謝罪大国にっぽん。「謝罪は非を認めたことと同義(=不用意に謝るな)」という文化もある中で、相手を立てる、礼を伝える、手間をかけさせたことをわびる、といった多様な謝罪のバリエーションがあるのも日本くらいではないだろうか。

そんな我が国の精神性を象徴するカプセルトイを発見。どうにも心をざわつかせるニャンコたちをご紹介したい。


・「お辞儀猫 スタンドフィギュア(台座付き)」(全6種 / 300円)

このカプセルトイ、一見するとカラーもポージングもバリエーションがなく「同じのばっか出た!」と落胆しそうな猫フィギュアなのだが……

よ~く見ると、角度が少しずつ違う。


並べると一目瞭然、会釈(15°) → 敬礼(30°) → 最敬礼(45°)と変わるお辞儀の種類。接遇マナー講習で習ったヤツだ!

就職活動の模擬面接では、入室時に一礼、イスの横で一礼、許可をもらってから着席……などと練習したものだが、あれって意味があったんだろうか? たしかに「美しい所作」は身につくような気がするが、どんなに目上の人が相手でもツカツカと歩み寄り、足を組んで面接を受けている海外ドラマを見ると、ちょっとうらやましくなる。

それにひきかえ、日本はお辞儀の種類も豊富だぞ。

たとえば身体を動かさず、視線だけで礼を示す「目礼」。ちょっといいホテルのフロント前を何度も通ったりすると感じるアレだ。「失礼いたします。」とタイトルがついているから、入室の挨拶かな?

「御免なさい。」とネーミングされたこちらは、軽い挨拶、お出迎え、人とすれ違うときなどに使う「会釈」に近い。親子や友達同士など親しい間柄でペコリと謝っているイメージだろう。

この表情よ! ぶっちゃけ反省してないな。


「済みません。」になると「最敬礼」と呼ばれる深々としたお辞儀。明らかに「やらかしてしまった」ときのもの。改まった謝罪やお礼のポーズとされる。

しかしなぜか反抗的に見えるのは気のせいだろうか? 上目づかいのせい? 正しくは「視線は足元の少し先」だそうなので、地面を見るのが正解。

「申し訳ございません。」は、ほぼ直角! 寺社仏閣で神仏にお辞儀をする「拝礼」レベルだ。神事のときの神主さんをイメージしていただくとよい。人間相手にするならば相当に深い謝罪だろう。なにをやっちまったんだ……。

今回は入手できなかったのだが、この後には「陳謝」「土下座」と続く。日常生活ではなかなかお目にかかることはないが、筆者は何度か経験がある。

これも「地までへりくだる」という日本の文化なのだろうが、土下座なんて、するのもされるのもイヤなもの。できるならば、これからの人生では出会いたくないものである……。


・やだな……

子どもの不祥事を親が謝るとか、不倫などプライベートな出来事について「世間に対して謝る」とか、日本人の謝罪文化は個人主義の欧米人には奇異に映ることだろう。

そんな特有の習慣にブラックユーモアで鋭く切り込んだカプセルトイ! 発想に底知れぬセンスを感じる。いざというときに備えてシミュレーションできるよう一家に1セット、いかがだろうか。


参考リンク:株式会社Qualia
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]