クミンパウダー):小さじ3
塩:小さじ1/2
胡椒:小さじ1
しょうゆ:小さじ2
タマネギ:中1個 ※あれば紫タマネギ

意外とシンプルな材料に驚いたかもしれない。私はかつて、羊肉串といえば、香辛料ゴリゴリにしておけばOKなのだと思っていた。しかし、何度か作ってみて気づいたのだが、タマネギこそがあの味にグッと近づく最大のポイントなのである。

【作り方】

1.肉を一口大にカットする。

2.タマネギをミキサーかおろし金ですり、全ての調味料と混ぜ合わせる。

3.1に2をよく揉みこみ1晩冷蔵庫で寝かせる。

4.3を串に刺しオーブンで焼く。今回は、グリル機能で予熱 → 5分ほど焼いて完成だ!

・肉は脂多めだとより美味しい

ああ、焼いている間に香ばしいかおりが家中に充満する。特に鼻に刺さる孜然(クミン)のニオイは、オッサンの脇の香りに激似。でもそれがいい。いかにも「中国の屋台やウイグル料理店のニオイ」という感じだ。

薄味めに仕上げているので、食べる際にクミン&塩や、唐辛子パウダーなどをつけてみよう。そしてパクっと食べてみると……あら、いいですねえ! 白ご飯が、いや、ウイグル料理店なら必ずあるパン「馕(ナン)」や焼きそば「丁丁炒面(ディンディンチャオミエン)」が欲しくなりますねえ!

今回は赤身多めな肉しか手に入らなかったのだが、よくを言えば、もう少し脂身が多い方がより現地の味に近くなる。焼き時間も脂が多い肉を使う際は、やや長めにし、カリッとするくらいがちょうどいいだろう。

なお、この作り方は、私・沢井が中国で食べたものを勝手に再現したものであり、あなたの知ってる羊肉串とは少し違うかもしれない。

適当にアレンジして好みの味にしてもらえれば、これ幸い。私は、日本にいながら中国風味を味わえたら、それだけでまぁまぁ幸せだ。そして、それを誰かと共有できたなら、これ以上の幸せはあと5~6個くらいしかない。それではまた次回まで! 再見、88~!! 

Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.

★こちらもどうぞ→『沢井メグのリアル中華 / 現地日本人にも超絶愛されているのに、なぜかイマイチ日本でメジャーでない中国料理』シリーズ

▼クミンや唐辛子は食べるときにつけるのが好きなので、味付けはやや薄め。濃い味が好きな人は漬けダレの香辛料を増やしても良いかもしれない

▼去年も作ってた。春、羊肉が手に入りやすい季節になると沢井家ではウイグル料理大会が始まります