人付き合いって難しい。何より難しいのは他人が何を考えているか分からないというところだ。私(中澤)の前では笑顔のあの人も陰口をたたいているかもしれないし、不愛想なあの人は私のことが嫌いかもしれない。そんな私は考えすぎてしまうタイプ

これまで人一倍人付き合いには悩まされてきた。正直、今も悩んでいて「こうすれば大丈夫」という答えとかはないのだが、41年悩み続けてたどり着いた私なりの「なんとか生きやすくなる方法」をここに記したいと思う。

・諦めがつくパターン

まず、思うのは自分が悪くないのに破綻する人間関係は仕方ないということ。無理にしがみつくと、負わなくていい傷を負わされた挙句、結局うまくもいかない。破綻しなかったとしたらそれはそれで地獄。一生傷つけられ続けることになるからだ。

「人を変える」とか「自分が変わる」というのは耳障りが良い言葉ではあるが、人ってなかなか変わらない。むしろ、矯正しようという気持ちは独善的になりがちだから結構ヤバイ。根っこが合わないと感じた場合、適切な距離を保つようにするか、手放す勇気も必要だ。

・なんであんなことしちゃったんだ

ただ、41年間を振り返ってみると、自分が全く悪くないことってあまりない気がする。例えば、私は子供の時イジメられたこともあるし大人になってから絶交されたこともあるし、なんなら離婚もしていたりするのだが、振り返ったら「なんであんなこと言っちゃったんだろうな」と頭を抱えることだらけだ。

大体、キッカケは悪気のないことなのである。そこから発展してこんがらがってしまう。あの時あんなことを言わなければ、あんなムーブをしなければ……。自分ではない自分がフラッシュバックする度、のたうち回らずにはいられない。

・なぜやっちゃうのか

なんでそんなことをしてしまうのか。それはカッとしているからだ。繰り返すが、自分が悪くないならもう仕方ないと諦めがつく。フラッシュバックもしない。ただ、相手のテンションに影響されて自分も混乱してしまうのである。

結果、まるで第三者に操られているかのような大いなる流れの中で、自分もしっかり悪い役回りを演じている。どうすればそのモンスターを飼いならすことができるのか

・私の手段

混乱しているわけだから、フラットな精神になれれば黒歴史になるようなことは起こらないのではないか。では、どうやって悪気ないひと言でも影響され揺れ動く心をフラットにするのか。私が41年間の試行錯誤で今のところ一番効果を発揮しているのは脳内デトックスである。

会社で、SNSで、LINEで、何かチクチクとしたことがあった日はその日のうちにサウナに行く。外気浴で頭がぼーっとすることで、さっきまで頭の中を駆け巡っていたこともぼんやり霞んでいく。そうやって強制的に頭を空っぽにすることにより、体以上に脳内がデトックスされるのだ。

・悪いのは……

もちろん、これはサウナじゃなくても良い。人によってはこれが海外旅行だったり、映画だったり、キャンプだったりするのだろうが、考えすぎてしまう私の場合、経験上引きずると悪化するからとにかくその日にリセットすることを心掛けている。そういう意味でサウナが手軽というだけの話だ。

スマホも持ち込めないからデジタルデトックスもされる。2時間ほどでも効果てきめんで「言い返さないと!」みたいな気持ちもさっぱりなくなる。口喧嘩に勝って実利があったことなんてこれまで1回もなかった。相手を認めない気持ちがある時点でそもそもダメなのである。

・永遠のテーマ

この記事を読んで「なんだそんなことか」と思う人は多いかもしれない。それは誰もが自分の中のモンスターと戦っていることを意味する

聞いた話によるとインディアンには「怒りは自分に盛る毒」という格言があるし、イヌイットには腹が立つととにかく歩いて怒りがおさまった地点から引き返すという対処法があるのだとか。はるか昔から人類が向き合ってきたテーマなのである。

トゲトゲしたことを言ってきたあの人も、やたらと敵視してくるネット上の誰かも、みんな同じモンスターと戦っていると思えば許せる気がしてこないだろうか。少なくとも、私はちょっとは生きやすくはなったので、同類の方の参考になれば幸いである。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.