ヒモでぶら下げた鉄球が5つ並んでいて、端にある鉄球を持ち上げて離すと、並んだ鉄球に当たって、反対側の端の鉄球が飛び出す。何の話かというと、小・中学生の科学教室などで見かける「ニュートンのゆりかご」や「衝突球」などと呼ばれる装置のことだ。

そこまで面白くないけど、見ていて飽きないという理由でインテリアとしても人気らしい。そんな衝突球がAmazonで1633円で売っていたので、思わず買ってしまった。なんでも「生徒実験に最適の小型安価タイプの衝突球」らしい。総合評価は2.1で、口コミには……

・レビューは読もう

「最悪の商品です」「こんなものを販売して良いのか」「数回カチカチいったあと、すべてのボールが動き出す」「まっすぐ球に当たりません」「レビューは読もう」「ゴミ」「球はパチンコ玉かな」「絶対に買わないでください!」などと書いてあった。

それはさておき、パッケージはとてもシンプルで、中央には衝突球の見せ場である「端っこの球が勢いよく跳ね上がっている」写真と「BALANCE BALL」というタイトルのみ。たしかにそれだけで十分である。学校の実験で使われる商品に余計な飾り付けはいらない。

箱の中身は「コーヒー豆のような形をした土台」と「釣り糸のようなヒモでつながれた5つの金属球」。説明書は入っていない。「もちろん使い方くらい知っているよな」と言われているような気がした。

さっそく土台にセットする。やはり釣り糸にパチンコ玉をぶら下げただけのようだ。いや、パチンコ玉よりも軽いか。あまり衝突球事情に詳しくはないが、もう少し重い方がブレずにカチカチいく気がしなくもない。

てかそれより冒頭で「インテリアとしても人気」とお伝えしたものの、全体的に安物の雰囲気が漂いまくっていて、こんなものを飾りたいとは1ミリも思えない。おそらく風水的にもNGだろう。玄関に置いたらもれなく運気が下がる気がする。

なお、商品ページには「5秒前後で止まりますのでご注意ください」と書いてあった。ご注意くださいとは一体。「カチカチ時間が短いのでお見逃しなく」という意味だろうか。そういえばレビューに「中華製品に期待してはいけません」「性能はゴミ」とも書いてあった。


・やってみた

では実際に、端っこのボールを持ち上げて手を離してみよう。パッケージくらいの角度から落としてみると……


…………


なるほどなるほど。


想像以上に暴れん坊である。慎重に手を離したつもりだったが、ここまで暴れん坊将軍だと、私のボールの扱い方に問題があったとしか思えない。もう1度やってみる。ただ静かに手を離すだけ。


…………


難しい。真ん中の3つの球は動かないと聞いていたのに、巣を破壊されたスズメバチのような勢いで暴れ回っている。怖いんですけど。



とにかく、もっと低い位置からボールを落とした方が良さそうだ。集中して、慎重に、もっと慎重に……


スッ……

カチカチカチ


できた……ほんの少しだけ持ち上げて、そっと落とす。なんとかカチカチできたぞ。つまり「5秒前後で止まる勢いで球を落とさないといけない」ということなのだろう。なるほど評価が低いわけだ。

まとめると、インテリアとして微妙な衝突球は、そっと使えば5秒くらい楽しめるようだ。科学に興味のある方は他の商品を買った方がいい。同じくらいの値段でもっと良い商品はいくらでもある。


参考リンク:Amazon「衝突球 インテリア Yosoo 物理学振り子 おもちゃ バランスボール ゆりかご T型 ステンレス ニュートン 教育玩具 金属 ストレス減らす インテリア 振り子ボール 衝撃玉」
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.