寒い、寒すぎる。こんなに寒くなると「ふぐ」が食べたい! でもふぐは高いんだよなぁ。ちょっと小市民のオイラには手が出ませんよ。今夜も泣きながらうどんでも食べましょうかね……。

なんて思っていたところ、アホの上司・Yoshioが「てっちり」をご馳走してくれると言うではないか。マジかよ、Yoshioさん! だが彼の手には何故か「はま寿司」の袋が握られていたのである。

・ふぐ育ち

幼い頃、小金持ちの家庭で育った私はしょっちゅうふぐを食べていた。というか、父の食の好みの関係で外食は「焼肉 or ふぐ」と決まっていたのだ。当時は「ファミレスに行きたい!」と思ったけど、かなりいい思いをさせてもらってるよね~。

そんなワケでふぐの味はそれなりにわかるつもりだが、大人になってからは数えるほどしかふぐを食べていない。だって高いんだもの! フラッと気軽にふぐを食べに行けるほど、私の懐は潤っていないのだ。


・やっぱり雑炊

さて、そのふぐの最も美味しい食べ方は、やはり「てっちり」であろう。皮や身の刺身も美味しいが、てっちりの〆の雑炊はマジで至高!! ふぐのダシを吸い込みまくった雑炊は「キング・オブ・雑炊」の名に相応しい。

そんな話を上司のYoshioとしていると「そこまで言うなら俺がふぐをご馳走してやるよ! ふぐの雑炊くらい食わせてやれないで何が上司だ、馬鹿野郎!!」と咆哮し、事務所を飛び出して行ってしまった。

それからおよそ1時間後……Yoshioが帰って来た。手に「はま寿司」の袋をぶら下げて。



・はま寿司?

おい、俺は寿司が食べたいんじゃないんだよ。てっちり、もっと言うなら〆の雑炊が食べたいんじゃ! 人の話を聞いていたのか、このアホ上司め!!


Yoshio「ヘイ、俺をナメてもらったら困るぜBOY。いま、はま寿司では “ふぐの握り” を販売してるんだけど、こいつを使って俺が絶品の雑炊を作ってやるから、まあ待ってろ。美味しい雑炊作っちゃうわよ~☆」


正直、イヤな予感しかしないが、1時間かけてはま寿司まで行ってきた労力を考えると無下にはできない。ここは大人しく、成り行きに身を任せることにした。

で、Yoshioは沸騰したお湯に白だしを入れると、そこにふぐの握りをオールイン! 合計6皿分、12貫のふぐのにぎりが鍋に投入された。そして煮立ったら卵を落とし「Yoshio流 ふぐの雑炊」が完成だ。

調理時間はわずか5分ほど。見てくれは完全に雑炊だ。Yoshioが調理したことさえ知らなければ「美味しそうな雑炊」に見えなくもない。というわけで、まずは一口食べてみると……


あ、悪くない。



・意外とウマい

ふぐのダシが出まくっているかはさておき、フワッとふぐの風味はする。酢飯の酸味はほんの少し感じる程度で、そこまで気にならなかった。完全体の「ふぐの雑炊」ではないものの “ふぐの雑炊風” くらいは名乗ってもいいハズだ。

また、はま寿司のふぐの握りは1貫に2枚の刺身が使用されているため、思ったよりふぐも入っている。簡易的な「ふぐの雑炊」としてはなかなかのクオリティと申し上げていいだろう。普通にウマかった。


Yoshio「こうして部下にふぐの雑炊をご馳走してやれて俺も満足だよ。また1つ賢くなっちゃったな! おっと礼ならいらないぜ……アディオス!!


ちょっと上手く丸め込まれた感は否めないが、Yoshio流の「ふぐの雑炊」は確かにちょっと美味しかった。少なくともふぐの風味は感じられるので、興味がある方はぜひお試しいただきたい。

参考リンク:はま寿司
執筆:P.K.サンジュン
Photo:Rocketnews24.
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