“お笑い芸人がバラエティー番組で時おり話題にする” ことでしか知らない食べ物『肉吸い(にくすい)』は、大阪のソウルフードらしい。大阪の中でもディープな雰囲気のお店で提供される傾向にあるようだ。

大阪のディープな店……それってつまり、日本で1番ディープな店ってこと(※ 諸説あります)。1人でノコノコ食べに行く勇気もなく、ここは大阪人の助けを借りることにした。人生初の肉吸い、めっちゃ楽しみやな〜!

・大阪人と私

大阪出身の中澤記者はお盆休みで実家に帰省中。道頓堀周辺で待ち合わせ、肉吸いのお店へ案内してもらうことになった。ところで大阪には100回くらい来ているが、いまだに心斎橋と難波の区別がつかないよね。

会社だと弱々しい中澤記者が、大阪の街ではひどくキリッとして見える。頼り甲斐しかない。


そもそも『肉吸い』は吉本新喜劇の俳優・花紀京さんという人が、メニューにはない「肉うどんのうどん抜き」を注文したのが始まりとのこと。芸人さんを中心に少しづつ認知され、今日に至るのだそうな。

そんな肉吸いの発祥は『千とせ』という店なのだが、難波の本店を訪れたところ、ビックリしちゃう大行列が発生していた。大阪人の中澤もちょっと引いていたほど繁盛しており、とても取材を申し込める雰囲気ではない。

そこで今回我々が取材したのは、なんばグランド花月内にある『千とせ べっかん』。こちらは本店より広く、もちろんタイミングによるが、本店よりはすんなり入店できる可能性が高そうだ。雰囲気でいうと確実に初心者向けといえるだろう。



・大阪人と肉吸い

元々うどん屋なだけあり『きつねうどん』『カレーうどん』といったメニューもあるものの、千とせのメインはやはり『肉吸い』らしい。

慣れた手つきで食券を購入する中澤記者。相変わらずキリッとしてるなぁ。

これが念願の千とせ名物『肉吸い』(800円)。

う〜〜〜〜〜ん、これぞ ““関西風”” の極み!!! 肉の感想はひとまず置いておいて、出汁が暴力的なウマさである。関西以外でも関西風の出汁を食べることはできるが、ハッキリ言ってレベチ。ふだん麺類のスープを飲まない私が気づけば飲み干していたほどだ。

当初は『肉うどん』と『肉うどんのうどん抜き(肉吸い)』が同じ800円であることに疑問を感じていたが、これほど大量の肉が入っているなら納得である。しかも柔らかくって超おいしい! 惜しむらくは半熟卵の存在に気づかず、出汁の熱で固ゆでになってしまったこと。次回リベンジしたい。

その点、大阪人たる中澤記者の立ち振る舞いは見事であった。ツウでなければ知るはずのない『肉吸いの豆腐入り』(850円)に、あろうことか『小玉』(卵かけご飯の小 / 220円)をプラスする大阪人っぷり。兄さん、あんた大阪人の中の大阪人やなぁ!!!


中澤「え? 『肉吸い』を食べるの僕、これが初めてだけど……?」



・大阪人と大いなる気づき

なんと肉吸いを食べたことがないばかりか、『肉吸い』という食べ物の存在自体を今回初めて知ったという中澤記者。ツウっぽい食べ方をした理由は、単に店頭に書かれた “おすすめのセット” を参考にしただけらしい…………やめさしてもらうわ!!

「少なくとも僕の家族は誰も『肉吸い』を知らないと思う。大阪人の中でも限られた人が食べるものではないか?」という持論を展開する中澤記者。彼が大阪人の中でどの程度スタンダードな立ち位置にいるかは不明だが、こういう大阪人もいることだけは確かのようである。

ただ「メチャクチャおいしかったから、また帰省したら食べにくる」と語る中澤記者の瞳は、故郷の新たな魅力を知った喜びに満ちていた。別に大阪人にお願いしなくても『肉吸い』は食べられることが判明したので、みんなも大阪へ行ったら体験してみてほしい。


・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 千とせ べっかん
住所 大阪府大阪市中央区難波千日前11-6 なんばグランド花月 1F
時間 11:00〜20:00(ラストオーダー19:30)
定休日 無休

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]