突然だが、皆さんは「しょうや」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。

大半の人は海鮮居酒屋の「日本海 庄や」を思い浮かべ、特定の年齢層は女性ロックバンド「SHOW-YA」を思い浮かべるだろう(多分)。

しかし、九州(主に北部)の人間が思い浮かべるのは、和風ファミレス「庄屋」じゃないかと思う。あまりにも地味すぎて、九州ローカルのファミレスだってことに、つい最近まで気づかなかった。

そんな地味すぎるローカルファミレス「庄屋」を紹介したい。


・「庄や」じゃないよ「庄屋」だよ

誤解なきよう先に言っておくと、居酒屋の「庄や」とファミレスの「庄屋」は、名前は似ているもののまったく別グループである。

「庄や」は大庄グループが全国展開する海鮮居酒屋、そして「庄屋」は庄屋フードシステムが展開する佐世保発の和風ファミリーレストラン。

ところがどっこい「庄や」も「庄屋」も和風で客層が渋いという共通点があったので、つい最近まで同じグループだと思っていた。まさか「庄屋」が九州ローカルのファミレスだったとは……。


・長崎・佐世保発の和風ファミレス

1971年に長崎県の佐世保に誕生した「庄屋」。公式サイトのヒストリーをみると、藁葺き屋根の昔ながらの店が出てくる。

ちなみに「庄屋」の立ち位置は、本州でいえば華屋与兵衛とか夢庵、とんでんあたりが近いかもしれない。刺身定食とか、ミニ天丼セットとか、すき焼き御膳なんかを出す和食の店……。

たとえば家族で集まったとき、お父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも一緒に行けるような感じだ。「じゃあ今日は庄屋でなんか食べて帰ろうか」みたいな。


さて、そんな庄屋の看板メニューは何かというと…


九州だから魚?


NO!!


佐世保名物のレモンステーキ


NO!!


正解は


_人人人人人人人人_
> おじや <
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・おじやへの異常な情熱

いや『日本昔ばなし』かよ! って感じなのだが、メニュー表を見ると「庄屋」がおじやにかける情熱はすさまじいものがある。


「日本の昔ながらの伝統食、おじやは、栄養のバランスが取れた健康食。

庄屋は創業以来、この究極のヘルシーメニューにこだわり続けています


おじやは究極のヘルシーメニュー! その発想はなかったけど、野菜たっぷりで卵も入ってるし言われてみればそうかもしれない。

そういえば、私は子供の頃から庄屋に行くと必ず「おじや」を頼んでいた。たしかに庄屋の『おじや』は、めっちゃ美味しいのだ!

お粥のように米が柔らかいわけでもなく、雑炊ほど汁気が多くもなく、食べやすさと適度な満足感があるおじや。

うまみたっぷりの特製だしがきいていて、具材は細かく刻まれたネギや人参、白菜にきのこ、かぼちゃといった野菜がたっぷりはいっている。

そしてなんといっても焼き餅!! このとろけた餅がいい仕事をするのだ。

とろーりとろけたお餅といっしょに、熱々のおじやをフーフーしながらいただく……。ちょっと体調悪いときとか、寒いときなんか、五臓六腑に染み渡る。

昔話でよくある、山の中をさまよった旅人が峠の一軒家にかけこみ、おばあさんにごちそうになるご飯ってこんな感じだろう。庄屋って名前のイメージ通りである。


さらにおじやは「青唐辛子みそ」と「すりごま」の薬味で味変も可能。

青唐辛子みその、ピリッとした辛さと味噌の甘さでおじやの風味が劇的に変わる。昔は「青唐辛子みそ」はついてなかったと思うので、本当におじやを研究しまくってるのだろう。


・アジフライも美味いんだな

ちなみに「庄屋おじや定食」(税抜1080円) には、アジフライと茶碗蒸しもついてくる。

アジフライは最近、長崎県が名物として力を入れているメニュー。アジフライが付くことによって、なんとなく九州らしさが感じられるような気がする。甘めのタルタルソースをつけて食べるんだけど、このアジフライがサックサクでかなり美味い!

ちなみに、茶碗蒸しもきめ細かくて、トロンとしていて美味しかった。

「庄屋」はあくまでも普段遣いの店なので「九州に来たらぜひ食べてみて!」という感じではないんだけど、旅行で暴飲暴食して胃が疲れていたら、庄屋のおじやで体をいたわってみてほしい。

庄屋のおじや定食は、きっと旅人を優しく癒やしてくれるに違いないから……。


参考リンク: 庄屋
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.

▼店内も渋い