京都土産の定番といえば、八ッ橋。かつては長方形の焼きせんべいがメインだったが、近年は生地を焼かずに餡(あん)を挟む「生八ツ橋」が主流だ。

そんな生八ッ橋、通常は10個入り700円前後と意外にリーズナブルなのだが……京都駅の土産物店で6個入り税込1000円という商品を発見してしまった。

1個あたり166円って……た、高ぁっ! 普通の八ッ橋と何が違うのよ~~っ!?!?

・価格差2倍以上の生八ッ橋

こちらが「聖 luxe(ひじり リュクス)」。価格は1箱6個入りで税込1000円。

いかにも高級感ただようラグジュアリーなパッケージで、まるで金塊を積むように並べられていた。


近くに置かれた通常の聖(ひじり)が10個入り税込680円。

1個あたりの価格はリュクスが166円、通常が68円なので、価格差は約2.4倍ってことになる。ど、どんだけ~~~~っ!?!?


・リュクスと通常版を食べ比べてみた

それほど価格が違うなら、両方を買って食べ比べてみたくなるってもんだ。

ドドンッ!


まずは原材料と栄養成分表示から比較してみよう。

原材料に目立った違いは見られず、栄養成分に多少の違いがあるようだが……そもそも表の下に「この表示値は目安です」と書かれている通り、誤差と言えちゃいそうな差しかない。


いざ、開封の儀。リュクスは包装紙こそないものの、箱そのものや個包装の袋まで金色に輝きゴージャス感が味わえる。


中に入っていた紙によると、

「例年、八橋検校(やつはしけんぎょう)の法要「八橋忌(やつはしき)」の日にのみ炊いてきた特別な餡(あん)を、常に楽しんでいただけるように作りました」

とのこと。ちなみに、八橋検校とは江戸時代の音楽家。彼の死後にその業績をしのび、琴の形を模して作られたせんべいが八ッ橋のルーツと言われているのだそう。


対して通常の聖、包装紙の中は メーカーの「聖護院八ッ橋総本店」のエンボスが入ったツルッとした箱。

10個がひとつのパッケージに重ねて入れられていて、まさに見慣れた生八ッ橋って感じだ。


皿に出して比べてみよう。

先ほどの紙によると餡以外の違いはないはずだが、通常版の方がきな粉が多い。10個も重ねて包装しているワケだし、八ッ橋同士がくっつくのを防ぐためだろうか?


皮のムニムニした柔らかさは両方同じぐらいだ。


・「これは…」思わず笑った

まずは抹茶味から食べてみる。

リュクスは……うん、ほどよい甘みと小豆の風味。1個166円と言われるといまいちピンと来ないが、聖護院八ッ橋総本店の歴史を感じる美味しさだ。


──ところが。続いて通常版を口にした瞬間、頭に「?」が大量に浮かび上がった。

あれ? 美味しい。美味しいのは間違いないけど……味、ほぼ同じじゃない?


もしかしたら禁句かもしれない。しかし、嘘はつけない。

リュクスと通常版の八ッ橋、違うと言われれば微妙に餡の味が違うような気もするのだが、気のせい あるいは「違うと言われたから違う」という思い込みにも感じる。


うそだろっ!? と思ってニッキ味にも口を付けてみたが、

やっぱり同じや……。


試しに目隠しをした状態で神経を研ぎ澄まして食べ比べてみたが、抹茶が正解でニッキが不正解。

つまりあてずっぽうと同じような結果となり、思わず「へへっ」と笑いがこぼれてしまった。(もちろん、筆者の舌がバカという可能性もあるが)

そもそも聖に使われている餡は自社製造。公式サイトによると「北海道産のふっくらとした小豆を厳選して、丁寧に炊き上げています」とのことで、通常版の時点で完成された美味しさを持っているのである。


──ただし、それでも「リュクスを買う価値ナシ」とは思わない。

パッケージと個包装の特別感といい、八橋忌にのみ炊いてきた特別な餡といい、リュクスには「美味しい」に加えて「有難い」が詰まっている。

つまり、縁起物と考えてもよいのではないだろうか?


……まぁ コレは個人の感想なので、ひょっとすると舌が肥えた人には違いがわかるのかもしれない。

リュクスは聖護院八ッ橋総本店の直営店や 京都駅のキヨスクなどで販売中とのこと。気になる方は、是非両方を買って食べ比べてみて欲しい!

参考リンク:聖護院八ッ橋総本店
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.