【実録】スマホの携帯メール宛に届いた「800万円を受け取って下さい」に対応したらこうなった(その3)
Uko

・メール返信ごとにメールアドレスを変えている

メールを確認すると、またも「優子」の登場だ。そう、なぜか優子は “メールを返信するごとにメールアドレスを変えている” のだ。ちなみにアドレスは、偽装に偽装を重ねたと思しき、実に複雑なメールアドレス。かなりメチャクチャなドメインであった。

ともかく、メールの内容は凝っている。ストーリーが凝っている。偽装の仕方も凝っている。優子はなにげに凝り性だ。以下が、新たなメールアドレスを使う優子から送られてきた「800万円を処分したい理由(わけ)」である!

・優子はアンティーク楽器商だった

――かなり長いので、最後に私が3行でまとめてみるが、まず1通目は以下のとおり。

「Re:優子です。現状では『どういう事?』っていう心境だと思います(^_^;) でもこれから話す事はありのままの事実 なので最後まで読んでもらえたら嬉し.いです。とにかく事情をちゃんと説明す るので読んだ後に改めて判断して下さい(^^)

えっと、私は日本でアンティーク楽器の輸入・販売をする会 社を経営しています。元.々は父 と叔母夫婦でやってて、父が亡くなった時に私が後を継ぎました。だから今は私と 叔母夫婦の3人、事務のアルバイトさんで頑張ってます(^^)

それで今はオーストラリアに買い付け兼休暇っていう形で来てます。アンティーク楽器っていうとヨーロッパのほうがイメージとして浮かぶと思うんですけど、ヴィンテージ物のギターとかはこっちにも素敵なものが沢山あるんです(^o^)

ちょっと話がそれてしまいましたが、お金を処分したいのは一緒に経営をし.てる叔父が原因なんです(^_^;)1通に書ききれないので、この後もう1通メールします(>_<)」

・価値あるバイオリンを売った金を処分したい

――続いて2通目がこう。

「優子です。さっ.きの続きです(^^) 私がオーストラリアに発つ数日前の事なんですけど、会社の倉庫からバイオリ.ンが1挺見つかりました。『見つかった』という位ですから私も叔母も知りませんでした(>__<)

実質の経営は私.と叔母でしているから叔父が知る筈も有りません。証明書が同封されてたので調べてみると 、今なら800~900万円ほどの値が付く品でした…

ここで1つ問題があります(^_^;)うちは合同会社なので税金、諸経費を差し引いた利益は単純に自分たちの利益になるんです。ですが叔父は金遣いが荒い人なので、叔父に.大金を持たせる訳にはいかないんです…

以前360万円で買い付けたチェロ が4倍以上の約1500万円で売れた事が有ります。アンティーク楽器の世界ではこういうのって珍し い事では無いんだけど…その時に叔父がとんでもない行動に出たんです(>_<)

大金を手にし気を大きくした叔 父は、鑑.定の知識も無いのに『もっと儲かる!』と息巻いて独断で大量の楽器を買い付けてしまったんです… 当然ニセモノや状態の良くない品ばかりで、結果うちの会社は1000万円近くの損失を出しました(^_^;)

経営センス・鑑定眼のない叔父が再び大金を手にしたら同じ事をしでかすのは目に見えてますよね.? だから叔母と相談した結果、叔父には内緒で処分しようという話になったんです。でも具体的にどう処分したら良いか分 からなくて…ちなみに既に現金化はしてあります(^_^;)

そんな風に悩.んでる時に連絡を頂けたので渡りに舟という感じだったんです。もちろん迷惑は絶対にかけないの.で受け取っても らえますか?OKしてもらえたらすぐに話を進めたいと思います(^^)」

――とのこと。つまりこうだ。

優子と叔母と叔父の3人でアンティーク楽器商をしているが、会社の倉庫から800万円相当のバイオリンを発見した。現金化したが、金使いが荒い叔父に見つかったらアホなことするから、800万円を私に処分してほしい……というストーリーである。『こち亀』の両さんが聞いたら大喜びしそうなウマイ話だ。

無論、私はこう返事した。シンプルな短文を、3連発でメールした。

私「なんだかよくわかりませんが、お金はまかせてください。」
私「返事はオーケーです。」
私「わたしはどうすればよいか。」

最後のメッセージが怪しい中国人のような言葉になってしまったが、この後、優子は「核心」に迫った内容のメールを、またもや別メールアドレスから送ってきたのだった。一体なぜ、毎度毎度、メールに変な「.」が入るのか。そして、なぜ毎度毎度、違うメールアドレスから送ってくるのか。その答えは……次ページ(その4)で明らかになる!