行列ってうざいよね。並ぶくらいなら買わないし食べないよ。私(中澤)は行列になっているというだけでスルーしてしまう質なので行列店のことをほとんど知らない。
はたして、そこに並ぶ価値はあるのか? 疑問に思ったので実際に並んで確認してみることにした。
・かるかや
今回並ぶのは西武池袋の屋上にある手打うどん屋『かるかや』。なぜここかと言うと、この店の行列を見た時に上記の疑問が頭に浮かんだからである。
うどん屋ってどこにでもあるやん。さらに言うなら、いくらウマかろうがうどんだ。うどんってグルメの中でも一定以下の味にはなりにくいジャンルだと思う。どこで食べてもある程度ウマイのがうどんの良さではないだろうか。
・うどん屋に並ぶ理由とは
丸亀製麺もウマイし、はなまるうどんで食べたって別に良い。逆に言うと、並んで食べるほどのうどんってちょっと想像がつかない。ズバ抜けていてもうどんはうどん。味としては、他の料理よりも中央値に寄りがちなジャンルだと私は思う。
しかし、他にも飲食店がある西武池袋の屋上で、行列ができているのはここだけ。しかも、平日だろうが結構毎日行列なのである。考え始めたら凄い気になるじゃないか。
・店の様子
というわけで、並んでみたところ、16~7人の行列で待ったのは20分くらい。屋台的なシステムであることを考えると、並んでいる時に回転が悪く感じた(事実、後ろのカップルは「進まないね」とこぼしてた)のだが、いざ自分の順番になると注文したものが速攻で出てきたので、途中で準備してた麺が切れたとかがあったのかもしれない。
さて置き、ベーシックのメニューは「きつねうどん(税込み500円)」とか「月見うどん(税込550円)」とかシンプルな感じ。具だくさんの「かるかやうどん(税込600円)」でも入ってるのは油揚げとかカマボコで、トッピングの派手さで話題になるというタイプではないようだ。
・うどん屋にハズレがあるとすれば
2月のオススメメニューである「やわらかチキンのカレーうどん(税込1000円)」が唯一、トッピングがガッツリしている。画的にはこれが1番映えそうだけど、私は大阪出身だからか、うどん屋の評価においてつゆの味は外せない派である。カレーうどんだとそれが分からないんだよな。
そこで「スタミナうどん(税込650円)」を注文してみた。スタミナと言っても肉は入っておらず、具は山菜、揚げ玉、油あげ。つゆはかなり透き通っている。一般的に「関西風」と呼ばれるつゆだ。
大阪にいる頃は分からなかったんだけど、個人的には関西風つゆは地雷があると思っている。「お湯やん」って感じの味が薄いだけのものがあるのだ。うどん屋にハズレがあるとすれば、関西風つゆで事故ってるパターンである。
・食べてみないと分からない
とは言え、こだわってるっぽい店がお湯かと思ったら、てんやの関西風うどんのつゆが全然アリだったり、これは本当にイメージとか店構えでは判断できない領域。だからこそ、食べてみないと分からない部分でもあるのだが、この店のつゆは……
アリだ。
味付自体は優しめだが、出汁の味はしっかりする正統派なつゆである。つゆがこの味なだけで一定の信頼が置けるんだよな。
麺を食べてみたところ、ドシッとしたコシがある。食感にもオリジナリティーがあって「手打ち」という言葉が嘘ではないことが味から感じられた。
これは確かに安心感のある味。ただ、わざわざ屋上まで来て並ぶほどかなあ。そこで辺りを見回してみると、温かくなり始めた日差しの中、老若男女がうどんを食べていた。なるほどなあ。
・納得した理由
ここから先は体験してみての想像になるが、人が集まっているのはこの空間なのかもしれない。空が開けていて庭園もあり日差しが心地いい西武池袋の屋上。街に建ち並ぶビルの頭が遠くに見えるのも下界と切り離されている感じがしてひと息つくには良いスポットだ。
食べ物屋はここだけではないと前述したが、よく見たら他はフィッシュ&チップスとか軽食の店ばかり。昼休みに昼ご飯を食べつつ日向ぼっこでもしようと来た人が『かるかや』に並ぶのは必然と言えるだろう。そう考えるとつゆの味が優しめなのも、お年寄りのことも考えてなのかもしれない。
パッと見た時はなぜわざわざ屋上のうどん屋に並ぶのかと不思議に思ったが、実際体験したらむしろ西武池袋の屋上だからこそ。そこには雰囲気も含めての美味しさがあった。
・今回紹介した店舗の情報
店名 かるかや
住所 東京都豊島区南池袋1-28-1 西武池袋本店 9F 食と緑の空中庭園
営業時間 10:00~20:00
定休日 無休(西武池袋本店に準ずる)
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.