日本全国津々浦々、その土地その土地に「ご当地グルメ」が存在する。中には “ソウルフード” と呼ばれるほど魂を揺さぶるグルメもあるが、今回ご紹介する『鶏ちゃんみそ』もその類のようだ。

『鶏ちゃん』の読み方は「けいちゃん」であり「にわとりちゃん」ではない。果たして『鶏ちゃん』の実力とはいったい? 実際に作って食べてみたのでご報告したい。

・おみやげでいただいた

つい先日、中京地方に在住の友人から『鶏ちゃんみそ』をいただいた。友人いわく「数少ない岐阜県の名物」であり「向こうで知らない人はいないご当地調味料」とのことだ。

私はまんまと「にわとりちゃん」と呼んでしまったが、当サイトの過去記事を調べてみると、2014年に和才記者が岐阜県の郷土料理として「ケーちゃん」を紹介している。

その他にもかつやの期間限定メニューとして「鶏ちゃん焼き」が販売されるなど、ご当地グルメとしては比較的知名度の高いメニューのようだ。



・老舗味噌メーカーの商品

さて、調査によると『鶏ちゃんみそ』は岐阜県郡上市の「株式会社 丸昌醸造場」が製造しており、同社は郡上味噌を作り続けて100年余りの老舗味噌メーカーとのことである。

またパッケージを読む限り『鶏ちゃんみそ』は、商品名のまんま「鶏肉専用みそ」と考えて間違いなさそう。ならば試してみようではないか、岐阜のご当地調味料『鶏ちゃんみそ』を。


・あえて焼くだけ

というわけで、パッケージで推奨されている通り、鶏肉と鶏ちゃんみそを30分ほど馴染ませる。野菜を一緒に焼いてもいいらしいが、今回は鶏肉だけを焼くことにした。

あとは油をひいたフライパンで肉に火が通るまで炒めればOK。用意した肉がやや大きめだったため弱火でじっくりと焼きつつ、途中で3分ほど蒸し焼きに。強火だと味噌は焦げやすい。

そして完成した「ケーちゃん」。あたり一面に味噌の香ばしいニオイが立ち込めており、食べる前から食欲をそそる。この時点で早くも95点くらいはありそうな勢いだ。



・意外な味わい

で、実際に食べてみると……あ、そう来たか。どちらかというと「甘い味噌味」を想像していたのだが、実際には甘みはない。味噌のエッジが効いた、キリリと辛口の味わいである。

なのでご飯にも合うには合うが、どちらかと言えば「お酒に合う味」となるだろうか? 正解を食べたことが無いのでわかりかねるが、とても美味しい味噌の調味料であることは間違いない。

なお、念のため “本物のケーちゃん” を知る和才記者にも試食してもらったところ、


「あ、こんな感じでしたね。いや、こんな感じだったかもしれません。うーーーん、10年前からアレですけど……いずれにせよ美味しいです(笑)


……とのこと。10年前の記事に「甘み」に関する記述はないため、やはり『鶏ちゃんみそ』で作る「ケーちゃん」は「キリッと辛口の味噌味」なのだろう。岐阜の魂、しかと受け止めました。



・ケーちゃん、深い

余談ではあるが、岐阜県多治見市在住の友人に『鶏ちゃんみそ』について聞いてみたところ「下呂や美濃加茂地域のソウルフードで、岐阜県全域の名物ではない。自分もそっちに遊びに行った人におみやげで貰うことが多い」と話していた。

つまり『鶏ちゃんみそ』は岐阜県の中でも限られた地域のソウルフードであるらしい。また「ケーちゃん」自体も鉄板で焼くのがあたり前で「鉄板以外だと違う料理になる」とのことであった。深いぜ、ケーちゃん。

とはいえ『鶏ちゃんみそ』で作る「ケーちゃん」は非常に美味しい岐阜県の郷土料理であった。『鶏ちゃんみそ』が欲しい方は「株式会社 丸昌醸造場」のホームページで486円で購入可能だ。

参考リンク:丸昌醸造場「鶏ちゃんみそ」
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.