たくさんの人が行き交う京都駅。特に新幹線の改札口前は、常に国内外の旅行客で混雑している。駅弁片手に乗り込まんとする姿も、ちらほら。
良いよねえ、駅弁って。乗り物の中で食べるという非日常的さがまた格別で、より一層美味しく感じたりするものだ。
駅弁を買って乗り込むのは大いに賛成派だが、ここでひとつ別の方法もあることを伝えられればと思う。 “京都駅で買うお弁当” には、駅弁以外にも選択肢があるのだ。
・コンビニのようなところで売られている
日本有数の観光地である京都では、さまざまな駅弁が販売されている。何をもってして駅弁と呼ぶか、難しいところだが『日本国語大辞典』には「鉄道の主要駅ホームで売っている弁当」とあるので、そちらに則ることにしたい。
そして記者はここ数年、ほぼ週に一回は京都駅で駅弁を買っている。その中からお手頃価格で購入できてオススメの駅弁を、以前に当サイトでも紹介した。
現在も進行形で京都駅で手に入る駅弁を買っているのだが、ある日ふと気が付いたことがある。駅弁以外に、京都に店を構えるところがお弁当を販売していたりするのだ。
例えば地元の佃煮屋さんや鶏料理屋さん、などなど。その多くが土産物等を販売する、コンビニのようなところで売られている。
記者が思うに、駅弁ははじめから車内で食べられることを想定しているため、そのための工夫がすさまじい。例えばわかりやすいところで言えば、冷めても美味しいことだ。
販売している場所から鑑みるに、駅弁でなくとも同様の扱われ方を視野に入れていると思うが、いずれも駅弁に特化した店という訳ではない。駅弁と同等に戦えるのだろうか。
・専門店ならではの強み
そんなこんなで確かめてみようと、錦市場で佃煮を販売している野村の「のり弁当(税込993円)」と「出し巻とからあげ弁当」、焼き鳥などが美味しい鶏肉専門店鳥せいの「焼き鳥弁当(1080円)」など、いくつか購入してみた。
ちなみに「出し巻とからあげ弁当」については金額をメモしそびれてしまったのだが、確か1000円くらいだったと思う。
いずれも弁当箱の構造が駅弁ほどかっちりしていなくて、持ち運ぶには少々心もとないものもあるにはあったが、大抵は買ってすぐ食べるだろうから問題なし。
まず野村の弁当だが、さすがは佃煮屋さん。付け合わせの佃煮がめっちゃ美味しい。専門店ならではの強みであると言えるだろう。特に「出し巻とからあげ弁当」に入っていた、しば漬けきくらげが気に入った。
しば漬けだけでも美味しいのに、コリコリとした食感のきくらげが最高だ。これだけをツマミに酒が飲めそうである。もちろんメインの出汁巻きと唐揚げも間違いない。
福岡の、久原醤油のあごだし入り白だしを使用しているらしく、おかずの旨味がすごい。出汁巻きだけで十二分にご飯のおかずになってしまうが、そこにこれまた出汁の効いた唐揚げが加わるのだから、かなりの満足度だ。
「のり弁」も同じくで、まず何よりちりめん山椒が美味しい。そして鮭がただの塩焼きではなく、西京焼きなのだ。ぱっと見ではわからないが手が込んでいて、何度かリピートしてしまったし、これからもするだろう。
また鳥せいの「焼き鳥弁当」も大正解。ご飯の上に特製タレに漬け込んだ国産鳥モモ肉とつくね、白ねぎと、焼き鳥から串を抜いたものがそのまま乗っている感じだ。
追いタレもできるように、容器にタレが詰められているところも嬉しい。このタレがさすがのウマさで、添えられた出汁巻きも良い。
そう言えばいずれの弁当にも出汁巻きが入っていた。京都の弁当には必ず入っているのだろうか。
とにもかくにも結果として、所謂(いわゆる)駅弁と比べても負けず劣らずであることが判明した。選択肢のひとつとして、駅弁でない弁当を視野に入れると楽しみの幅が広がることは確実だ。
もしかすると京都オリジナルという意味では、こちらの方がアリ……かもしれないな。
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
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