駅弁が好きだ。ことあるごとに言っている気はするが、その地にしかない魅力を詰め込んだ駅弁を、乗り物に揺られながら食べるのが大好きだ。

九州エリアでは、新八代駅などで購入できる『鮎屋三代』が、特に気に入っている。あれ、美味しいんだよなあ~。久しぶりに味わいたいと思いながらも、遠方のため入手叶わず。それならばと、自分で作ってみることにした。

・鮎の甘露煮は取り寄せ可能

福岡育ちの記者は子どものころ、父が仕事で熊本方面に行く際は必ず「鮎屋三代、買ってきてね!」とお願いしていたものだ。『鮎屋三代』は、九州新幹線・肥薩おれんじ鉄道の開業を記念して生まれたもの。

鮎の加工や鮎料理を手掛ける “頼藤商店” が作っており、球磨川でとれた秋の落ち鮎を使った炊き込みご飯がメインだ。ご飯の上に丸ごとドドンと乗った、鮎の甘露煮がインパクト大である。

この弁当がもう……繰り返して悪いが、ただひたすらに美味しい。焼鮎の出汁が効いた炊き込みご飯に、秘伝のタレで煮込まれた甘露煮。絶品という言葉は、この弁当のためにあるのではないか、とさえ思えて来るほどだ。

残念ながら、冒頭で触れた通り遠方へ弁当の輸送は行っていないとのこと。しかしながら “鮎の甘露煮” は地方発送してくれるという。よし、その甘露煮を取り寄せて駅弁を再現してみようじゃないか。


・あご出汁で代用

『鮎屋三代』の肝は、やはり鮎出汁を使って作る炊き込みご飯だろう。しかし、鮎出汁を取ろうにも鮎のシーズンではないため、まだスーパーなどには出ていない。

鮎の出汁用乾物も、近場では手に入らない。どうしたもんやらと、悩んだ末にあご出汁で代用してみることにした。うまくいくか若干不安であるが、レッツクッキング! 

【材料(2人前)】
白米:2合
油揚げ:1枚
しめじ:半株

出汁(鮎出汁であればベスト):約300ml
しょう油:大さじ2~3
みりん:大さじ2~3
塩:少々
鮎屋三代・鮎の甘露煮:1袋

【作り方】

1.浸水させた白米に出汁、しょう油、みりん、塩を入れてサッと混ぜる。今回は出汁パックを使ったので、パックをそのまま投入。


2.油揚げ、しめじを入れて炊く。


3.炊きあがりを混ぜて蒸らす。


4.皿によそい、甘露煮を乗せてしばらく味をなじませれば完成。


・苦みのない甘露煮

余裕があれば『鮎屋三代』と同じように卵焼きなんかも添えたりすると、テンションが上がるのでオススメだ。そんなこんなで、完成したあご出汁の炊き込みご飯はいかに。鮎出汁の炊き込みご飯と比べて、どんなものだろうか。

ドキドキしながら口に入れると……ふむ、悪くない! 弁当なのでと濃い目に味を付けたことも手伝って、しっかりと出汁としょう油が効いている。美味しい。

なによりやはり、上に乗った甘露煮がバリバリうまい。鮎特有の苦みが記者は好きだが、苦手という人もいることだろう。こちらの甘露煮は、その苦みが全くないのだ。万人が楽しめる味である。

もっちりシャッキリとした歯ごたえで、さわやかな魚の旨味と、しょう油などの甘辛さ。頭から尾の先まで、丸っといけちゃう柔らかさ。ご飯との相性も、言わずもがな。

『鮎屋三代』と全く同じと言えないものの、納得のいく仕上がりだ。それもこれも、甘露煮があったからこそに違いない。販売してくれてありがとうございます “頼藤商店” さん! 

いつの日か、また気兼ねなく『鮎屋三代』を買いに行ける日を願って作った自家製・鮎屋三代。公式甘露煮パワーで、十二分に満足できる味となった次第である。

これから(5月末現在)各地で、鮎のシーズンが到来する。フレッシュ鮎と、甘露煮鮎とを組み合わせて炊き込みご飯をするのも良さそうだ。ぜひみなさんもお試しあれ!

参考リンク:頼藤商店「鮎屋三代」
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.

▼鮎屋三代の甘露煮、取り寄せることができます

▼こだわって作られている甘露煮、そして駅弁・鮎屋三代

▼再現してみました! 自分で作ったものは、コレはコレで美味しい!!