早くも夏休みは終盤。今年小学校へ上がったばかりの姪っ子が、人生初の自由研究に苦悩していたので叔母さん(私)は一肌脱ぐことにした。そうだなぁ、植物のDNAを取り出して比較したらどうだろう? えっ、難しい?

言われてみれば小学生に適したテーマなんて皆目見当もつかない。ならばここは逆に真っ向勝負……『夏休みの友』に記載された「おすすめテーマ」から選ぶことにした。えっ、友達とかぶる? 大丈夫! 叔母さんは記者だ。アレンジするから任せておきなさい。

・用意するのは酢と卵だけ

気になったのは『ぷよぷよたまごの観察』というもの。卵を酢に浸しておくだけで卵が「ぷよぷよ」になるらしい。そんな話は聞いたこともないが、『夏休みの友』に書いてあるくらいだからきっとなるのだろう。

お手本には「卵1個」を用意……と書いてある。しかし叔母さんは記者だからアレンジするぞ。ここはドーンと1パックの卵を用意だ。

卵をボールに入れて酢で浸すと……

すぐにシュワシュワと卵から泡が出てくる。

次第に浮かんできた卵は勝手に回転などを始めるので、しばらくは見ていても飽きない。……でもしばらくすると飽きるので、そっとボールごと冷蔵庫に入れよう。ここで注意したいのはボールにラップで蓋をすること。さもないと冷蔵庫じゅうが酢クサくなって他の家族が激ギレするハメに!

・ネタバレ注意

ここからは完成まで放置するのみである。

1日経過……

2日たっても見た目にほぼ変化はない。チョンと触ってみると確かに少し柔らかくなっているが「ぷよぷよ」には遠い感じである。お手本には「2〜3日で完成」とあるので、ちょっとペースが遅いような気がする……?

この実験のカラクリは「酢で卵の殻が溶ける」というものだ。本来卵1個でやるべきところを1パック使用したため、当然1個に対する酢の量は少なくなっている。もしかすると、この酢にはもうカルシウムを溶かす力が残っていないのかも……?

と、いうことで1度ボールの古酢を捨て、掟破りの追い酢を敢行することにした。実験にアクシデントはつきものだ。ここから新たな発見が生まれることもある。


追い酢から丸1日。果たして結果は……


プヨップヨだァーーーーー!!!!


・コレめっちゃオモロいね!

卵はゴムマリのようにプヨプヨとはずんでとっても楽しい。卵の殻がビニールになったみたいである。

触っていると殻のカスがポロポロと取れるので、割れないようにゆっくりこすってみると……

ピッカピカのスケルトン卵が完成!

光に当てると黄身が透けて見えるので、キッズのみんなはぜひ観察しておこう! プヨプヨ遊んでいたら急に割れるのでビックリするなよ!


・大人が食べてみた

実験に使ったとはいえ、できれば食べ物を捨てたくないものだ。卵は買ったばかりだしずっと冷蔵庫で保管していた。なんなら酢には腐敗を防止する作用があるので、卵は腐ってないはず。ほんのりお酢のきいた卵……おいしいそうな予感。


なら食べてみちゃおうということで、まずは「ゆで卵」にしてみた。殻のままでもブヨブヨで楽しい。

むくと勢いよく中身が飛び出してきた。普通のゆで卵と変わらないように見える……いただきまーす!


結果:吐くくらいマズイ


……熱を加えたのがいけなかったのだろうか? 卵本来の味がきわだつ「たまごかけごはん」で再チャレンジしてみると……


ギョエーーーーーッ!!!! やっぱり清々しいほどのマズさ!


ゆで卵と卵かけご飯、どちらの卵も想像以上に酢がきいているのだが、ただ酸っぱいのではなく酸味の奥に「苦味」があるのだ。これは腐っているといった類の苦味ではなく……漢方とかそっち系の、思わず顔をしかめてしまう苦味。好みを超越した真のマズさがここにある。

「目玉焼き」にチャレンジしても結果は同じ。10パターンの卵料理を考えていたがこれ以上の続行は無意味と判断した。無念!

・子供は食べないほうがいいかもね!

それでも捨てるのは忍びなかったので「おじや」にしてみたら何とか食べられるレベルになった。ダシと醤油を濃いめにして酢を殺す作戦である。残りの卵を1週間かけておじやで消費してゆく……それが大人の責任だ。キッズは舐めてみる程度にしておこうな!

ちなみに、薄くなった透明な卵の殻もカラッと素揚げにしてみたが……「酸味のキツイ紙を揚げたもの」みたいだったぞ!

今回、実験自体は大成功し叔母の務めは果たしたものの、味の面では散々な結果となった。しかし「卵の殻はわりと水分を通す」という事実が明らかになったので、応用すればとんでもない新グルメが誕生するかもしれない。例えば砂糖水に浸してみるとかね。

そういった失敗とチャレンジの積み重ねによって、人類は今日の文明を築き上げてきたのである。これこそが実験を行う意味なのではないだろうか。自由研究がまだ終わっていないキッズはぜひ試してみてほしい!

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼光に透かすと中身が見える

▼急に割れるので注意