紀伊国屋書店と並び、日本で最大級の規模を誇る丸善。丸善だけだとピンと来ない人も「ジュンク堂」と言えばお分かりだろうか? 2014年に丸善とジュンク堂は合併しているため、現在はどちらも同一グループの書店である。

それにしても街から本屋が無くなったよね……なんて小話はさておき、今回はその丸善で発見した「元祖ハヤシライス」についてお知らせしたい。一説によると、どうやら丸善創業者の早矢仕有的(はやし ゆうてき)がハヤシライスを考案したらしいのだが……。

・丸善にて

普段はAmazonやらで書籍を購入してしまう人も多いと思うが「今日のうちに必要な本がある!」なんてとき、やはり本屋さんの存在はありがたいもの。私も「娘のために今日買わなきゃいけないドリル」があったため、日本橋の丸善へと向かった。

お目当てのドリルを購入し、さあ帰ろうかな……なんて思っていたところ、店の外には興味深い看板が。そこには以下のように記されている。



「ハヤシライスを生み出したのは丸善創業者、早矢仕有的(はやし ゆうてき)と言われています。

丸善の百年史には「幕末か明治の初年のことであろう。友人が訪問すると、有的は有り合わせの肉類や野菜類をゴッタ煮にして、メシを添えて饗応するのが常であった。そこから人々はこの料理をハヤシライスといい、ついにはレストランのメニューにまで書かれるようになった」という一節があります。

こういった内容から当時すでに商社を経営していて好奇心旺盛な早矢仕が友人を驚かせようと、今のハヤシライスに近い料理をふるまったと考えられます」


……なるほど。調べてみると「元祖ハヤシライス」には諸説あるようだが、早矢仕有的が考案した説も有力な説の1つらしい。それより何より私はハヤシライスが大好き! ここは1つ、元祖ライスこと『早矢仕ライス』を食べてみようではないか。

・3階のカフェで食べられる

というわけで、丸善の3階にある丸善カフェにて「ポーク早矢仕ライス」をオーダー。価格は1人前1380円だ。その他の「プレミアム早矢仕ライス」や「早矢仕オムライス」にも後ろ髪を引かれたが、今日は「元祖ハヤシライス」を食べに来たんだ……!

で、注文から5分ほどで早矢仕ライスが到着。ソースの色は赤黒い系で、明るい茶がかったハヤシライスではない。元祖かどうかはわからないが「そこらのハヤシライスとは違うのだよ」という威厳には満ちていた。

お味の方はというと、酸味がありながらも甘みがあり、それでいてコク深いハヤシライスである。特に甘みはベッタリした感じではなく、実にお上品。特にマイナスポイントも見当たらない “エレガントなハヤシライス” といった印象だ。

逆に「幕末から明治の初めにこんなにウマいものがあったハズがない」とも思ったが、それはいい。元祖ハヤシライスとされる丸善の『早矢仕ライス』は、実に美味しいハヤシライスであった。あえて言うならちょっとボリュームには欠けるかな?

先述のように、元祖ハヤシライスには諸説ある。……が、早矢仕ライスは「元祖ハヤシライスだと言われても納得できるウマさだった」とお伝えしておこう。なお、公式サイトによるとレトルトのルーも販売しているようだ。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 丸善カフェ
住所 東京都中央区日本橋2-3-10 日本橋丸善東急ビル3F
時間 09:30~20:30
休日 不定休

参考リンク:丸善ジュンク堂
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.